おすすめマーケティング記事 おすすめ 2017.02.01

【事例と便利ネタあり】「マーケティング・リサーチ」入門~代表的な手法と調査時の注意点、活用方法などなど必要な情報を総まとめ~

【記事要約】
この記事は、これから「マーケティング・リサーチ」に取り組もうとされている方を対象に、「マーケティング・リサーチ」の代表的な手法やメリット、デメリットを紹介し、調査前の準備段階で意識すべきことから、調査票の作成方法、その後の活用方法までを幅広く解説しています。ぜひ「マーケティング・リサーチ」の実務に役立てていただければと思います。
 
 
 
目次:

 
 
 
近年、データの重要性が増しています。「データドリブン・マーケティング」といった言葉も目にするようになりました。それに伴い、「マーケティング・リサーチ」の需要も、ますます高まっています。企業の商品開発における市場調査や、他社へプレゼンテーションを行う際のエビデンス、またコンテンツマーケティングのひとつの手法として、注目を集めているのです。

JMRA日本マーケティング・リサーチ協会 第41回経営業務実態調査

参照:JMRA日本マーケティング・リサーチ協会 第41回経営業務実態調査
 
 
上記は、JMRA(日本マーケティング・リサーチ協会)が、2016年7月21日に発表した調査結果を参考に、グラフ化したものです。これを見ると、マーケティング・リサーチの市場規模が年々上昇傾向であることが、おわかり頂けると思います。
 
一方で、はじめて「マーケティング・リサーチ」に取り組まれる多くの方にとっては、まだ敷居が高いという話もよく耳にします。どんな調査手法あるかわからない、何から始めたらいいのかがわからない、など、特に「インハウス(他社に依頼をせずに自社で調査を行う)」で調査をする場合は、自社にとって最適な調査方法を見つけるまでに、担当者が学ぶべき項目は多岐にわたります。さらに、必死で考え、調査手法を検討し、実際に調査をして得られた結果が「全然意図した調査結果ではなかった」となれば、それまでかけた多くの費用も時間もムダに終わってしまいます。以降の章では、複雑多岐にわたる「マーケティング・リサーチ」をわかりやすく整理するとともに、基本的な調査のノウハウについてご紹介します。

 
 
 

「マーケティング・リサーチ」の基礎
〜手法やメリット、デメリットを整理〜

 
 

マーケティング・リサーチとは?

 
「マーケティング・リサーチ」とは日本語でいうと「市場調査」です。自社のマーケティング活動を行う目的で、様々な情報を集め、分析し、施策などに活かすことを指します。
 
 

企業がマーケティング・リサーチを行う目的

 
企業は顧客に製品やサービスを販売することで利益を得ています。顧客とは、BtoBの場合は企業内のビジネスパーソン、BtoCの場合は消費者のことです。マーケティング活動を成功させるためには、ターゲットとするビジネスパーソンや消費者が求めているものを知り、自社製品に対するイメージを知り、不便に感じていることを知る必要があります。それらを知るために、マーケティング・リサーチは行われます。
 
近年は、ビッグデータと同じ文脈の中で語られることも多いマーケティング・リサーチ。ビッグデータは、Webサイトへのアクセス情報、ショップのレジでのPOSデータ、GPSの位置情報など、「誰が」が不明な、「どうした」という行動結果だけが膨大に集積されたデータがほとんどです。しかし、マーケティング活動を行うためには、「誰が」や「どんな人が」という情報は欠かせません。そこで、ビッグデータにマーケティング・リサーチで得られるデータや知見をプラスして、活用しやすい情報にしようという動きも出てきているようです。
 
 

マーケティング・リサーチと市場調査の違い

 
マーケティング・リサーチは日本語では、市場調査と訳され、同じ意味で使われることも多い言葉です。しかし専門家の間では、ある程度使い分けされています。一番明確でわかりやすい分け方は、リクルートで数々の雑誌を創刊しヒットに導いた伝説の編集者による分類でしょう。
 

市場調査とは昨日までの「人の行動」を数値で知ること。
マーケティング調査とは明日からの「人の気持ち」を言葉で知ること。
 (中略)
市場調査は数学で語るが、マーケティング調査は国語で語らなければならない。

引用:くらた まなぶ・著 『リクルート「創刊男」の大ヒット発想術 』 日経ビジネス人文庫
 
実際のリサーチの現場でここまで明確に使い分けがなされているわけではありませんが、
○市場調査=過去と現在の消費者の行動をリサーチする
○マーケティング・リサーチ=未来に対する消費者の気持ちをリサーチする
という分類は的を得ています。
 
次に、代表的な手法を紹介していきましょう。
 
 

マーケティング・リサーチの代表的な手法

 

定量調査

調査対象の「量」や「割合」を測る調査のことです。調査結果を、比較や集計可能な数値として表現する手法で、一般的にはグラフや表などで構成されたレポートをアウトプットします。例えば、Aという商品がどれくらいの数、認知されているか(認知度)、どの年代に利用されているか(年代別利用率)などを明らかにするために使う調査方法となります。通常、1回の調査に約100~1000ほどのサンプル(回答者)を利用します。代表的な調査方法は下記になります。
 

アンケート調査

 

・訪問調査

調査員が調査対象者の自宅へ訪問しアンケート調査を実施
 

・電話調査

調査員が電話で対象者にアンケート調査を実施
 

・FAX調査

アンケート回答をFAXで送付してもらう形式
 

・インターネット調査

インターネットを利用した調査で、調査票の作成から実査、集計までを自社で行う「セルフ型」と、全て専門会社に依頼して行うタイプがある。
 

・街頭調査

街頭などの人が多いところで、対象者を見つけ、直接アンケートを行う調査。事前に用意された対象者ではないので、調査に時間がかかる場合もある。
 

・郵送調査

調査票を対象ユーザーに郵送して行う調査

 

会場調査

事前に準備された会場で調査対象者に製品などの感想を回収しデータ化
 

ホームユーステスト (HUT)

ユーザーに家庭で商品を使用してもらい、使用した感想などを調査する手法。ユーザーに調査票を返送してもらうか、調査員が直接訪問し、回収するパターンがある。

 
 
定量調査のメリット
 

定量調査のメリット

・調査結果が数字として現れるので、説得力がある
・多くのサンプル(回答者)を得られるので、比較的誤差が少ない
・多くのサンプルを短期間で回収できる
 
 

定量調査のデメリット

・設問文や選択肢の書き方など、調査設計によって結果が変化する
・統計知識がないと、数字の理解に時間を要する場合がある
・アンケート調査の場合、質問に対する回答しか得られない
・調査によっては時間がかかり、アンケートの回収が困難なものもある
 
 

定性調査

定量調査とは違い、数字では表せない、調査対象者の意見や行動などを探ることができるのが定性調査です。例えば、Aという商品の利用率が高いのは「なぜなのか?」というような、ある事象に対する理由や要因を深く探ることができます。定性調査は、通常1対1や数名のグループなど、少人数で行われるのが特徴的です。代表的な調査手法は下記になります。
 

インタビュー式(ユーザーに直接聞く手法)

 

・グループインタビュー

グループでのインタビュー
 

・インデプスインタビュー

個人に深く聞くインタビュー

 

ショップアロング

商業施設などで、ユーザーが実際に買い物している様子を観察し、購買後のインタビューで、購買にいたった心理などの実態を調べる
 

行動観察調査(オブザベーション)

先入観をもたず、ユーザーの行動を細かく観察し、行動パターンや心理を知る調査
 

ミステリーショッパー

モニターが客となって該当店舗へ訪問し、(店舗に気づかれないように)実際の購買行動を行いながら、従業員のサービスや、商品の陳列状態や清掃状況など、店舗の現状をチェックする。
 

 
 
定量調査のメリット
 

定性調査のメリット

・定量調査では聞けない、ユーザーの生の声が聞ける
・自社の仮説や想定にとらわれない意見を得ることによって、新たなアイデア発掘のヒントになる
・ユーザーすらも気づいていない「インサイト(深層心理)」を発見することができる
 
 

定性調査のデメリット

・定量調査に比べてサンプル数が少ないため、全体の傾向とは言い切れない
・インタビュアーの能力によって聞き出せることが異なる
・会場の手配やインタビュー候補者の選定などで手間とコストがかかる
 
参考文献:
JMRX著 岸川茂編(2016) 『マーケティング・リサーチの基本』 日本実業出版社
 
「マーケティング・リサーチ」の代表的な手法を理解したところで、次は実際の調査を行う前に必要な「準備」について紹介します。こちらもとても重要です。

 
 
 

調査をはじめる前に確認すべき「4つの項目」

 
ここからは調査の代表的な手法、「定量のアンケート調査」を例にとって紹介していきます。「アンケート調査」では、調査を始める前に「準備」をしっかり行うことが重要です。ここの「準備」をしっかりしておかないと、「不十分な調査結果」となってしまう場合もあるので、しっかりとおさえておきましょう。
 
 

目標設定

 
まず、出発点である「調査の目的を明確にします。「売上アップのために」のような漠然とした目的では広すぎます。自社のマーケティング上の課題を整理して、優先順位の高い目的、さらに調査で明らかにできる目的を選びます。たとえば、下記のようなものです。
・商品Aをシニア層(など特性の層)に拡販する方法を知りたい
・商品Bの競合商品とのイメージの違いを地域別に知りたい
・現在考えている商品Cのリニュアル後のスペックがターゲットに受け入れられるか知りたい
欲張らずに目的を絞ると、調査設計がスムーズに進められます。
 
調査の目的を明確にしたら、次は調査の目標を設定しましょう。その際には、自社やその商品を取り巻くビジネス環境を再確認することが必要です。市場の状況や今後の予測、調査対象となる製品やサービスは現在どの程度普及が進んでいるのか、地域差や年齢による差はあるのかなどを調べます。それによって置かれている状況がわかり、目標設定や調査時の質問作成にも役立ちます。
 
そして、目標設定をする際には、調査後の活用方法まで検討しておくことをお勧めします。例えば、「商品Aのシェア拡大に活かすために、調査を通じて自社の強み、弱みを明らかにする」という目標をたてます。この場合、「商品Aのシェア拡大に活かす」が調査後の活用方法で、「自社の強み、弱みを明らかにする」ことが調査を通して得る情報、つまり調査目標となります。
 
 

現状把握

 
目標設定ができたら、現状を把握します。現時点で顕在化している「自社の強み」「自社の弱み」とは何かを細かく整理しましょう。「細かく整理する」ということは、「具体的に掘り下げる」ということです。先ほどの目標設定の例を軸にして話を進めると、「商品Aは他社に比べ販売店舗が少ない為、シェアが低い」という弱みと、「商品Aは展開する店舗数が少ないがレア感があり、リピーターが多い」という強みのように詳しく分析します。詳しく掘り下げることで自社の現状がわかり、後に調査票を作成する際、質問項目を作成しやすくなります。
 
 

仮説の設定

 
目標設定、強み、弱みの分析が終わったら、それらを元に仮説をたてます。ここでの仮説は「調査結果の予測」です。例えば、「商品Aのシェアが悪いのは、」という仮説を立てます。このときも、1つだではなく複数の仮説をたてるべきです。具体的には、「パッケージのデザインが悪い」、「価格が高い」、「味が甘すぎる」など複数の仮説をたてておきます。その仮説がアンケート調査での「選択肢」になります。事前に複数の仮説(調査結果の予測)を立てられていることが重要です。
 
 

予算/期限の設定

 
目標設定、現状把握、仮説設定までが終わったら、調査にかけられる費用と時間(全体像)を把握しておきましょう。「マーケティング・リサーチ」にかかる費用と時間は調査手法によって様々です。すぐに調査できる手法もありますが、手法によっては調査までに時間がかかりますので、期間や予算を見誤ると事業計画にずれが生じる可能性もあります。ある程度余裕をもって取り組むことをお勧めします。また、準備段階から実査までの一連の流れを予測しておくとよいでしょう。

参考文献:
JMRX著 岸川茂編(2016) 『マーケティング・リサーチの基本』 日本実業出版社
 
 
さて、準備が整ったら、いよいよ調査開始です。

 
 
 

調査票の作成方法と注意点

 
 

調査票の作成方法

 
「調査票」と言われると難しく捉えてしまうかもしれませんが、基本的な構造はシンプルです。調査票は「誰に、何を、どんな方法で聞くか」で構成されます。1つ1つ見ていきましょう。
 
 

1)対象者の設定

まずは「誰に」の部分です。ここでは、事前の「準備」の段階で分析した内容を参考に設定します。まず目標が、「商品Aのシェア拡大に活かすため、調査を通じて自社の強み、弱みを明らかにする」ですので、対象者は「商品A」のターゲットとなり得る10代~60代の男女と幅広く設定します。調査後の集計では、性別や年代ごとに「クロス集計」などをすることも想定されるので、このように回答者の性別や職業、年代などの属性をあらかじめ設定しておくとよいでしょう。
 
 

2)質問項目の設定

続いて、「何を聞く」かの部分に移ります。調査票の作成を始めると、どうしても多くのことを質問しがちになりますが、事前分析で設定した「目標」に沿って、必要なことだけに絞りましょう。あまり多くの質問をすると、アンケート回答時のユーザー離脱に繋がってしまう可能性があるからです。あくまで目安ですが、下記の表を参考にするとよいでしょう。
Fastask 調査票作成の基本

参照:Fastask 調査票作成の基本
 
 
上記の「マトリクス形式」「自由回答」については次で説明します。
 
 

3)質問・回答形式の設定

次に、「どんな方法で聞くか」の部分を見ていきましょう。上記にも少し記載されていましたが、質問・回答形式には、いくつか種類があります。
 

選択回答

あらかじめ用意された回答から選択する回答方法
 

・シングルアンサー形式

選択肢の中から、1つだけ選択する回答形式。
 

・マルチアンサー形式

一つの質問に対して複数の回答項目から、複数回答をする形式。

 
選択回答では、大きくわけると上記2つの回答形式に分かれますが、他にも、便利な回答形式があります。
 

マトリクス形式

選択肢が同じ場合は、複数の質問を一度にまとめて聞くことができます。それが「マトリクス形式」です。下記の画像をご覧ください。

Fastask マトリクス形式は、表上と表左の項目に留意せよ

参照:Fastask マトリクス形式は、表上と表左の項目に留意せよ
 
 
上記がマトリクス形式の例です。「イメージから想定する果物についてあてはまるものをお選びください」という問いが1つのように見えますが、実際は「健康に良いというイメージから想定する果物」や「美容によいというイメージから想定する果物」というように、複数の質問を共通の選択肢(この場合は果物の種類)で回答することが可能です。選択肢から1つのみ回答するのが「マトリクスシングル」、上記の例のように、1つ以上の複数回答するのが「マトリクスマルチ」と言います。

 
 

自由回答

対象者に自由に回答してもらう形式です。内容が抽象的になりがちで、また回答に時間がかかり、ユーザーの離脱に繋がる可能性もあるため、アンケート形式ではさほど多く利用されません。

 
質問と選択肢だけでも種類があり、どの形式を採用するか悩むかと思います。目標に沿って、聞きたい内容がしっかり聞けることがもちろんですが、回答者が答えやすいように適した手法を選びましょう。
 
参考:JMRX著 岸川茂編(2016) 『マーケティング・リサーチの基本』 日本実業出版社
Fastask 調査票作成の基本
 
では次に、調査票作成時の注意点をご紹介します。
 
 

調査票作成時の注意点

 
調査票作成時に注意すべき点は、様々です。ここでは、比較的つまずきやすい、「回答矛盾」「数値の表記」についての例を見ていきましょう。
 
 

マルチアンサー形式の注意点【回答矛盾の回避】

 
アンケート調査を実施するにあたって、頻繁に生じる課題のひとつに「回答矛盾」があります。下記の資料をご覧ください。
 
MRC アンケート調査票ラボ  第7回「マルチアンサー形式の注意点」

参照:MRC アンケート調査票ラボ 第7回「マルチアンサー形式の注意点」
 
 
上記の例は、「飲食店に一人で入って夕食をとるユーザーが、どの様な観点で飲食店を選択しているか」を調査しているアンケートになります。上記のアンケート項目からは、回答矛盾に関する「2つの問題」が読み取れます。まずは、「二律背反」です。二律背反とは、あるひとつの事柄を肯定する内容と否定する内容が混同していること言い、この場合は、「一人で飲食店に入るのはためらう」と、「一人で飲食店に入るのはためらわない」という両方が選択肢に並んでいる状態のことを指します。
 もう一つは、「表現方法の不統一」です。上記のアンケートを例にとると、「一人で食べていること見られるのは恥ずかしくない」という表現に対し、「一人で飲食店に入るのはためらう」というポジティブな表現とネガティブな表現が並びます。この表現は、ポジティブな回答をしたユーザーが、ネガティブな回答を選択してしまう可能性があり、矛盾回答を招く可能性があります。以上2つの問題を修正した調査票がこちらです。
 
MRC アンケート調査票ラボ  第7回「マルチアンサー形式の注意点」

参照:MRC アンケート調査票ラボ 第7回「マルチアンサー形式の注意点」
 
 
上記のように、同じ選択肢を使って複数の質問に回答する、マトリクスシングルの回答方法が最適だと思われます。
 
回答矛盾以外でも、「数値の表記」についてよく起こる課題がこちらです。
 
 

入浴時間における回答方法【数値の表記】

 
時間帯を聞く場合の注意点

時間帯を聞く場合の注意点

参照:MRC アンケート調査票ラボ 第1回「時間帯を聞く場合の注意点」
 
 
どちらの回答欄が適切かおわかり頂けるでしょうか。この質問では、どの時間帯に入浴するユーザーが多いのかを聞いています。上の例だと例えば、午後9時半に入浴するユーザーがいる場合、午後9時にチェックしていいのか、午後10時にチェックしていいのか、回答の困惑を招いてしまいます。従って、下の例が、誤解を招かない適切な調査票となります。続いてはこちらの例もみていきましょう。
 
 

代表的選択肢の不備を避ける

 
代表的選択肢の不備を避ける

参照:MRC アンケート調査票ラボ 第8回「代表的選択肢の不備を避ける」
 
このアンケート項目の場合、フィーチャーフォンとスマートフォン両方を利用しているユーザーがいる場合、「その他」に回答が集中してしまい、正しい調査結果が得られなくなる可能性があります。従って、「両方を利用している」の項目を追加することで、誤った調査結果になることを避けることができるでしょう。
 
上記3つの例はあくまで例です。「セルフ型ネットリサーチのFastask(ファストアスク)」では、調査票作成時に間違えやすいポイントをまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
 
調査が終わった後は、それを別のシーンでも活かしましょう。一度調査して終わりではなく、様々な使い道があるのも、調査の良いところです。
 
 
ではそういったテクニックを使って、具体的に企業はマーケティング・リサーチをどのように設計し、マーケティング活動に活用しているのか、事例を紹介します。

 
 
 

マーケティング・リサーチの具体例と活用法

 

徹底したリサーチ主導で新商品開発

 

アサヒビール株式会社の場合

・調査目的:1)ノンアルコールビールの飲用状況、ニーズの把握
      2)競合ブランドのイメージ測定
      3)複数の試作品、パッケージ案からの採用案選定
・調査手法:インターネット調査、グループインタビュー、モニター調査
 
健康志向や飲酒意識の変化などを理由に急拡大を続けるノンアルコールビール市場。アサヒビールは2010年に「ダブルゼロ」で参入したもののシェア2%と低迷しました。しかし2年後には「ドライゼロ」を発売、これがシェア24%を超える大ヒットとなりました。
 
その成功を支えたのがマーケティング・リサーチです。延べ5000人以上を対象にインターネット調査とグループインタビューを実施。ノンアルコールビールに対して、カロリーゼロといった機能性よりもビールに近い味を求めている人が多いことを突き止め、味に絞った新商品開発を進めたそうです。そして調査結果を見て、ターゲットも「ビールを飲まない層」ではなく、「ビール愛飲者」に設定。使い分けや休肝日を利用シーンに想定したと言います。最後は複数の試作品を作成、パッケージも複数作成し、モニター調査の結果によって採用を決めるなど、徹底した調査主導の新製品開発です。
 
参考:ITpro|「アサヒビール「ドライゼロ」ヒット支えた社内コンペ
 
 

認知度や満足を、先入観のない第三者に対して調査

 

株式会社メルカリの場合

 
・調査目的:1)マーケティング施策実施時の認知度測定
      2)CMなど広告効果の測定
      3)サービスの満足度測定
・調査手法:インターネット調査
 
フリマアプリという新しい市場を開拓したメルカリは、外部のマーケティング・リサーチを積極的に活用しています。自社サービスの満足度調査などは、自社の顧客に対してのみ行うと先入観(バイアス)が入り、フラットな評価ができない可能性があるためです。外部調査であれば、第三者の客観的な意見が集められ、適正な評価ができます。
 
認知度調査でも、外部調査による客観的なデータということで、「利用率No.1」という調査結果をCMなどのコピーに活用しています。CMを見たユーザーからも「印象に残る」と好感を持って受け入れられているそうです。
 
参考:Fastask導入事例~メルカリ様~
 
 

SEO対策として独自調査をリリースし、メディアにアピール

 

ディップ株式会社の場合

 
・調査目的:1)事業のシーズ(種)を収集
      2)マーケティング課題の検証
      3)コンテンツ制作の素材作成
・調査手法:インターネット調査
 
「バイトル」や「はたこねっと」などの人材サービスを手がけるディップ株式会社。マーケティング・リサーチを利用する目的は明確で、「シーズを拾う」、「課題の検証」、「コンテンツ」の3つ。現在は特に「コンテンツ」作成のための素材として調査を積極活用しているそうです。目標はSEOの被リンク獲得。独自調査をし、その結果をプレスリリースや自社コンテンツで発表し、メディアでの記事化やSNSでのシェアによって被リンクを獲得し、検索順位を上げる戦略です。
 
効果としては、これまでに発表したリリースから、平均95本も記事化され、記事を見たテレビ局から取材依頼があるなど、広がりを見せています。Fcebook、TwitterといったSNSでのシェアも、200ほどから多いものでは2000以上という好成績を収めています。
 
参考:Fastask導入事例~ディップ様~

 
 
 

統計データを入手できる必見サイト8選

 
最後に、マーケティングに役立つデータを掲載したサイトを紹介します。公的データ、業界データ、競合データ、消費者データなど、様々なデータを集め、それでも足りない部分は自社でマーケティング・リサーチを行うと効率的です。
 
 

総務省の本気を感じる総合データサイト「統計ダッシュボード」

 
dashboard
総務省統計局|統計Dashboard
 
国や自治体が実施する大小様々な調査を集めたウェブサイトが「統計ダッシュボード」です。「人口・世帯」「労働・賃金」「商業・サービス業」「企業・家計・経済」「教育・文化・スポーツ・生活」といった17の分野で、約5000種類のデータが揃っています。データの量だけでなく、一部のデータはグラフ化できるのも特徴です。たとえば人口であれば、推移の期間を変えたり、特定の年齢層に絞ったりといった条件設定をしたグラフも作成できます。自由に2次利用も可能な、価値の高いサイトです。
 
<掲載データの一例>
・国勢調査
・住宅着工統計調査
・家計調査
・経済センサス
・労働力調査
 
 

7万件以上のアンケートデータが入手できる「調査のチカラ」

 
por
ITmedia inc.|調査のチカラ
 
インターネット上に公開されている調査データを集めたサイトです。無料で閲覧できるデータがほとんどで、古今東西の様々な調査データがリスト化されたデータの図書館的存在です。総務省のサイトを超える7万件以上のデータがあり、1カ月に1000件以上の調査データが追加されているそうです。ジャンルの幅広さが魅力で、各業界の専門的なテーマから、身近な内容まで、多彩なデータが掲載されています。
 

2017年9月18日現在のアクセスランキング

1位:産婦人科病院・診療所 年間分娩件数ランキング
2位:20~40代の男女に聞いたSNSと写真・動画の利用実態調査
3位:高給なのに”クチコミ残念”会社ランキング
4位:若者のパソコン離れは本当?若年層のパソコン事情調査
5位:長・短期プライムレート(主要行)の推移
 
 

経済関連の調査データとレポートが日々更新される「keizai.report.com」

 
ecinfo
ナレッジジャングル|keizai.report.com
 
インターネット上で無料公開されている経済関係のレポートを紹介する情報提供サイト「経済レポート情報」。国内外の経済や経営、環境問題などに関する調査データや調査レポートが集められています。「BIS国際資金取引統計および国際与信統計の日本分集計結果」といった堅めの情報から、「未婚化への挑戦」といった少し柔らかめの情報まで、約29万件が揃っています。1日に100本もの新着レポートが公開されることもあり、アクセスすればその充実ぶりが見て取れます。
 
<掲載データ・レポートの一例>
・高齢富裕層はどこにいるのか~『相続税増税』前後の相続税統計を用いた推計
・ブラジル経済本格回復のカギ~出遅れる投資の回復と政策金融見直しの影響
・北朝鮮リスクの読み方 ~チキンゲームの終わりはどこか
・国内景気週報
・都道府県を4群に分類して考える農業の戦略
 
 

市場規模やシェア、今後の予測なら「矢野経済研究所」

 
yano
株式会社矢野経済研究所
 
設立から59年の歴史を持つ老舗であり、日本を代表する調査会社のひとつ。特に市場規模や主要企業のシェア、今後の予測に強みがあります。旧来の市場はもちろん、AIやIoTといった新市場の調査も早いですし、オタク市場といったニッチなジャンルでも調査がされています。一般にほとんど知られていないジャンルの市場規模が推定されていて驚いたという声もよく聞きます。詳細レポートは有料のものが多いですが、プレスリリースなどで大まかに特定ジャンルの概況を知ることができ、とても助かるサイトです。
 
<調査プレスリリースの一例>
・自然派・オーガニック化粧品市場に関する調査
・遠隔医療市場に関する調査
・惣菜(中食)市場に関する調査
・国内ゴルフ市場に関する調査
・国内クラウドファンディング市場の調査
 
 

IT系のビジネス全般の市場データを入手できる「IDC Japan」

 
idcJapan
IDC Japan|プレスリリース一覧
 
メディアなどでIT系の商品やサービスの市場規模が出てくる際によく引用されている「IDC Japan」。ITの領域に特化して、サーバーやシステムなどのBtoB、PC関連機器やスマートフォンなどのBtoC両方をカバーしています。それらの市場規模や、市場予測、ユーザー動向調査などが行われ、調査レポートのダイジェスト版がプレスリリースで閲覧できます。毎日のように更新されているので、最新情報を追うことができます。
 
<調査プレスリリースの一例>
・国内標的型サイバー攻撃対策市場予測
・2017年第2四半期 国内タブレット端末市場実績値
・国内IoT市場 企業ユーザー動向調査結果
・国内ITサービス市場ベンダー 売上ランキング
・世界ロボティクス関連市場予測
 
 

ITや働き方についての消費者意識がわかる「NTTコム リサーチ」

 
nttcr
NTTコム リサーチ|調査結果
 
217万人(2016年1月1日現在)という膨大な自社モニターを保有するNTTグループの調査会社、NTTコム リサーチ。IT系や働き方といったテーマを中心に、数多くの自主調査や大学・研究機関等との共同調査を行い、その結果をサイトで公開しています。自社関連のデータだけでなく、環境省や自治体のデータから「自分が1日に出すゴミの量」を解き明かす、といった解析レポートも多数あり、読み応えがあります。自主調査は出典を明記すれば自由に引用・転載が可能です。
 
<主な掲載データ・レポート例>
・マンガに関する調査
・「購買行動におけるクチコミの影響」に関する調査
・「映画館での映画鑑賞」に関する調査
・企業におけるソーシャルメディア活用に関する調査
・従業員を対象にしたNPS(eNPS※自社推奨度)の業界別ベンチマーク調査
 
 

食や日用品についての消費者調査データが入手できる「J-marketing.net」

 
jmrlife
JMR生活総合研究所|J-marketing.net
 
「食料・飲料」「日用品」を中心に、市場動向や最新シェア、消費者のブランドイメージ調査などのデータが確認できるサイトです。会員制で、無料会員で最近の調査データの一部を、有料会員になると詳細データまで閲覧できます。流通、小売などのBtoC系のマーケターには使えるデータが多そうです。
 
<調査データ例>
・消費からみた景気指標
・機能性飲料
・日焼け止め
・電子マネー、プリペイドカード
・カップめん
 
 

24年間の生活者の意識変化がわかる「生活定点 1992-2016」

 
lifeteiten
博報堂生活総合研究所|生活定点 1992-2016
 
博報堂生活総合研究所が1992年から隔年で実施している生活者の意識調査が「生活定点」。そのデータが無料で公開されています。定点調査と言い、同じ質問が長年に渡って投げ掛けられているため、回答の変化が観測できます。質問数はなんと約1500。「暮らし向き」「家族」「遊び」「消費・お金」といった生活者の身近なテーマで、実利的というよりは哲学的な質問が多い印象です。サイトデザインやUIの質も高いので、見ているだけで楽しめます。
 
<掲載データの一例>
・子供は親の老後の経済的な面倒を見る方がよいと思うか?
・友人は多ければ多いほどよいと思うか?
・夫婦はどんなことがあっても離婚しない方がよいと思うか?
・家電品を買う時、環境問題を意識して選んでいるか?
・昔に比べて子供に対する父親の力は落ちたと思う
 


 
 
 

 

【コラム】調査結果のその他の活用方法

 
マーケティングリサーチ以外にも調査にはさまざまな活用法があります。以下は活用方法の一例です。
 

ニュースリリース

ニュースリリース

調査を終えたら、それをプレスリリースしましょう。調査に興味を持ってもらえれば、メディアで掲載され、自社の認知度アップやWebサイトへのアクセスにも繋がります。無料でプレススリースを掲載できるサイトも数多くありますので、簡単に始められます。
 
 

イベント・展示会・コンペに活用

イベント・展示会・コンペに活用

調査結果は、イベントやセミナー、展示会でも使用できます。ロゴ入りボールペンといったノベルティなどでは、情報収集に敏感な来場者に響かない場合もあります。顧客に興味関心のある調査結果を配布することで、他社と差別化でき、手にとってもらいやすくなります。またコンペでは、独自の調査に裏付けられたデータが後押しとなり、競合他社に差をつける良い武器となります。
 
 

アポイント獲得

アポイント獲得

新規顧客とのアポイントを獲得する際には、自社の実績や相手に「会いたい」と思わせる材料を用意しなければなりません。見込み客の興味を引く調査データであれば、事前に先方へ送付しておくことで、アポイント獲得に繋がる可能性が高まるでしょう。
 
 

新商品開発

新商品開発

1回だけの調査ではなく、複数の調査をかけあわせて商材にできることもあります。例えば、同じ分野の調査を定期的に調査することで、新たな発見があります。代表的なものは「推移=トレンド」です。トレンドを見ることで、新たな商品の切り口につながる可能性もあるでしょう。また定期的な調査は、売り込む際に説得力が増しますので、良い武器にもなります。

 
 
いかがでしたでしょうか。「マーケティング・リサーチ」を行う際のイメージがより明確になったのではないでしょうか。
 
さて、いろいろな使い道のある「マーケティング・リサーチ」ですが、手軽にはじめるなら「セルフ型ネットリサーチのFastask」がおすすめです(宣伝です)。セルフ型なのにリサーチャーがしっかり調査票をチェックしてくれることがポイント。(作成された調査票をチェックするので、誤解を生まないアンケートを作成できます。)
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