おすすめマーケティング記事 おすすめ 2017.01.24

国内外で快進撃を続けるフリマアプリのトッププレイヤー。”メルカリ流マーケティング”から学んだ「攻め続ける」ために大事なこととは?

2016年12月には日米合計6000万DLを突破した、フリマアプリのトッププレイヤー「メルカリ」。海外展開やTVCMなど積極的なプロモーションを続ける同社の戦略について、マーケティング担当の鋤柄さんに聞いた。
 
 

編集部:まずは貴社のことについて簡単に教えてください。

 

フリマアプリの「メルカリ」というサービスを提供しています。TVCMも行っているのでご存じの方も多いかと思います。特長としてはオールジャンル、オールターゲットで、どなたでもスマホで簡単に商品を出品したり、購入したりできるサービスです。最近では「車」などの大きい物も出品できるようになりました。

現在発表している数値で言うと、日米合計で6000万ダウンロード、日本国内だけで4000万ダウンロードで、今もなお増え続けています。

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株式会社メルカリ シニアマーケティングスペシャリスト 鋤柄直哉氏

 

編集部:鋤柄様の仕事についても教えていただけますか?

 

私は2014年1月にメルカリに入社しました。サービスがリリースされたのが2013年7月なので、約半年後ですね。もともとはモバイルゲームの会社でデジタルマーケティングを行っていました。ちょうどメルカリでもデジタルマーケティングの立ち上げ時期で、その一人目としてジョインしました。現在の業務は幅広く、デジタル領域以外にも「オフライン」にも力を入れています。
 

編集部:「オフライン」というとたとえばどんな施策ですか?

 

TVCMはもちろん、日本全国でリアルでのフリマイベントを開催したりしています。最近だとイベントへの協賛などもやっています。2016年の夏にはケツメイシさんのライブイベントに協賛し、彼らの私物や過去のライブグッズなど合計70品ぐらいを提供していただき、メルカリに出品してもらったり、会場内にメルカリのブースを設営しそこの景品としたりしました。このようなメルカリというサービスを活用して、アーティストなど有名人の方々とファンとの「架け橋」になれるような取り組みを増やしていきたいと思っています。

また、TVCMに出演していただいている渡辺直美さんをメインに起用して、福岡のテレビ局で「メル狩リ族present’s 渡辺直美の幸せ相談所」という番組をメルカリとして制作・放映しています。これは今悩んでいることをメルカリを使ってもらって解決する、というような番組です。たとえば街でインタビューして見つけた、ハタチぐらいの若い男性が、結婚式を挙げたいのにお金がないと悩んでいた。そこで、彼の私物や渡辺直美さんや芸人さんたちの私物などをメルカリに出品して、その売上げをもとにメルカリでウェディングドレスを買ってプチ結婚式を行う、という回がありました。

TVCMをはじめとした、このような「オフラインプロモーション」には今非常に力を入れていて、その効果測定で調査も使ったりしています。
 

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編集部:メルカリといえば、当時デジタル中心のアプリマーケティングの領域でいち早く「TVCM」に乗り出したことで話題になりました。なぜ「TVCM」をやろうと思ったのですか?

 

もちろん、メルカリも最初はデジタルマーケティングからでした。ただ、アプリの構想段階で、メルカリのようなマーケットプレイスのサービスは、人が集まれば集まるほどマッチ率が高まり、さらに人が流入してくる、ということは既に認識していたと思います。いずれオフラインで露出を増やしてスピード感をもってスケールさせていく、というイメージは最初から持っていて、もちろんTVCMもその手段のひとつとしてあらかじめ想定していました。当時、メルカリはフリマアプリとしては後発で、すでにいくつもの競合がいました。そんな中、自社のサービスを拡大させながら「フリマアプリ」という市場そのものも大きくしていく手段として最適だろうと判断したからです。
 

編集部:アメリカにも進出されていますが、日本とアメリカでの違いで苦労したことなどはありますか?

 
ちょうど2016年11月にアメリカではじめてTVCMを放映しました。日本とアメリカではそもそもテレビについての考え方が違うように思います。そもそも、局の数がとてつもなく多くて日本とは比べものにならない。地上波だけでなくケーブルテレビもある。ですので、最初に100個以上ある局の絞りこみからはじめました。アメリカでは局によってずいぶんカラーが違います。提供している番組も局によってさまざまです。今回のCMキャンペーンのメインターゲットはF1層に設定したので、若い女性が見ている番組が多いテレビ局を選定しました。日本ではTVの効果計測にのべ視聴率、つまり「GRP(gross rating point)」を使いますが、アメリカでは「TRP(target rating point)」を主に使います。また向こうは基本的にCMは15秒ではなく30秒です。15秒もないわけではありませんがとても少ない。CM枠も日本に比べて多いです。そういった違いを加味してマーケティング方針を決めていく必要はありますね。
 
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編集部:外から見ていると、メルカリはとてもマーケティングに成功しているように見えます。何かマーケティングにおいて重視していることはあるんでしょうか?

 
サービスや会社組織のフェイズによって、マーケティングのスタイルやコミュニケーションを変えている点ですね。たとえば、サービスの立ち上げ時期はデジタル広告の出稿を100%インハウスで行っていました。それからスケールさせるタイミングで、当時は担当者が自分ひとりだったのでいくつかの代理店にお願いして、今度は代理店100%になりました。そして、2016年のはじめぐらいからは、再び一部インハウス化をスタートさせ、インハウス比率も最近ではかなり伸びてきました。それはマーケティングチームのメンバーが増えてきたことも要因のひとつですが、メディアによって代理店がいいとか、インハウスがいいとか、それぞれに特長があるからという理由もあります。現在はメディア単位で体制を分けています。

CMのクリエイティブも実はサービスのフェイズで変えています。最初のTVCMは「売り買いできる・フリマアプリ・メルカリ」ぐらいのシンプルな内容しか伝えていませんでした。まだ認知度がない中で、情報過多になりすぎないようにという配慮です。ある程度認知度が上がってきた段階で、メルカリを使うことによるメリット訴求に変えました。「メルカリという名前だけは知っている」という人に、メルカリを使うとこういうことができるよ、というメリットを知ってもらって「自分事化」してもらう。今も基本的にはその方針ですが、中長期的に見るとコミュニケーション戦略をまた考えなければならないと思っています。2017年にはクリエイティブテストみたいなものも積極的にしていこうかと。
 
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編集部:2016年はCtoCサービス、あるいはシェアリングエコノミーというキーワードが話題になりました。いっぽうで、MRCの調査では利用にあたって「安全面」などに不安を感じるという調査結果も出ています。そんな中、「フリマアプリ」は比較的市場に受け入れられていると思うのですが、その理由はどこにあるんでしょうか?

 

基本的にメルカリは「モノ」のCtoCです。そうするとどうしてもトラブルが起こってしまうこともありますが、メルカリでは全社的に「カスタマーサポート」にはとても力を入れています。現在(2017年1月時点)、仙台に約200名、東京にも約50名のカスタマーサポート体制で、ユーザーからの問い合わせや利用規約に違反する出品物などにスピード感をもって対応しています。たとえば、購入した商品が手元に届かなかったなどといった場合にはメルカリが全額保証する、という対応まですることもあります。そこまで手厚く対応する理由として、たった1回の取引で嫌な思いをしたことが原因で、メルカリの利用をやめてしまうのではなく、それを我々がフォローすることで1年、2年、3年とできるだけ長い間ユーザーとの関係を築いていきたいという考えが根底にあります。
 

編集部:これからのマーケティングの展望をお聞かせください。

 
アメリカ、イギリス含めグローバルで成功していくというのが今の一番の目標です。そこに向かってマーケティング担当として新しいユーザーとの出会いを創っていきたいと考えています。もちろん、日本国内もまだまだ市場を伸ばせると思っています。2017年は今まで以上に新しい取り組みをしていきます。もちろんTVCMも。いろいろ試してみたいと思っています。楽しみにしていてください。
 
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編集部:新しい取り組み、新たな挑戦ということですが、普通トッププレイヤーになるとなかなかそこまでアグレッシブになれないこともあるかと思います。なぜそこまで「攻め」られるんですか?

 
もちろん、会社自体に体力があったり、資金調達をしっかりしていたり、という面もありますが、メルカリでは大切にしているバリューが3つあって、「Be Professional / プロフェッショナルであれ」と、「All for One / 全ては成功のために」、そして「Go Bold / 大胆にやろう」です。特に3つめの「Go Bold」は社内でも共通言語として普通に飛び交うぐらい大切にしています。どこの会社もやっていないことをやっていこう、大胆な施策を打っていこう、そのためにいろんなところにアンテナを立てていこう、そんなメルカリの風土が「新たな挑戦」の推進力になっているんだと思います。
 

編集部:ありがとうございます。最後に、これは皆さんにお聞きしているんですが、鋤柄さんにとって「調査」とは?

 
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2つあると思っています。まずひとつめは、「ユーザーと自分との感覚のずれを埋める機会」ですね。マーケティングを行う上で、どんな人にメルカリを使ってもらうのか、その人たちに対してどのようなコミュニケーションをしていくのか、それらを考えるためには自分自身の感覚がユーザーに「近く」なければいけないと思っていますし、そこをしっかりと理解しなければならないと考えています。定量的な調査で自分が考えていることとユーザーとの間に「感覚のずれ」がないか、そのために調査を活用しています。

もうひとつは、「社会に自分の仕事を評価してもらう」ということ。デジタルでもTVCMでも、自分のやっているコミュニケーション方法が本当にあっているのか、社会に受け入れられているのか。わかりやすくいうとクリエイティブの好感度であったり、認知度が向上しているかであったり。それらを調査することで、自分の仕事の成果や社会からの評価を数値的に理解することができると思っています。

編集後記:
“メルカリ流マーケティング”というものを定義するならば、ユーザーのこと、自社のポジショニング、競合、それらを複合的に考えながら、その時点での「フェイズ」に合わせて「どのようなコミュニケーションをすべきか」という課題を文字通り「Go Bold」な手法で解決していく、ということではないだろうか。そしてその根底にあり、推進力となっているのは「ユーザー理解」にあるように思う。「自分の感覚にずれがないか」を常にチェックしているという鋤柄さんのコトバからはそんなメルカリ社の徹底した姿勢を感じることができた。2017年も着目していきたい。

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関連調査:フリマアプリとネットオークションを徹底比較!「CtoCサービス実態調査」

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