【 革命なるか? 】メルカリ、AirbnbにUber。注目が集まる「CtoCマッチングサービス」は「made in JAPAN」に勝機あり?
【記事要約】
この記事では、メルカリやAirbnb、Uberなどに代表される「CtoCマッチングサービス」について、その認知度や利用意向などの独自調査や各サービスの現状などから、日本において「CtoCマッチングサービス」が普及するために何がキモなのか、について考察しています。
目次:
- Googleトレンドで「家事代行」が右肩上がりな件
- 「CtoCマッチングサービス」の代表事例まとめ
- 20代では利用が加速中? CtoCマッチングサービス利用度調査
- 不安なのはアレ!? 民泊どう思ってるか調査
- 「made in JAPAN」に勝機あり・・・だけど?
Googleトレンドで「家事代行」が右肩上がりな件
「家事代行」サービスって知ってます? 少し前にも朝のニュースで紹介されてましたが、Googleトレンドでも、こんな感じで注目度が上がってます。
引用:Google trend:検索「家事代行」
なぜか? きっかけはこのドラマではないでしょうか。なんせこの破壊力ですから。「逃げはじ」、ワタシも見てます。
引用:火曜ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』|TBSテレビ
学歴が良すぎて仕事がないヒロイン(新垣結衣)と、結婚なんかしたくないIT系会社員(星野源)が主演の恋愛ドラマなんですが、家事代行の業務の一環として契約結婚するというストーリーなんです。
これまで家事代行というと、同じクールのドラマ、
引用:金曜ナイトドラマ「家政夫のミタゾノ」|テレビ朝日
のように、会社にスタッフを派遣してもらうという、BtoCモデルだったのですが、「逃げはじ」では父親の紹介というソーシャルリクルーティング(笑)、つまり紹介による直接契約となっています。つまりはCtoCモデルですね。
まぁドラマのような直接雇用はなかなか難しいので、消費者間をマッチングさせるプラットフォーム「CtoCマッチングサービス」が間に入ることが多いワケです。
この「CtoCマッチングサービス」、今かなりアツいんです。自家用車タクシーの「Uber(ウーバー)」とか、自宅の空き部屋レンタル「Airbnb(エアビーアンドビー)」など、シェアリングエコノミーというフレーズと一緒に日本にも入ってきて、ニュースなどでも耳にする機会が増えました。
家事代行でも、「タスカジ」という、個人と個人をマッチングするCtoCマッチングサービスなどがあり、けっこうな人気みたい。
一方で、まわりに聞くと「やっぱり見ず知らずの人を家にいれるのはちょっと・・・」という声も多い。サービスを提供するのが企業では無く「個人」という点で不安もあるようです。さて、この「CtoCマッチングサービス」、はたして日本で浸透するんでしょうか?ということで、CtoCマッチングサービスの調査を中心に、「CtoCマッチングサービスがブレイクするカギ」に迫ってみました。
まずは基本的な「CtoCマッチングサービス」について整理してみましょう。そのあたりのことは知ってる、という方は、MRCでの調査分析までどうぞ。
「CtoCマッチングサービス」の代表事例まとめ
日経MJによると、CtoCマッチングサービスによるEC(電子商取引)の市場規模は1兆円程度だとか(「日経MJ」2016年3月7日付)。BtoC-ECだと約14兆円、BtoB-ECだと200兆円超(経済産業省)と桁が違うので、消費者向けサービスは目立ちますが、まだまだ立ち上がったばかりのマーケット。参照:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」
参照:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」
ただ今後成長が見込める市場なので、今はいろんなCtoCマッチングサービスが立ち上がっては、消えたり、ブレイクしたり、世界進出したり、でたいへんな騒ぎ。で、どんなのがあるの?という方のために、代表的なジャンルとプレイヤーをまとめてみました。
●フリマアプリ
引用:メルカリ スマホでかんたん フリマアプリ
世界進出を目指す「メルカリ」を中心に、「フリル」(女性向けファッションが得意)、「ラクマ」(楽天のフリマで2016年9月にフリルを買収)、「ショッピーズ」(女性ファッションに特化)などなど、いろいろありますが、競争激しく、2016年5月には、「LINE MALL」が撤退、あのLINEでさえ敗れる激戦区です。
今はメルカリの一強。2015年11月発表の決算公告によると、売上高42億、売上高総利益(粗利)39億円! なんと粗利率92%という信じられない数字です。流通総額は未公開ですが、この粗利率だと売上手数料10%が積み上がっての42億らしいので、流通総額は420億円を超えそうです。会員も増加中、アメリカ進出も果たし、2016年9月には、アプリが日米合計5,500万ダウンロード(日本3,500万、米国2,000万)を超えたと発表されました。
ここまで成功した理由のひとつに、「エスクロー」サービスの採用があります。これは、商品が購入されたら、メルカリが代金を一時的に預かり、購入者が商品を確認しないと払われないシステムで、商品が届かない、不良品・偽物だったというオークションでありがちのトラブルを避けられます。メルカリは手間より信用を優先させて成功したわけです。
ジモティー | http://jmty.jp/ |
メルカリ | https://www.mercari.com/jp/ |
フリル | https://fril.jp/ |
ラクマ | https://rakuma.rakuten.co.jp/home/ |
ショッピーズ | https://shoppies.jp/ |
●オークション
引用:ヤフオク! – 日本最大級のネットオークションサイト
フリマアプリの前は激戦区だったネットオークション。説明不要の「ヤフオク」一強ジャンル。規模感は、ヤフーの2015年度決算報告によると、ヤフオクの流通総額は8667億円。まだメルカリの20倍ぐらいはありますね。ちなみにYahoo!ショッピングの流通総額は5223億円です。
競合会社は、ブランド品特化の「スマオク」、若年層スマホ特化の「モバオク」と、ヤフオクにない特徴を打ち出すしかない苦しい状況です。「楽天オークション」は2016年10月にサービス終了。キ、キビシイ…。
スマオクは「フルフィルメント」というシステムも特徴です。スマオクが出品者から商品を受け取り本物か鑑定して発送も行う、委託販売のような形です。かなり手間がかかるので、高価なブランド品でないと成り立ちにくく、信頼度は高くなるものの、出品数は増えにくいですねぇ。
ヤフオク | http://auctions.yahoo.co.jp/ |
スマオク | https://www.smartauction.jp/ |
モバオク | http://www.mbok.jp/ |
●ハンドメイドマーケット
引用:Creema | ハンドメイド・手作り・クラフト作品の通販、販売サイト
一点ものなどが買えるとホットなのがハンドメイドマーケット。趣味でつくったアクセサリーなんかをスマホで撮影してアプリでそのまま出品、SNSでみんなに告知して販売、のイメージです。
「minne(ミンネ)」と「Creema(クリーマ)」が2強で、流通総額は両方とも年間100億円ぐらい。ただ伸び率が前年の4倍 → 2倍とかで来ていて、まだ勝負はついていないので、ほかにもサービスが乱立しています。
個人的には、Creemaの中国版に興味があります。2016年7月にスタートしたばかりですが、商品を香港と台湾で販売できる越境ECサービスです。あと越境だと、世界一のハンドメイド売買サイト「Etsy(エッツィー)」も世界中の商品が買えて、レベルも高いので、見ているだけでも楽しい。
minne | https://minne.com/ |
creema | https://www.creema.jp/ |
Etsy | https://www.etsy.com/jp/ |
東急ハンズ Hands Gallery Market | https://hands-gallery.com/ |
tetote(テトテ) | https://tetote-market.jp/ |
iichi(いいち) | https://www.iichi.com/ |
クラパカ | http://www.crapaca.com/ |
●クルマシェア
引用:登録してドライバーになりますか、タップしてご乗車になりますか | Uber
世界で見たときに一番新時代っぽいクルマ系CtoCマッチングサービスは「UBER(ウーバー)」でしょう。
UBERは、個人が自家用車を使って営業する乗り合いタクシーのマッチングサービスです。料金の安さや、レビューでドライバーの評価が事前にわかるといったメリットから世界的に大ヒット。世界70カ国・450都市で展開し、2015年の売上は1兆3000億円と言われています。
その他には、自家用車を空いている日に貸す、「Anyca(エニカ)」「Cafore(カフォレ)」といったサービスがあります。企業系のカーシェアと比べて車種のバラエティが豊富で選ぶのが楽しいですね。
UBER | https://www.uber.com/ja-JP/ |
Anyca | https://anyca.net/ |
Cafore | http://cafore.jp/ |
●空間シェア(民泊)
引用:現地の人から借りる家・アパート・部屋・バケーションレンタル・民宿予約サイト – Airbnb (エアビーアンドビー)
訪日外国人の増加で注目を集めているCtoCマッチングサービスが「民泊」。今でさえ中国の旧正月などは東京のホテルがパンクしてるのに、オリンピックどうするのかと。
アメリカ発の「Airbnb」が市場を開拓し、現在は世界192カ国・3万以上の都市で80万以上の宿を提供し、売上は1000億円を超えると言われます。
日本でも2万以上の宿がサイトに登録されていますが、ほとんどは旅館業法違反の違法行為で、逮捕者も出ているとか。
そして、ホスト側が嘘の告知で人を集めたり、ゲスト側が部屋を汚したりで世界中でトラブルが多発していて、なんとかしてほしいという声多数。大丈夫か。
Airbnb | https://www.airbnb.jp/ |
STAY JAPAN | https://stayjapan.com/ |
とまりーな | https://tomarina.com/ |
HomeAway | http://www.homeaway.jp/ |
●家事・介護代行
引用:家事代行/家政婦マッチングサイトなら1時間1500円からの『タスカジ』|共働きをお助けします
ライドシェアタクシーや民泊より日常生活に近いのが、家事代行かもしれません。冒頭に出てきた「タスカジ」のほかにもCtoCの家事代行は「ANYTIMES(エニタイムズ)」があります。家事のクラウドソーシングということで、家具の組み立てや簡単なリフォームなども頼めるなど、便利屋っぽいサービスですね。
CtoCの介護代行サービスも登場しました。1回1時間1800円~で見守り・介護・家事・日常のお手伝いを頼める「ケアフル」。介護保険でカバーされない家事や、介護認定まではいかない人への介護サービスはニーズも意義もあると思うので、うまく浸透していってほしいものです。
家事代行サービスの市場規模は、CtoCだけではありませんが、経済産業省の発表では2012年度の980億円から将来的には約6000億円に拡大するそう。ホントかね?と言いたくなります。
タスカジ | https://taskaji.jp/ |
ANYTIMES | https://www.any-times.com/ |
ケアフル | https://carefull.jp/ |
20代では利用が加速中? CtoCマッチングサービス利用度調査
で、実際にどの程度CtoCマッチングサービスが使われているのか? 調査してみました。
参照:参考調査「CtoCマッチングビジネスに関する実態調査」(2016.07.21)
メルカリなどのフリマサービス、20代では5人に1人が利用中、60代だと1%以下…。これがオークションだと、60代でも利用中が16%です。デバイスの問題が大きそう。
参照:参考調査「CtoCマッチングビジネスに関する実態調査」(2016.07.21)
オークションで60代の9割以上がパソコン、逆に20代の約4割はスマホ。フリマだとパソコンという人は1割を切ります。まぁスマホ最適化でサービスがつくられているから当然という気もしますが
参照:参考調査「CtoCマッチングビジネスに関する実態調査」(2016.07.21)
家事などの代行サービスはどの年代も半分ぐらいの人が「知らない」、このタイミングではまだ認知が進んでいない状況。年代によって、20代は必要ならもう使っているし、「利用してみたい」のは子育てモードの30代と介護モードの60代、というところでしょうか。
参照:参考調査「CtoCマッチングビジネスに関する実態調査」(2016.07.21)
Uberなどのライドシェアサービス、20代の5.3%が利用経験あり。他の年代は1%いかないぐらい。「知らない」が全年代で半数以上。ていうか20代では5.3%も利用経験あるんですね。
参照:参考調査「CtoCマッチングビジネスに関する実態調査」(2016.07.21)
半数が民泊サービスを認知しているが、3割が「利用したいと思わない」という結果に。キビシイ。現在&過去利用者が4%と肩身が狭い感じです。
参照:参考調査「CtoCマッチングビジネスに関する実態調査」(2016.07.21)
利用経験者が少ないのでサンプルも少ないですが、トラブルが多いのも民泊はじめ、CtoCの特徴。たとえばホテルならホテル会社が掃除しますが、民泊だと貸す側、借りる側の神経質さが違うと、もろにトラブルになりそうです。CtoCが定着するには、ここが大きなハードルと言えそうです。
不安なのはアレ!? 民泊どう思ってるか調査
民泊について、より詳しい調査(MRCにて2016年2月実施)がありますので、それもチェック。
参照:参考調査「民泊」に関する意識調査(2016.02.18)
「Airbnb(エアビーアンドビー)」の認知率は約4割。「さすがに結構高いな。
参照:参考調査「民泊」に関する意識調査(2016.02.18)
約7割が犯罪目的で利用されることを不安視。実際、海外では麻薬取引に使われたりといったことも起こってるとか。なので今、日本では「フロントがないと違法」になってるワケです。
参照:参考調査「民泊」に関する意識調査(2016.02.18)
戸建て居住者の約3割が、周辺で「民泊サービス」が増えたら「引っ越し」を検討する。わかる。いきなり外国人が増えたらちょっとコワイかも。
参照:参考調査「民泊」に関する意識調査(2016.02.18)
4割近くが民泊サービスの自由化に「反対」。歓迎派はたったの7.7%。半数は「トラブルを未然に防ぐための法整備をするなら賛成」。たしかにドイツのベルリンなど、民泊を禁止した都市も多いです。はたして日本は??
参照:参考調査「民泊」に関する意識調査(2016.02.18)
「made in JAPAN」に勝機あり・・・だけど?
やや利用に不安が残る「CtoCマッチングサービス」。でも、Airbnbはトラブル回避を「利用者にお任せ」な感じ。
引用:Airbnbヘルプセンター
これじゃ怖くて利用できないんでは・・・
一方、海外でも比較的トラブルが少ないとされるのは「Uber」。安全性を確保できているのは、「相互レビュー」のおかげ。運転手だけでなく、「客」もレビューされ、しかも一回でも×がつくとNG。コミュニティガイドラインもとってもキビシイ基準です。
引用:お客様とドライバーの安全のために | Uber
うーん。このあたりに「CtoCマッチングサービスがブレイクするカギ」が隠されているようなカンジがしますね。
ちなみにフリマアプリが浸透したのは、規制ではなく、「エスクロー」などの利用者保護のシステム。
家事代行の「タスカジ」では、CtoCモデルだというのに、応募時に面接や身元確認があり、テストセンターでの実地研修やスキルアップ講習会までありますね。
引用:タスカジ FAQ
さて、見えてきました。CtoCマッチングサービスの本質とは「利用者とサービス提供者、両方に対する安全なマッチングプラットフォームの提供」であると言えそうです。家事代行などに見られるようにこのあたりのきめ細かさは海外発よりも「日本発」のお家芸ですねまさに日本の「お・も・て・な・し」をサービスに注入するのが吉でしょう。さすれば「made in JAPAN」が日本だけで無くきっと世界でもブレイクするハズ!!
が、政府的には、どうやら「安全野放し」っぽい民泊をなし崩し的に規制緩和して、一方でトラブル少なそうなライドシェアタクシーは厳禁、になりそう。いくらサービスが良くても世の中の仕組みがイマイチじゃあ・・・。2020年、こんなんで大丈夫なんでしょうかね?今回の参考調査は下記からダウンロードできます。記事に共感いただけましたらシェアやFacebookページの登録もぜひ。
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