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オウンドメディアをやるなら徹底的につかい倒せ!「WebNAUT(ウェブノート)」運営チームから学んだ「継続と活用」を促進するためのエンジンとは?

企業がコーポレートサイト以外の「オウンドメディア」を運営することが増えている。しかし、本業と兼務の場合に陥りがちなのが「優先順の低下」だ。そしていずれ風化していく。私自身何度か経験してきた。今回、Webや出版物のデザインを手がける「ビーワークス社」のオウンドメディア「WebNAUT(ウェブノート)」の運営チームに、リニューアル時の取り組みを聞くことで、その課題を解決するためのヒントを得ることができた。

 

MRC編集部

MRC編集部

それではまず御社のご紹介を簡単にお願いします。

 

かばた

かばた

弊社は、出版物や広告販促物・Webサイトなど、あらゆる領域において制作を行う「総合デザイン会社」です。一方でなめこ栽培キットなど、コンシューマー向けアプリなども展開しており、デザインだけにとどまらず、企画や開発までワンストップで提供しています。

 
かばた ますみ氏

株式会社ビーワークス
プランナー かばた ますみ氏

 

MRC編集部

MRC編集部

皆さんの職種と、「オウンドメディアリニューアルプロジェクト(以下、リニューアル)」での役割について教えてください。

 

タカハマ

タカハマ

デザイナーをしています。もともと「WebNAUT」立ち上げメンバーの一人ですが、今回のリニューアルでは主にマネージャーとして、全体の監修を行いました。

 

かばた

かばた

私はプランナーをしています。今回のリニューアルではプロジェクトリーダーと、リニューアル後は運用管理を担当しています。

 

丸山

丸山

私はエンジニアです。リニューアルではインフラやバックエンド部分を主に担当しました。

 

鴇田

鴇田

私もエンジニアです。私はフロントエンドの開発を主に担当しました。

 

古賀

古賀

私はデザイナーです。リニューアルでは全体のデザインを担当しました。

 

MRC編集部

MRC編集部

ありがとうございます。ではまず、「WebNAUT」というオウンドメディアを立ち上げた経緯や狙いなどについて教えてください。

 

タカハマ

タカハマ

そうですね、弊社はWebの受託制作を行っているのですが、新しい技術を取り入れる際にいきなりクライアントワークで試すのではなく、実験の場として「ラボ」の役割もかねたオウンドメディアが欲しくて2013年に立ち上げました。WebNAUTそのものに新しい技術を実装して実際の挙動を確認するなど、制作ノウハウを外に向けてコンテンツとして公開することで、新たな営業機会になることを狙っていました。

 
タカハマ ケンタ氏

株式会社ビーワークス
デザイナー タカハマ ケンタ氏

 

MRC編集部

MRC編集部

ちなみに、当時はどんなことを試していたんですか?

 

タカハマ

タカハマ

たとえばレスポンシブデザインとか、ページが存在しないときの404ページの表現をちょっと遊んでみたりとか、ですね。そういうものを試しながら、記事を不定期に更新してました。

 

MRC編集部

MRC編集部

なぜ、このタイミングでリニューアルしようと思われたんですか?

 

タカハマ

タカハマ

ひとつには、時間がすごく経過していて、デザイン面でも技術面でも刷新したかったことと、あと、結構コンテンツも蓄積されて、トラフィックも増えてきたので、よりいろいろなことを試せる環境が出来たというのもありますね。
それと、関わるスタッフや事業環境が変わってきたこともあり、また新しいカタチでメディアが成長してきればいいなと。

 

丸山

丸山

エンジニア的な目線から言うと、もともと「ラボ的」な立ち位置で運用していたんですが、今までの仕組みだと「試しづらい」というのもありました。仕組み自体をまるごと変えた方が、「ラボ」としてより有効に機能するんじゃないかと思ってました。

 
丸山 佳郎氏

株式会社ビーワークス
エンジニア 丸山 佳郎氏

 

かばた

かばた

オウンドメディアとは関係ないところで、ブランディングとか広報活動というものに対して、社内的な関心が高まってきたというのもありますね。

 

タカハマ

タカハマ

あとは採用ですね。ウォンテッドリーで採用活動を行っているんですが、そこでの説得力を増したり、その結果エンゲージメントが高まったり。リニューアル前から面接の際に、「WebNAUTを見ました」と言ってくれる人がちらほらいたんです。

 

MRC編集部

MRC編集部

なるほど。「1.デザイン自体を新しくしよう」「2.新しい人にバトンを渡そう」「3.ラボとしての機能を強化しよう」「4.ブランディングに活用しよう」「5.採用に活用しよう」といったような、社員の方が抱えていたいろいろな「思い」が高まった結果「リニューアル」という大きなアクションにつながった、ということですね。

 
 

MRC編集部

MRC編集部

みなさんそれぞれにお聞きしたいんですが、リニューアルにあたって特に意識した点とか、工夫した点などを教えてください。かばたさんは?

 

かばた

かばた

私はオウンドメディアをもっと「問い合わせ」や「コーポレートサイトへの誘導」に活用したくて、そういう観点からクライアントに対して、どんなコンテンツなら興味を持てるか、などの調査を行いました。ただ、いざリニューアルの方向性(デザインやコンテンツなど)をそこに振り切るとなると迷いが生じて・・・。

 

MRC編集部

MRC編集部

どんな迷いが生じたんですか?

 

かばた

かばた

プランナーの私にとっては「WebNAUT」を営業ツールとしてもっと活用したい、という思いが強かったのですが、先ほどのように関わるメンバーにとって、リニューアルで達成したい目的はさまざまでした。そんな中で目標をひとつに絞っていいのかと。

 

MRC編集部

MRC編集部

意見の衝突などもあったんですか?

 

かばた

かばた

賛成してくれるメンバーもいれば、反対するメンバーもいました。

 

タカハマ

タカハマ

記事はデザイナーやエンジニア、社内のさまざまな職種の人間が書いています。それぞれに伝えたい思いや熱量みたいなものがあって、そこを置いてけぼりにして理想を掲げたとしても、果たして手が動くのか。オウンドメディア運営で難しいのが、どうしても通常業務が忙しくなると優先順位が下がることです。それでも時間を作って手を動かすためには「内的な動機」というか、これを伝えたいという強い気持ちがないと、「営業ツール」というわかりやすい「会社の理屈」では人は動かないんじゃないかなと。僕自身もともと記事を書いていたので、その辺を特に心配しました。

 
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かばた

かばた

それで、結局特定のコンテンツや目的に偏るのではなく、それぞれのやりたいこと、発信したいこと、実現したいことをできる「場」にしよう、というところに落ち着きました。

 

MRC編集部

MRC編集部

なるほど。根本的な方向性は変えずに行こうということですね。ありがとうございます。丸山さんはいかがですか?リニューアルで特に重視したところとか。

 

丸山

丸山

私の場合は大きく2つあって、ひとつはAMP対応とか、常時SSLとか、世の中の潮流としてやっとかないといけないことと、もうひとつは運用コストをどう下げるか、ということですね。以前は記事を書くときにHTMLタグで書かなければいけませんでした。表現の自由度はあるのですが、Web系の職種以外の人が書くとなるとやっぱり大変でした。そこで「Markdown」を導入しました。そうすることで記事を書く効率が大幅に軽減されました。また、「Docker」という技術を導入し、サーバー移管とかテスト環境や開発環境での運用コストなどを下げることにも取り組みました。「Docker」については僕自身、記事にも書いています

 

MRC編集部

MRC編集部

そういえば「WebNAUT」では皆さん”顔出し”で記事を書いていますよね。抵抗感とかなかったのですか?

 

丸山

丸山

確かにもし間違った情報を伝えてしまったらどうしよう、という怖さはありますね。でも世の中のエンジニアは結構名前を出して記事を書いている人も多くて、自分自身読者としてその記事を見たときに、「この人が書いた記事なら読んでおくか」というように、名前によって記事の価値があがっているということがあるんですね。もちろん大切なのは記事の内容なのですが、情報の取捨選択をする際のひとつの目安になることはあるかなと。怖さはあるけど、きちんとした記事を書けばメディアの価値を高められると思っていますし、そうなりたいと思っています。

 

タカハマ

タカハマ

以前は名前も顔も出していなかったんですね。今回のリニューアルからです。そのときは「WebNAUT」という1人というか、ライターのペルソナはひとつで、それに合わせて皆がテイストを合わせていました。「その言い回しってWebNAUTっぽくないよね」とか。今は名前を出すことで、それぞれに「個性」が出て、皆が記事を書きやすくなったというのはありますね。今は記事を書いた個人宛への依頼があるなど、問い合わせ内容にも変化があります。

 

MRC編集部

MRC編集部

鴇田さんはいかがですか?

 

鴇田

鴇田

私の場合は大きく3つあって、ひとつはWordPressでのAMP対応ですね。これって結構よくある組み合わせだと思うんですが、当時はそれほど社内にノウハウが無かったんですね。そのノウハウを得て、体系的に整理することができたので、社内的にもひとつの財産になっています。
それと先ほど丸山の方からもありましたが、「Markdown」による記事執筆機能の実装ですね。記事を書く人が増えていって、普段業務でWebに関わらない人も記事を書くようになってきた。「Markdown」を導入することでWeb系の職種じゃない人はもちろん、Web系の職種の人でも記事を書きやすくなったんじゃないかなと、更新頻度が上がっていることからも言えるかと思います。最後はCSSの再設計ですね。今まではあまり「設計思想」に基づいてコーディングはしていなかった。それを整備することで、Webサイトの改修スピードが劇的に速くなりました。「ラボ」としてよりPDCAを回しやすくなったと思います。

 
鴇田 将克氏

株式会社ビーワークス
エンジニア 鴇田 将克氏

 

MRC編集部

MRC編集部

ありがとうございます。古賀さんはいかがですか?デザイナーとして特に注力したところとか。

 

古賀

古賀

コンセプトや世界観は2013年のデザインを引き継いではいるんですけど、大きく変えたのは「シングルカラム」に変えたということですね。Webだと回遊性を高めるために、左右のサイドバーにカテゴリとか、ランキングとかを設けるメディアは多いかと思いますが、より記事を読むことに集中してもらって読者とのエンゲージメントを高めたいという思いから、思い切ってサイドバーを排除することで記事を読みやすくしました。とはいえ、回遊性やお問い合わせ数を落とすわけにはいかなかったので、コーポレートへの誘導など必要な導線はすべて、ページ下部に集約することで、読了後のアクションに繋げる設計にしています。もうひとつは記事ごとのサムネイルを大きくしたことですね。今はひとつひとつのサムネイルをデザイナーが作り込んでいます。執筆者のサムネイルやシェア数がついたことで要素も増えたので、大きくしてインパクトも強くしました。

 

MRC編集部

MRC編集部

デザインって、結構主観もあると思うので、要望をとりまとめるのが大変じゃなかったですか?

 

古賀

古賀

デザインについてはそこまで大きなブレはなかったですが、実際に「動かして」みた際にどうか、というのは何度もテストを繰り返して調整をしました。たとえば、ホバーアニメーションとか、メニューが出てくるスピードとか。微調整を繰り返しましたね。

 
古賀 国朗氏

株式会社ビーワークス
デザイナー 古賀 国朗氏

 

MRC編集部

MRC編集部

ありがとうございます。リニューアルをしてから4カ月ほど経つと思いますが、効果としてはいかがですか?皆さんそれぞれ感じていることが違うかと思いますが。

 

かばた

かばた

社内的な話でいうと、記事更新のモチベーションがあがったということですね。もちろんKPIとして置いていたPV数などの数値も想像以上に伸びていいます。

 

MRC編集部

MRC編集部

モチベーションをあげるための取り組みとかって、具体的に何かされたんですか?

 

かばた

かばた

執筆者には数字的な目標を提示していたりもするんですが、Backlogを使った「反響掲示板」というのが社内にあって、シェア数とか問い合わせとか、記事に対する反響をシェアするようにしています。

 

丸山

丸山

私の場合はリニューアルと記事執筆を通して自分自身の知見を深められることや、試したことが実際に「クライアントワーク」に活かされていることもモチベーションにつながりますね。「WebNAUT」で使っている技術をクライアントに提案してそれが実際に動いていますし、今後も新しい技術を導入しやすい仕組みにできたと思います。もともとリニューアルで実現したかった目標が達成できてほんとうにうれしいです。

 

鴇田

鴇田

私は「WebNAUT」を社内のみんながどんどん使ってくれていることがうれしいですね。そこを中心に社内的にいい空気感ができあがっていると思っています。

 

古賀

古賀

自分自身も記事を書くモチベーションが高まった。もっといろんな人に情報発信したいし、結構書いた記事の反響をTwitterで検索したりしてます

 

タカハマ

タカハマ

リニューアル前からある程度の効果は感じていましたが、今回を気にさらに活気づいたことがよかったですね。

記事を書くモチベーションが上がって、一定の効果が出てくると、たとえばセミナーに登壇してみようとか、記事を別の場所でリリースしようとか、オウンドメディアをどう運用するかではなく「どう活用しようか」というように、視点が外にむき出した。そして、それが社外からの反響にもつながっている。たとえば書いた記事を見て、名指しで「あなたにこれをお願いできますか?」というような問い合わせがあったりもする。それはもしかしたら「顔出し」によって個性が出たからかもしれないですね。

 
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MRC編集部

MRC編集部

モチベーションがあがり、書く人も増えることでコンテンツの幅、というか領域も広がっていますか?

 

丸山

丸山

今後広がっていくんだろうな、という感覚はあります。社内でも、ちょっとした会話の中で、「それって記事にできるんじゃない?」というようなフレーズが自然に生まれるようになった。

 

鴇田

鴇田

自分で記事を書いて発信すると、思っていた以上に反響がある。自分自身ではたいしたことじゃ無いと思って書いたことでも、意外に反応してもらえるんだっていうモチベーションにつながる。

 

MRC編集部

MRC編集部

そうするとさらに記事を書こうと。

 

かばた

かばた

自分たちのクライアントワークに対しても自信が持てます。

 

MRC編集部

MRC編集部

今後、こうしていきたいとか、展望とかってありますか?

 

タカハマ

タカハマ

基本的にはそれぞれ個人で目標を持って引き続き活動していくと思います。私としては皆の目が外に向き始めたことで、思いがけない縁が生まれると良いなと思います。たとえば今回の取材もそうですよね。普通に自分が想像できるキャリアよりも、想像していなかったけど、情報発信をして外と関わり合いを持つことで何かが生まれるみたいな。それぞれのメンバーの活動が、人と人との結びつきというか「縁」を創れるようなメディアになればと考えています

 
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MRC編集部

MRC編集部

ありがとうございます。最後に取材させていただいた全員にお聞きしているのですが、皆さんにとって「調査」とは?

 

タカハマ

タカハマ

調査って結局、「第三者を知る」、ということだと思います。何かを創るとき、自分のことはわかる、クライアントのことも聞けばわかる。でもユーザーのこととか、そこにいない人のことを知るためには調査をするしかない。調査方法は人によって違うけど、必ず制作の工程には何らかの調査が入っていますね。

 

かばた

かばた

私は、「人を動かすためのもの」だと思います。たとえばPV数とかも、どういう風に伝えたらみんなモチベーションを上げてくれるだろうかとか。そんなときに調査を使いますね。

 

丸山

丸山

「成果物の質を左右する重要な要素」だと思っています。エンジニア的には、何か成果物をつくるときに必ず実装方法などの調査をしますが、その結果から、何を選択するのかで成果物の質が決まると思っています。そういう意味でいうとどれだけ幅広くて深い調査結果を得られるかというのは調査の質が重要だと思います。「WebNAUT」自体が「調査される対象」になってユーザが質の高い調査結果を得ることができるようになるっていくことが一番の理想だと思います。

 

古賀

古賀

調査とは「自然にしているいこと」だと思います。定性調査として記事やデザインのフィードバックをもらうことや、評判をTwitterで検索すること、定量調査として閲覧数やクリック数、シェア数を調べることも。意識せずにしていることも多いけど、主観では見えない現実が見えてくる、「ものづくり」には必要不可欠なものだと思います。

 

鴇田

鴇田

調査は「ユーザーの声」かなと思います。何をするにしても、実際にユーザーに聞いてみないとわからない。「ユーザーの声を聞く」というのが調査の中で一番重要なんじゃないかと思います。

 

 

 
編集後記:
インタビューを振り返って感じたのは「オウンドメディアを使いたおしてるなぁ」ということ。「ラボ」という機能が十分に働くことで個人と、会社にも知見が蓄積される。そしてそれがクライアントワークに活かされたり、反響が生まれたりすることで記事を書くメンバーにも自信がつき、さらに書くことへのモチベーションが高まる。そして、それらを支えているのは、「内的な動機」というフレーズも出たが「自分ごと化」だと思う。「顔出し」や「反響掲示板」などの取り組みが上手く作用し、メンバーの「内的動機」を満たすことで好転サイクルに入る。なかなか狙ってできることではないが、通常業務に比べて後回しになってしまいがちなオウンドメディア運営を活気づけるためのヒントになるのではないだろうか。

 

 
 

用語解説

 

AMP(アンプ)


「Accelerated Mobile Pages」の略で、Googleが推奨しているモバイルでWeb閲覧を高速化するための仕組み。AMP対応とはその仕組みを自社のWebサイトに実装すること。 (本文へ
 

Markdown(マークダウン)


知識がない人でも簡単にHTML文書を作成することができる「軽量マークアップ言語」のひとつ。たとえばHTMLの見出し要素である「h1」は「#」、「h2」は「##」などで記述することが可能。 (本文へ
 

Docker(ドッカー)


コンテナ型仮想化と呼ばれる技術のひとつ。従来までの「サーバー仮想化」と違うのはひとつのOS上で複数のユーザー環境を構築できること。これによってざっくり言うと開発環境やテスト環境がスピーディーに効率よく構築できる。 (本文へ
 

シングルカラム:

一般的なWebサイトはメニューなどの「サイドバー」と「コンテンツエリア」が別れた2カラム構成だが、シングルカラムはその名の通り、「サイドバー」を排除したシンプルで見やすいデザイン構成。スマホサイトなどをイメージするとわかりやすい。 (本文へ
 

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