おすすめマーケティング記事 2017.01.12

【 成功事例 】上手くいってるオウンドメディアのインタビューでわかったBtoBコンテンツマーケティング成功のカギ

【記事要約】
今回の記事では、「オウンドメディア継続成長のカギはなにか?」という問いに対し、事例や調査結果を交えながら考察しています。さらに、3つのオウンドメディアに絞って、実際にMRCで行ったインタビューなどをもとに、「継続運用しているオウンドメディア」の共通項は何か?というところに迫りました。コンテンツマーケティングやオウンドメディア運営に関わる方に参考にしていただければと思います。
 
 
 
目次:

 

 
 

マーケティング・リサーチ・キャンプ(MRC)が産まれて1年経ちました

 
MRCがそれまでの「自主調査レポート紹介ページ」から「オウンドメディア」に生まれ変わってちょうど1年。少しずつですが反響をいただくようになりました。私も運用者の一人として、やはり日々の勉強は欠かせません。
 
実際に運営してみて私が一番難しいと思ったのは、「継続成長させること」。この点について、他の企業はどんな風に取り組んでいるんだろう?ということでいろいろと調べてみました。インタビューなども行っていますので、ぜひ参考にしてみてください。
 
まずはオウンドメディアってそもそも何?から。
 
 

 
 

オウンドメディアってそもそも何?

 
オウンドメディアという言葉は、2009年にアメリカで発表された「マルチメディア2.0」という論文に、「トリプルメディア」のひとつとして登場したことから広まりました。
 
トリプルメディアとは、企業のプロモーション手段としてのメディアを3つのカテゴリーに分け、コンテンツの内容や目的、予算などによって、どれを活用するべきか考えるためのフレームワークです。
 
<1>ペイドメディア(paid media)
お金を支払って掲載する広告メディア。テレビ、新聞、ラジオ、雑誌や、Webではリスティング広告やバナー広告などがあたります。
 
<2>アーンドメディア(earned media)
信頼や共感、知名度などを獲得するためのメディア。パブリシティやSNS、CGM(ユーザー投稿)サイトなどがあたります。
 
<3>オウンドメディア(owned media)
自社所有、自社でコントロールできるメディア。パンフレットやカタログ、Webではコーポレートサイトをはじめ、LP、ブログ、メルマガなどがあたります。
 
この3つはダブっていることも多く、SNSなどは通常の投稿は2とも3とも言えますし、SNS広告という1の側面もあります。
 
最近では、ここにもうひとつ加えることが多いですね。
<4>シェアードメディア(shared media)
メーカーと小売など、他社と共同で掲載するメディア。商品やサービスのポータルサイトなどをいいます。
 
この4メディアをうまく使い分け、目的によって配分を考えていくと、戦略的なプロモーションができます。
 
今回は特にWeb系のオウンドメディアを見ていきます。
 
MRCの調査で具体的に見ていきましょう。この調査はマーケティング担当者の方を対象に2015年7月に行いました。
 
オウンドメディアの目的は、ブランド認知、顧客・リード(見込み客)獲得、エンゲージメント、Webサイトへの流入増加などが高い数字です。
 
オウンドメディアの運用目的

参照(以下同様):参考調査 マーケッターに聞く!オウンドメディア活用実態調査2015(2015.07.29)
 
 
所有しているオウンドメディアの種類としては、Facebookページ、Twitterアカウント、オリジナルメディアが多くなっています。Facebookなど、他社Platformで開設すると手軽ではあるのですが、自社サイトに対するSEOの恩恵が得にくくなります。まぁ、レンタカーを一生懸命磨いている状態という感じでしょうか。可能なら、自社サイトに開設し、並行してSNSで告知する、という形がいいとされています。
 
所有しているオウンドメディア
 
運営方法は、半数が「すべて自社運営」。手間をかけていることが伺えます。すべて一人で、という会社も多いようです。
 
オウンドメディアの運用方法
 
導入効果としては、サイト流入やエンゲージメントが増えている企業が多いみたいですね。
 
オウンドメディアの効果
 
ただし、効果が上がるまでの期間は、4割が3ヶ月~半年。オウンドメディアは、広告のように即効性があるわけではありません。これは私も経験上、感じます。
 
オウンドメディアで効果を感じるまでに掛かった期間
 
今後の課題は、「継続的なコンテンツ制作」を挙げる企業が多数。やはり続けるのは難しいことなのですね。同感。調べてみると、最初だけ活発に記事更新されていても、数カ月で途切れてしまうオウンドメディアが多数(どことは言いませんが・・・)。
 
オウンドメディアの課題
 
調査結果から、課題である「継続的なコンテンツ制作」ができているオウンドメディアにはそのヒントが隠されているはず、ということで著名なBtoCとBtoBのオウンドメディアの運営期間やPV数などをまとめてみました
 
 

 
 

オウンドメディア別の運用期間・PV数・インデックス数

 
主なオウンドメディアを表にしてみました。継続日数やインデックス数(≒総記事数)を見ると、雲の上を見ているようですね。先輩オウンドメディアの中身をいくつか見ていきます。
 

オウンドメディア名 タイプ 運営会社 公開開始
(1記事目)
期間日数 インデックス数 1日記事数 PV数
LIGブログ BtoB 株式会社LIG 2007/6/27 3,466 8,100 2.3 6,500,000
サイボウズ式 BtoB サイボウズ株式会社 2012/5/14 1,683 953 0.6 400,000
経理プラス BtoB 株式会社ラクス 2014/9/4 840 695 0.8 62,000
LISKUL BtoB ソウルドアウト株式会社 2014/1/24 1,063 915 0.9 5,120,000
名刺のネタ帳 BtoB Sansan株式会社 2013/4/23 1,339 18 0.0 不明
ferret BtoB 株式会社ベーシック 2014/9/1 843 7,410 8.8 2,500,000
WISDOM BtoB 日本電気株式会社 2004/12/1 4,404 19,600 4.5 1,000,000
ソーシャルメディアラボ BtoB 株式会社ガイアックス 2010/8/17 2,319 2,220 1.0 不明
Shopping Trib BtoB 株式会社プレイド 2013/11/25 1,123 2,670 2.4 400,000
MMD研究所 BtoB MMDLabo株式会社 2006/9/1 3,765 2,500 0.7 不明
HR NOTE BtoB 株式会社ネオキャリア 2016/1/27 330 270 0.8 不明
ニキペディア BtoC ガシー・レンカー・ジャパン株式会社 2014/2/10 1,046 325 0.3 900,000
Beauty & Co. BtoC 資生堂ジャパン株式会社 2012/4/1 1,726 6,270 3.6 2,000,000
YEs!MAGAZINE BtoC サッポロビール株式会社 2015/2/17 674 155 0.2 不明
Lidea BtoC ライオン株式会社 2014/10/23 791 3,420 4.3 不明
ねむりラボ BtoC オムロン ヘルスケア株式会社 2012/3/28 1,730 468 0.3 不明
すぐ禁煙.jp BtoC ファイザー日本法人 2008/5/8 3,150 326 0.1 不明
北欧、暮らしの道具店 BtoC 株式会社クラシコム 2008/11/7 2,967 16,400 5.5 12000000

※MRC編集部制作
期間日数は公開開始から、2016年12月21日までの期間
PV数(月間)は各社発表資料、記事より抜粋。
インデックス数は「site:」で取得
公開開始は各社発表資料、記事がある場合はそちらより、ない場合は最初のコンテンツ公開日を開始日として計算

 
いくつか詳しく見ていきましょう。
 
 

●ECのオウンドメディア化の元祖「北欧、暮らしの道具店」

 
BtoCなら「北欧、暮らしの道具店」さんがスゴい。北欧の暮らし方に共感した兄妹が立ち上げた「通販」サイトなんですが、バイヤーやスタッフがつくる記事に登場する商品が買える、「オウンドメディアEC」の流れをつくりました。
 
北欧、暮らしの道具店
引用:北欧、暮らしの道具店
 
記事はたとえば下のように、写真集っぽいものもあれば、もっと文字重視のものもあります。以前は文字中心だったイメージがありますが、インスタ時代を受けて、写真重視になってきている気がします。なんせ、インスタのフォロワー50万人!超えてますから。
 
北欧、暮らしの道具店
 
あと、ここは企業としてもスゴいんです。残業ナシ、全員が定時に帰る働き方を続けながら、業績をアップさせています。徹底的にやらなくていい仕事を排除したり、最初は自由が効きにくいBtoBではなくBtoCに集中したり、個々人の仕事の稼働率を余裕めに設定したりで、残業ナシを貫いているとか。その中で1日に約5記事が生み出されています。
 

「ビジネスも野球と同じです。一打のホームランを狙うのではなく、事業のすべてのベクトルをひとつの方向に合わせ、『ヒットを連続して打つことだけ』を目標にするのです。そうすれば、ホームランを打たなくても、何点でも点が入るんです。しかし、どこかで一発逆転を狙ってしまうと、年俸の高い外国人選手や規模の大きい球場、選手たちの訓練施設が必要になってくるわけです」(株式会社クラシコム 代表取締役 青木耕平さん)

引用:「lifehacker」(2015.04.06)
18時で全員退社、それでも160%の業績を上げ続けるECサイト「北欧、暮らしの道具店」のクラシコムにみる働き方 より

 
 

●おちゃらけながら役に立つ「LIG」

 
一方、BtoBの代表格は、やっぱりLIGさん。Web制作会社がちょっとふざけたタッチでブログを載せていたら、いつの間にか営業ツールや広告メディアになっていたというサクセスストーリーです。
 
個人のブログならともかく、企業のサイトでトップ画像にコレって、すごい思い切りです。ちなみに今は企業サイト自体がオウンドメディアになっていて、専用の部署もあるとか。
 
LIG

参照:LIG
 
記事の内容は幅広く、ラインナップを見ても、
 
・【雑学ネタ】
7420万円でマグロ落札ってすげえ! でもPR効果って本当にそこまであるの?
 
・【Web制作お役立ち系】
Webデザイナーの私がお世話になっているフォント9選
 
・【エンジニア向け】
JavaScript不使用! SVGを使ってCSSでチェックボックスを作る方法
 
・【人材募集】
ともに働くデザイナー / ディレクターを募集します!
 
・【ネイティブアド】
出会って4ヶ月で婚約→入籍した夫婦が「結婚を迷わなかった理由」が超カッコいい
(婚活支援サービスの記事広告)
 
と、なんでもアリな印象ですね。楽しんでつくって、読者が増えて、広告も入って。うまく回っています。
 
 

●12年以上の歴史ある「WISDOM」

 
歴史でいうとNECさんの「WISDOM」は運営期間、インデックス数ともにスゴい。継続的なコンテンツ制作がもっともできているオウンドメディアだと言えます。
 
NECの製品関連の情報は載せず、ビジネス情報を広く扱い、IQが高い印象です。
 
WISDOM
 
歴史が長いだけに、今まで何度もリニューアルをしていて、2016年10月には大規模なリニューアルが行われ、上のようなデザインに。今まではNECが前面に出ていなかったのですが、今回は左上にしっかりロゴが。この方針変更がどう出るのか、注目したいですね。
 
 

●モバイル専門のオウンドメディア「MMD研究所」

 
歴史が長いといえば、「MMD研究所」さんも10年選手。スマホ&タブレットなどが専門領域で、モバイル専門の調査報告で知られます。iPhone誕生より早いんですから、先を見る目が光ります。
 
MMD研究所

引用:MMD研究所
 
 
記事のカテゴリーは、主には3つ。例を挙げると、
 
・【調査データ】
法人携帯端末の導入実態調査
 
・【ブログ記事】
高校生スマートフォン利用実態調査から見える光と闇
 
・【インタビュー】Webサービスへのインタビュー
「軒先」が提供するスペースシェアから生まれる新たな出会いと価値
 
と、マーケターには役立ちそうな記事が並びます。サイト自体がSEO的に評価が高く、モバイルの調査関連のキーワードでは軒並み上位に来ます。
 
 

●スタート1年、ハイペースな記事更新が続く「HR NOTE」

 
逆に、運営期間が1年未満なものの、中身の濃いコンテンツを量産しているのが、「HR NOTE」さん。採用、人事、労務といった、人事部向けの専門情報に特化したオウンドメディアです。
 
HR NOTE

引用:HR NOTE
 
 
主なカテゴリーは5つ。記事例を挙げておきます。
 
・【人事知恵袋】人事労務関係の知識
知らないでは済まされない?勤怠・労務管理に関する意外な4つの判例
 
・【HRTech】人事・採用系のテクノロジー情報
新卒採用おすすめ採用管理ツール|厳選3選
 
・【攻めの人事】特徴的な採用手法の紹介
「麻雀採用」「内定者リファラル」など、斬新な採用を生み出す理由とその効果とは?
 
・【HR情報】その他人事に役立つ情報
何が退職の引き金となるのか?退職につながる7つの理由をまとめてみた
 
・【海外トレンド】海外の採用トピックス
CHO/CHRO(最高人事責任者)とは?経営計画に欠かせない「ヒト」を動かす戦略
 
かなり特化した情報だけに、一度ファンになってもらえれば、読者と長く深く関係を築くことができそうです。
 
 
ほかにも数多くのオウンドメディアがあります。それぞれを深く見ていくと、違いが際だってとても参考になります。
 
と、オウンドメディアについて、駆け足でざざっと見てきましたが、続いて継続期間の長い「WISDOM」「MMD研究所」、そして継続期間が短いが内容の濃い「HR NOTE」の3つについて、どういうコンセプトで、どうやって運営しているのか、さらに「深掘り」していきます。
 

 
 

「MMD研究所」に見る、オウンドメディア立ち上げ期に露出を増やした施策とは?

 
ちょうどタイムリーなんですがMRCの記事でも、オウンドメディアへのインタビューを行っています。まず「MMD研究所」さんからご紹介。
 

「MMD研究所は2006年の9月に公開しました。アメリカで初代iPhoneが発売される1年前ですので、i-modeを中心としたガラケーからスマートフォン時代に突入していくタイミングですね。MMD研究所は、アップデイトというモバイルのメディアレップの新規プロジェクトとして発足しました。モバイル広告を取り扱ううえで、モバイルに関連する消費者動向を自分たちでも調べていこうと」
(MMD研究所 所長 吉本 浩司氏)

引用(以下、指定外):MRCインタビュー(2016.12.13)
リサーチデータをアウトプットして得られた成果とは?スマホ黎明期からモバイル専門のオウンドメディアを運営するMMD研究所が実践したコンテンツマーケティング より

 
 
最近では、見やすいインフォグラフィックスが目を惹きます。これつくるの、相当パワーがかかっているだろうと思います。
 
MMD研究所

引用:MMD研究所(2016.07.28)
インフォグラフィックで見るスマートフォンカメラの今 より

 

「インフォグラフィックスを作成するときには『データをそぎ落とす』ことをやっています。わかりやすくインパクトがあるぶん、発表する要素を削らないと、かえってわかりにくい表現にもなってしまうと感じています。自分たちが本当に言いたいことは何なのかを見極めるために、データと向き合うことに時間をかけています」(吉本氏)

 
 
とはいえ、ここに到達するまでには、かなり紆余曲折あったそうです。今ほど日本でオウンドメディアが一般的でなかった時代からのスタートですし、モバイル環境時代が大きく揺れ動いている時代ですので、余計大変だったと思います。その中で、吉本さんが行き着いたのはシンプルな答えでした。
 

「『我々の顧客は誰なのか』、『その顧客が求めている・知りたいことは何なのか』、『その知りたいことを提供するコンテンツは何なのか』、『知ってもらった後にビジネスに繋がるコンテンツは何が必要なのか』を模索していく日々が続きました」(吉本氏)

 
そして、コンテンツ量産も広告もできないという、自社の限られたリソースを考えて、自社の調査を広めるためのメディアキャラバンを行ったそうです。
 

「我々ができることはモバイルユーザーを調査することですが、そのデータを届ける手段がありませんでした。その時にコンテンツマーケティングで知った“ターゲットが能動的に情報を探しにくる場所で見つけてもらう”ことを思い出し、業界動向や最新情報が乗っているニュースメディアにデータを提供することに力を入れました。メディアが発信する最新の業界動向を業界関係者はチェックすることから、メディアの編集部の方や記者、ライターの方へ積極的に『どんな情報を欲していますか?』『これから注目される分野は何ですか?』とひたすら聞きに動くことでMMD研究所のデータも徐々に取り上げていただき、メディアを通じてモバイル業界の方に知っていただく機会が増えてきました」(吉本氏)

 
うまく軌道に乗ってきたところで、2014年に大きなリニューアルをされています。特にバックエンドにこだわり、より「顧客が求めるもの」を把握できるようにしました。
 

「リニューアルする際にフロント側も変えましたが、一番こだわったのはバックエンド側のシステムでした。どうしても実装したい機能があったので独自CMSで組み上げました。仕組みはMA(マーケティングオートメーション)に近いのですが、当社が何百と発表した調査データをジャンルごとに分け、誰がいつどんな情報に接触しているかを確認できるようにしました。そうすることで〇〇会社の〇〇部門の部長さんはAという関連調査データを良くダウンロードしながらB、Cのデータにも関心を持っているというようなことが把握できるようになりました。調査データを見に来る人が何に関心があるかが分かったことで、本格的な編集組織をつくり、調査データ以外に関連コラムやインタビュー記事、業界セミナーなど独自コンテンツを増やし、モバイル業界の専門性を高める取り組みをしました」(吉本氏)

 
フロントエンドはインフォグラフィックで華やかにし、バックエンドはMAでより精度の高いユーザー分析をするーー。これぞWebならではのリニューアルです。
 

 
 

「WISDOM」に見る、コンテンツの運営方針をブレさせないための施策とは?

 
NECが広くビジネス情報を発信し続けている「WISDOM」。NECが運営するオウンドメディアでありながら、NECの新製品が発表されても、紹介記事さえないという、ストイック?なメディアです。
 
このオウンドメディアには以前から注目していて、「なぜNECを前面に出さないのか」不思議に思ってました。出した方が信頼度アップするだろうにと。インタビューを読むと、理由は読者層の広がりだったようです。
 

「NECを強く押し出すと、会員がIT関連の人に限られてしまいます。経営企画やマーケティング、研究開発に従事している方など、多彩な会員を得たいという狙いから、URLにもNECを含めない形で独立することになりました」
(NECマネジメントパートナー マーケットコミュニケーション事業部 第一マーケットコミュニケーション部 シニアエキスパート 桑原通江氏)

引用:「マイナビニュース」【連載】うちのオウンドメディア
企業色を薄めた情報提供で76万人の会員獲得するNECの「WISDOM」(2015.12.04)

 
それから、会員制であることがサイト上で強調されていることも特徴だったのですが、メルマガが発展したことが理由のようです。
 
WISDOMのあゆみ
 
 
サイト上ではNECの顔はあまり出ないものの、会員データはマーケティングやセールスに活用されているとか。
 

「会員情報をCRMに取り込み、WISDOMとコーポレートサイトのログや、セミナー参加情報などをあわせて行動分析を行います。そこから出てきた情報を営業担当者に引き渡し、お客様へのアプローチに使うという形です。もちろん、セミナー等のターゲティングメールを送信する時にも利用しています」と桑原氏。

 
ここまでマーケティングに活用されるオウンドメディアも珍しいんじゃないでしょうか。どの記事を見た人にどういうアプローチをすると受注に結び付きやすいか、といった実用的なデータも手に入りそうです。
 
そう聞くと、体制的にも大所帯が想像できますが、編集部の「中の人」は4人

「社員は私を含めて4人で、企画等を担当します。実際に記事を書いてくださるコラムニストや取材記事を担当するライターはたくさんいらっしゃいます。ほかに執筆者と我々の間に立ってくださる代理店と、グループ会社のコンテンツ担当をしている部門、システム担当部門、問い合わせ担当といった人が関わっています」(桑原氏)
こうした各種担当者が集まって行うのが、週1回の編成会議と月1回の問い合わせ定例会議、月2回のシステム関連会議だ。こういった打ち合わせを経て、週に3~4本の記事を掲載する。更新タイミングを毎週金曜日とし、その後自動でTwitterやFacebookでの告知を行うしくみだ。毎週月曜日には前週末に公開した記事について掲載したメールマガジンも発行する。

 
外部代理店、グループ会社など、外の人の協力者は多そうですね。充実したスタッフィングで、うらやましいです。
 
それから、読者視点でのフィードバックを受けているというのが新鮮でした。
 

今は”つなぐ。つながる。”をテーマに、NECの名前を出さない方針で編集しています。記事内容としては、ためになった、ヒントになったと思っていただけるようなものにしたいですね。ブランドイメージを上の方に置いておきたいので、それにそぐわないようなものは扱いません」と語る。こうした方針からブレがないかどうかは、年に1回行う会員向けの調査からフィードバックを受け、確認しているという。

 
雑誌やPR誌だと、読者ハガキが差し込まれていたりして、読者の声を聞く機会は多いものですが、Web上のオウンドメディアの場合、どうしてもアクセス解析に頼ってしまいがちだと思います。それだけではなく、ユーザーに「調査」を行うことで、社内外とのコンセンサスをハンドリングしやすくしているとか。MRCでも取り入れたいですね。
 
と、やはり長く続くメディアの取り組みはさすがに違うなと思いっぱなしでした。「WISDOM」は2016年10月のリニューアルで大きく変わりましたので、今後はどう変わるのか、楽しみなオウンドメディアです。
 

 
 

「HR NOTE」に見る、コンテンツが人をつなぎ、人がコンテンツをつなぐ

 
最後も、MRCのインタビューより。1年で人材系オウンドメディアとして人事の信頼を集めるまでになった「HR NOTE」の根本編集長に、その秘密を伺いました。
 
「HR NOTE」の母体は、採用や人材紹介、派遣といった人材サービス会社のネオキャリアさん。最近では、ターゲティング広告や国内初の人事向けプラットフォームなど、いわゆる「HR Tech」企業として、さまざまなWeb サービスも展開しています。その過程で、オウンドメディアが誕生したそうです。
 

「もともとは人事向けプラットフォーム『jinjer(ジンジャー)』のドメイン強化やSEO、集客や問い合わせの導線としてブログを作ろうというところからスタートしました。記事の内容も『jinjer』の機能紹介や開発秘話、事例紹介などを考えていて、どちらかというと『jinjer』のプロモーション色が強かったですね。ただ、チームメンバーと打ち合わせを重ねていくうちに、最終的にそれをやめて『人事の役に立つメディアにしていこう』という考えに落ち着きました」(HR NOTE編集長 根本氏)

引用:MRCインタビュー(2017.01.00)
【インタビュー】ネオキャリアの「HR NOTE」は何故“たったの1年”で人事担当者から圧倒的に支持される人材系オウンドメディアへと成長できたのか?

 
 
たしかに、オウンドメディアに自社商品の紹介などが登場すると、メディアというより広告色が強くなり、読者が離れてしまう傾向があります。
 

「Web を見ているとマーケティングのノウハウ、それこそリスティング広告とかSEO とか、そういうのはいっぱいあるのですが、『採用』の具体的なノウハウってほとんどない。たとえば『新卒採用時の口説き方』みたいに手法まで落とし込んでいるものは皆無だと感じました。でも、現場の人事担当の方に聞くとあるんですよね。じゃあそれを紹介していこう、今それがWeb にないのなら、人事の役に立つような、気づきを感じてもらえるようなメディアを自分たちで作ろうと、そこで今の方向性がカチっと定まりました」(根本氏)

 
そこから1年で認知度を上げるために、どんな運営をしているのでしょうか?
 

「まずは最低1 日1 記事という更新頻度は落とさないでおこうというので運営をしています。それはやっぱり記事を見てくれているユーザーのためですね。あとはいろいろなメディアを日々見て研究しています。新たな視点や切り口など学びになることが多い。そんな中で迷ったら原点である「ユーザーファースト=人事の役に立つのか」と照らし合わせるようにしています」(根本氏)

 
メディアを続けていると、「伝えたいこと」と「読者が読みたいこと」のバランスが、どうしても伝えたいことに傾いてしまいがちです。そうすると、読者から離れてしまう。オウンドメディアの場合も、市販の雑誌などと同じで読者が離れるのは、メディアの存在意義がなくなることを意味します。
 
そうならないためにどうするべきなのか。「HR NOTE」は、根本氏のメディアへの愛情も大きな特徴です。
 

「私は『HR NOTE』に対する愛情では誰にも負けないと自負しています。文字通り24 時間365 日『HR NOTE』のことばかり考えています。夢にも出てくるくらい。でも、自社メディアを愛しすぎてつい『保守的』になってしまうことがあります。今までのルールや自分が積み上げてきたものを大事にしすぎてしまう。なので意識して『周りの意見に耳を傾ける』ということをしています。どんな突拍子のない意見でもまずは受け止めるようにしています」(根本氏)

 
このような方針で運営を続けで、メディアも成長していますが、ドメインが強くなったり、アクセス数が上がったり、といった数値的な指標だけでなく、人とのつながりが広がったのだとか。
 

「公開した記事がきっかけで、気がつけば人材サービス領域で著名な方ともつながりを持つことができました。そいういった人たちがまた『HR NOTE』の記事をSNS でシェアしてくれたりして、またいろんな人とつながる。『HR NOTE』というオウンドメディアを通して、人と人との輪が広がっている感覚があります」(根本氏)

 
そんな人的資産も増やしながら、誕生から1年経ち、これからどこへ向かおうとしているのでしょうか?
 

「『人事の役に立つメディア』という軸はブレることなく、独自のポジションを確立したいですね。今は人材系のオウンドメディアも多く『オウンドメディア戦国時代』だと感じています。そんな中で『HR NOTE』はユニークでおもしろい、ためになると言ってもらえるようなメディアにしていきたいと考えています。ちょっと言い過ぎかもしれないですが『人事の教科書』になるぐらいのメディアを目指していきたいですね」(根本氏)

 

 
 

オウンドメディアを継続成長させるカギとは?

 
さて、成功しているオウンドメディアいろいろと深掘りして見ていくと、継続成長させていくためには共通したカギがありそうです。
 
(1) ツールから取得できる数値指標のみで運用方針を判断しない
(2) ユーザーニーズを「調査」することでそれを運営方針に反映させる
(3) 徹底したユーザー分析(ニーズ分析)を行い、コンテンツに反映させる
(4) ツールでPRするだけではなく、実際に足を運んでメディアを巻き込んでいく
(5) ネットだけなく、リアルでの出会いをもコンテンツプロモーションに活かす
 
どれもひとつひとつを一度だけやるのであれば、難しくないかもしれません。しかもそれほどお金がかかるものではありません。ただ、やり続けていくのは難しいそうです。それを可能にするのはコレ。
 
メディア愛!!! です。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございます。オウンドメディアに関する調査はこちらをご参考にしてください。
 
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