おすすめマーケティング記事 おすすめ 2017.03.29

ECサイトがコンテンツマーケティングで成功するために重要な3つのコトとは?創業124年の「森下仁丹」さんが教えてくれた。

コンテンツマーケティングに取り組む企業が増えている一方で、「継続」や「成果」に課題を感じ挫折するマーケティング担当も多い。特にECをはじめとした「ダイレクトマーケティング」においては「成果を重視」するあまり、施策が根付かないといったことはよく聞く。今回はそんなECにおけるコンテンツマーケティングで成果をあげている森下仁丹株式会社の森さんに、その成功の要因を聞いた。

 

編集部:まずは簡単に御社のご紹介と、森様のご紹介をお願いします。

 

当社は、医薬品、医薬部外品、医療用具から健康食品、サプリメントまで幅広く製造・販売している、今年で創業124年を迎えるメーカーです。銀色をした粒状の「仁丹」をご存じの方もいるかと思いますが、その銀粒仁丹の製造から派生した「シームレスカプセル技術」を活用したサプリメントなどの独自商品と、医薬品メーカーならではのエビデンスをもとにした「高い商品クオリティ」が強みです。また、ECや電話、FAXなどの通信販売だけでなく店頭でも商品を展開しており、幅広い販売チャネルを持っていることも強みのひとつですね。
 
私自身はもともと大手ECモールやポータルサイトなどを経て、2013年に森下仁丹に入社しました。ECやWebマーケティングに10年以上関わりましたが、実際に「ものづくり」をしているメーカーでの仕事に興味を持ったのがきっかけです。デジタルマーケティング全般を担当していますが、その中でも「ECサイト運営」を主に担当しています。
 
1

森下仁丹株式会社
ヘルスケア事業本部 ヘルスケア営業部
デジタルマーケティンググループ グループリーダー
森清氏

 

編集部:コンテンツマーケティングにも力を入れていると聞いていますが、具体的な取り組みについて教えてください。

 

2015年にYahoo! コンテンツディスカバリー(以下、YCD)を活用したコンテンツマーケティング施策を実施しました。もともと、商品のリニューアルにあたって、ブランド認知や理解促進を行うためにブランドサイトを立ち上げ、TVCMやWeb動画で送客することを検討していたのですが、それ以外にも効果的な施策はないかと検討していたところに、ヤフー様からご提案をいただきました。「尺」の制約があるTVCMやWeb動画では、認知は高められても「理解促進」を行い「態度変容」まで促すのは難しいという側面もあります。しっかりとコンテンツを見てもらう施策も必要でした。YCDだとそれが実現できると感じました。その理由としては、バナー広告だと「広告を見て購入する層」にしかアプローチできないが、YCDなら「広告をクリックしない潜在層」にもアプローチ可能だと考えたからです。
 
具体的にはそれぞれのセグメントに合わせて作成した記事コンテンツをYCDのネットワークで配信し、ブランドサイトへの送客を行いました。ブランドサイトやECサイトに訪問したユーザーにはYahoo!ディスプレイネットワーク(YDN)を用いてリターゲティングを行い、認知や理解促進のみにとどまらず、購買までつなげる導線を設けました。
 
2

 

編集部:コンテンツ作成にあたって、工夫された点などございましたら教えてください。

 

今回はファネル別に「一般層向け」「中間層向け」「コアユーザー向け」の3つのコンテンツを作成し、配信する事にしました。セグメントを3つに分けたのには理由があります。ECにおける成果だけで考えると「コアユーザー向け」のみに配信するのが最も効果的です。それはCPAが最も低いからです。ただボリュームが出ない可能性があります。一方でリーチを最大化するには「一般層向け」への配信が適していますが、その後の送客率を加味したときに果たして費用対効果が合うのかどうかわかりません。またその「中間層」にあたる「バランスのとれたライン」とはどこだろうか、そこも疑問でした。今回の取り組みではそれぞれで「コンテンツを見た後の行動」までしっかりと可視化し評価することで、これらの仮説を検証することも目的のひとつに組み込みました。
 
実際のコンテンツづくりにもかなりこだわりました。もともと当社はエビデンス等の基準がとても厳しいこともあり、YCDでの審査自体はそれほど難しく考えていなかったのですが、「読み物としておもしろいか」という点については苦労しました。どうしても自社のコンテンツを自前で作成すると「自己満足」になりがちです。第三者的な目で見て、そのコンテンツがおもしろいかどうかを検証する必要がありました。そのために、当社と、YCDの担当者に加えてYahoo!特別企画のプランナーも交えて議論を重ねながらコンテンツを検討しました。ヤフー様独自の知見やノウハウ、アイデアを活かすことで、よりバランスの取れたコンテンツが作成できたと思います。
 
 

配信したコンテンツ

 
「一般層向け」は、幅広いユーザーに見て頂けるように読み物的要素を強めました。
sb_header
タイトル:「第2の脳ってどこか知ってる?」
 
 
「中間層向け」については美意識・健康意識の高いユーザーにセグメントしました。
ch_header
タイトル:「○年齢と実年齢の大きなギャップ!」
 
 
「コアユーザー向け」については商品のヘルスクレームに近い内容に絞り込みました。
bo_header
タイトル:「2日に1回って少ないの?」
 

 
結果としては、当初の仮説通りでした。コアユーザーになればなるほどリーチは減り、一般層の直接コンバージョンだけを見るとCPAが高くなりました。一方でとてもおもしろいことも新たにわかりました。それぞれのセグメントに該当する人たちが普段どんなサイトを閲覧しているか、というデータをヤフー様から提供してもらたったのですが、コアユーザー層は日頃から健康やヘルスケアなどのサイトを見ていたのに対し、我々が一般層とセグメントした人たちはSFや映画などぜんぜん違うサイトを見ていました。つまり、「従来までのセグメントの外」にいるユーザーです。そうした人たちは購買に至った数こそ少なかったものの、後に「ブランド指名ワード」で検索していたり、一定の「態度変容」が起こっていることがわかりました。また、記事コンテンツとWeb動画を比較した際に、記事コンテンツの方が圧倒的に「アシスト効果」が高いこともわかりました。
 
3

 
 

編集部:「アシスト効果」という話がでましたが、コンテンツの評価ってなかなか難しいと思っています。どのように評価されたのでしょうか?

 

重要なのは「コンテンツを見た後の行動」をしっかり計測することですね。すぐには購買しなかったけれど他の広告の後押しになったり、後でリターゲティングで購入したり、また指名系キーワードで検索して別の日に購入したり、といった行動ですね。特に、潜在層になればなるほど一回の接触だけでは購入してくれない。他のマーケティング手法も同様ですが、「その後の行動」を「正しい期間」で計測し、そのアシスト効果も含めた施策の評価をすべきです。たとえ直接コンバージョンは少なくてもアシスト効果によって全体最適化がなされるのなら意味があると思います。ただ、それを評価するには事前に目的や仮説をしっかりと持っておく必要があります

 
 

編集部:良質なコンテンツを作成したとしてもターゲットにリーチできないと効果も出にくいと思います。コンテンツの露出や、リーチについて御社で工夫されていることはありますでしょうか?

 

広報活動(もしくはPR活動)によってメディアに取り上げてもらうのがベストだと考えていますが、その場合、情報の新鮮さや独自性が問われるため、任意のタイミングで繰り返し同じ内容を伝える事が難しいです。つまり「アン・コントローラブル」です。ですから現状では比較的「コントローラブル」な広告が主です。一つの媒体でボリュームを担保するのが難しいので、YCDだけでなく、Outbrainやpopin、Taboolaなど複数のサービスを使ってネイティブ広告を実施しています。
 
また、ユーザーの情報接触行動の変化を考慮する必要があるとも考えています。検索エンジンで検索しない人もいる。たとえばInstagramなどのSNSで情報を調べる人も増えています。つまり、Webだけでの配信だけでなく、LINEがいいのかFacebookがいいのか、ターゲットに合わせて配信する場所とコンテンツを検討しないといけないですね。いわゆる「分散型メディア時代」というやつです。SNSでの拡散を狙うのなら、それこそ広告そのものがおもしろくないと誰も反応しない。向き不向きはあるかと思いますが、今後はそういったことも重要だと考えています。
 
4

 
 

編集部:今後、という話が出ましたがこれから試してみたいことや施策などがあれば聞かせてください。

 

これからも「コンテンツ」はとても重要だと考えています。ただし、そのときに課題となるのはその「質」と「量」をどう担保するのかということです。我々のような「メディアでない」企業は、コンテンツを専門で作成するチームが存在しなかったり、ノウハウがなかったり、あるいはそれほどコストをかけられなかったり、といったように継続的なコンテンツ作成そのものが難しいというのが現状ではないでしょうか。かといって、「低品質なコンテンツ」はかえってブランドにとってマイナスになります。当社ではあいまいな仮説や、とりあえず、なABテストは基本的には行いません。たとえABテストのいちパターンであっても徹底的にコンテンツの品質にはこだわります。だから量産はできない。IR系の記事などでは一部「AI」が作成するなどの事例もありますが、効率化を図りながら、しっかりと質を維持できるような運用方法を模索していきたいと考えています。
 
5

 
 

編集部:ありがとうございます。最後に皆さんにお聞きしているのですが、森様にとって「調査」とは?

 

目的によってだいぶ異なると思うのですが、大きくは「事前」と「事後」に市場やユーザー(クライアント)の状態(感想)を可視化する事だと思います。私は特に、「事後の調査」が重要だと考えています。広告施策のPDCAを行うときも「振り返り」がやはり大事です。ただ、Web上で取れる数値、指標だけがすべてだと思わないようにしています。目的に応じて、Web以外の手法でも調査を行うべきだと思います。そして、そのときに必要になってくるのが「目的」や「仮説」です。たとえば調査データ自体は国勢調査や総務省の白書などさまざまなものがありますが、それらは「データ」であって「調査」ではありません。あくまで「参考資料」です。「何を明らかにしたいか」という明確な意思があってはじめて「調査」が活かされるのではないかと、個人的には考えています。

 

 
編集後記:
ECやBtoBを問わず、「ダイレクトマーケティング」を行う人間にとって、「コンテンツ(記事広告など)」は手間がかかる割にCPAが高く、どうしても他の施策よりも後回しになってしまいがちだ。とはいえ「広告を見ない」消費者が大半を占める時代に重要なのは、まさに「コンテンツ」だと思う。森さんの話を聞いて「目的と仮説の明確化」「アシストも含めた適切な評価」「パートナーシップ」の3つが糸口になるのではないかと強く感じた。そして、それは広告の品質にこだわり続けている同社だからこそ、説得力をもって私の心に響いたのだと思う。

更新情報を
WEBプッシュでお届けします。

セルフ型アンケートサービス

Fastask

高品質なネットリサーチを圧倒的なスピードと次元の異なる低コストで。無料トライアル実施中。