おすすめマーケティング記事 おすすめ 2017.08.07

【ポケGO×O2O】ポケモンGOをマーケティング目線で見ると、キリングタイムを使いこなしたO2Oのボスだとわかった

 
【記事要約】
皆さんは手に入れましたか?伝説ポケモン。新宿中央公園はひさしぶり(?)にポケGOユーザーのひとだかりが出来ていましたよ。2016年にリリースされてから1年。その変化を調査したら「O2Oマーケティング」に活用できそうな気づきを得られましたので、ご紹介します。
 
 
 
目次:


 
 
 
 

久々に「ポケモンGO」の調査をしてみた。

 

先日、近所のマクドナルドへ行ったら、「若者の聖地」でうるささMAXのはずなのに、中高年の方々が聖地巡礼のように静かに長蛇の列をつくってました。注文もさっぱりエッグマックマフィンが多数。それとなく様子を見てみると、どうも「ポケモンGO」目当てみたいですね。最近実装された「レイドバトル」というやつだとか。
 
 

【ここで一息】初心者のためのカンタン「ポケモンGO」解説

 
「ポケモンGO? なんか公園とかに行って卵とか拾うんだっけ?」レベルの認識でいるあなた。「ポケモンGO」はあれから進化しています。呼び方も「ポケGO」とプロっぽくなってます。
 
未経験者向けに説明すると、「Pokémon GO」は、スマートフォンのGPS機能を活用して、現実世界を舞台として、ポケモンを探すアプリです
 
poke-official
引用:『Pokémon GO』公式サイト
 
遊び方はプレイヤーがポケモントレーナーになって、そこら中にある「ポケストップ」でボールなどのアイテムやモンスターを手に入れて、レベルを5まで上げます。すると、もっと強くなったり派手に戦ったりできる、各地の「ポケモンジム」に参加できます。そこでバトルをして強くなったり、ジムを自分のものにしたりしながら、さらにレベルを上げて強いキャラを倒してポケモン図鑑を完成させる。まぁざっくり言うとそういう遊びです。
 
レイドバトルというのは、最近(2017年6月)始まった、ジムに現れた強力なボスに対して、他のトレーナーと協力して大人数でレイド(襲撃・奇襲)するバトルのこと。7月23日から伝説のポケモンがボスとして登場したことから、ジムであるマクドナルドが長蛇の列になっていたわけです。
 
 
で、話は戻って。普段なら学生の部室と化しているマクドナルドが中高年をこれだけ呼び寄せているのを見ると、「これってポケGOがリアル消費に貢献しているってことなんではないか?」とワタシは直感しました。
 
これは「O2Oマーケティング」の参考になるかもってことで、ひさしぶりに「ポケGO」をはじめとした「位置情報アプリ」について、MRCで調査をしてみました。いろいろ掘り下げてみると「なるほど」という気付きがありましたので、レポートいきます。


 
 
 
 

「ポケGO」ユーザを巡る3つのナゾ

 

一時期、マーケティング業界の大きな潮流になった「O2O」(オンライン→オフラインの店舗への誘導)。「位置情報アプリ」を使って、クーポンを発行して店舗に誘導するマーケティング手法が流行しました。で、2016年7月にはそんな位置情報(ジオフェンシング)とARを活用したゲームアプリとして、「ポケモンGO」がリリースされ、大ブレイク。さて、今はどうなっているのか。調査の結果、「???」なナゾが出てきましたので、「O2O」と絡めつつ、それらを解明していきます。まずは利用率から。
 
MRC独自調査:「位置情報アプリに関する利用実態調査」(2017.07.28)
 
 

<ナゾ・その1> なぜ30代は利用率が減っていないのか?

 
fa_report-pokemon-20170728.pdf-000010
 
利用率は、1年前と比較すると全体に減っていますが、30代だけはそれほど減っていません。この年代だけなぜ? ですよね
 
実は30代は「ポケモンGO」リリース時も他の年代と比べて利用率が低い「狭間の層」なんです
 
下の「ポケモン年表」をご覧ください。ポケモン人気がピークになったのは、ポケモンショック(テレビアニメの視聴者が光過敏性発作などを起こして放送休止)の後、アニメが再開され、金・銀編に突入した1999年2月あたりでしょう。
 

●ポケモンの主なトピックと年齢の関係

 
poke-age
 
そのときの小学1年生は現在(2017年7月)25歳。そしてそのときの高校1年生は34歳。つまり30代はポケモンがピークにあったとき高校生です。高校生でアニメとゲームにはまる、いわゆるオタク層と言えそうです。だから、リリース当初から「ポケGO」の利用率が低く、けれどはまってしまって継続率が高いのではないかとワタシは見ました。
 
 

<ナゾ・その2> 10代~20代の利用率が最初は高く、今大幅に減っている理由は?

 
上の年齢別利用率グラフを見ると、10代はリリース時54.2%→今 16.0%、20代は60.7%→20.0%と急降下しています。わずか1年でこれはなぜ? ですよね。
 
これは、職業別の利用率をクロス集計してわかりました
 

●2016年7月(リリース時)/職業別利用率

 
cacro2016
 

 

●2017年7月(1年後)/職業別利用率

 
cacro2017
 
リリース時は52.4%と一番高かった学生の利用率が、1年後には14.8%と大幅に減少してます。比較的時間に余裕のあるバケーションタイムの学生(10代~20代=ポケモン・ドストライク層)を大幅に獲得したものの、その後「飽き」がきたのか、急激に利用者が減りました。なので、10代、20代の利用率が下がっているのでしょう。
 
ちなみに、職業別利用率を見ていて面白いのは、1職種だけ利用率が増えている職業。それは「経営者・役員」。31.6%から38.9%とアップしています。IT系ベンチャー企業の若手社長さんとかが多いんでしょうか(笑)。
 
 

<ナゾ・その3> 40代~50代の利用率が高いのはなぜ?

 
40代、50代はあまりゲームをするイメージがなかったんでナゾでしたが、これもクロス集計で理由がわかりました。利用率を年齢層とお子さんの有無で分けてみました。すると、子どもがいる方が利用率が高く、継続率も高いことがわかりました
 

●2016年7月/年齢・子どもの有無別の利用率

 
chcro2016
 

 

●2017年7月/年齢・子どもの有無別の利用率

 
chcro2017
 
 
以上、利用率推移の「3つのナゾ」を解いてみました。今度は、よりマーケティングに活かせる「O2O」の側面からポケモンGOを見ていきます。この年代別の利用率も後から絡んできますので、覚えておいてくださいね。


 
 
 
 

「ポケモンGO」に見るO2Oマーケティング戦略

 
「ポケモンGO」のマーケティングで特徴的なのは、「スポンサード・ロケーション」の存在です。プレイヤーがアイテムを入手する、バトルをしたりする「ポケストップ」や「ジム」は公園などの公共の場所も多いですが、特定企業の店舗などもあります。
 
それを「スポンサード・ロケーション」と呼び、各企業がスポンサー料を支払って集客に利用します。料金は集客数に対する課金だとか。
 

スポンサード・ロケーション(提携先の企業からスポンサー料が支払われる場所)金額は、来客一人あたり0.15ドルから0.5ドルとなります。
(中略)
日本では昨年夏のピーク時に、日本マクドナルドの各店舗は1日に2000人を集客した
(中略)
日本マクドナルドは3000店舗をスポンサー場所としたことから、ピーク時には1日90万ドル(約1億円)〜300万ドル(約3億3千万円)支払った計算になります。

引用:engadget(2017.06.02)
 
 
マクドナルド以外にも、イオンやソフトバンク、伊藤園の自動販売機などもスポンサード・ロケーションになっています。企業としては、ポケモンGOで遊ぶプレイヤーが実店舗に来て何か買ってくれればと期待してスポンサードするわけです。
 
「O2O」マーケティングそのものです。
 

「O2O(オーツーオー)」とは、「Online to Offline(オンライン・ツー・オフライン)」の略。お客様を、オンライン(インターネット)から、オフライン(リアル店舗)に誘導したり、逆にリアル店舗や手に取った商品から、自社サイトに誘導するマーケティング戦略のことです。

引用:【 事例発掘 】「仕組み」ではなく「顧客体験」をとことん追求した”ホンモノのO2Oマーケティング事例”を自分なりにあつめてみた。
 
 
一般にはアプリでクーポンを配布して、「割引やプレゼントしますからお店に来てください」という誘導が多いんですが、ポケモンGOの場合は、「このキャラはここしか出てきませんから来てください」という誘導の仕方です。
 
ゲーム自体の魅力から、プレイヤーの行動を変えるほどの影響力を持っています。びっくりなことに、わずか数カ月の時点で世界中のプレイヤーが実際に歩いた総距離が4.5億キロ。冥王星まで行けるとか。
 
参考:engadget日本版(2016.11.22)
 
MRCの調査結果でも、ポケモンGO利用者は、「以前より外出が増え」たり、「普段は行かない場所に行くことが増え」たり、「ポケモンに合わせて歩く道順を意識するようになった」りしています
 
fa_report-pokemon-20170728.pdf-000030
 
でも道順を変えるようになるというのはすごいことですよ。よく自己啓発本なんかで、「新鮮な日にしたいなら歩く道を変えましょう」的な話が出てきますが、逆に言えば道を変えるという行動はそれだけ特殊だということです。それをポケモンGOがコントロールしているというのは、すごい影響力です。
 
店舗に誘導するだけでなく、消費も促してますよ、ポケGOさん。
 
fa_report-pokemon-20170728.pdf-000032
 
ポケモンGO目的で外出したら(スポンサード・ロケーションで)何か買うことが多い、アンドときどき買う人の割合が55%以上です。店舗には入らないと決めている人も多そうなので、なかなか高い数字だと思います。


 
 
 
 

なぜローンチカスタマーに「マクドナルド」を選んだのか?

 

ローンチカスタマーとは、そのサービスがリリースされる際の最初の顧客という意味合いです。2016年7月にポケモンGOがリリースされたとき、最初にスポンサードしたのはマクドナルドさんでした。では、なぜ「マクドナルド」だったのか?
 
現在のポケモンGOの日本での主なスポンサード・ロケーション(ジム&ポケストップ)はこんなところです。(※MRC調査当時。今では他にも「レストラン ジョイフル」や「セブンイレブン」などのスポンサード・ロケーションがあります)
 

イオングループ/ポケストップ=2983、ジム=415
マクドナルド/ポケストップ=2500、ジム=400
ソフトバンク/ポケストップ&ジム合計=3700 ★充電サービス使える
タリーズ/ポケストップ&ジム=東京都2件 94件(ストップ)
TOHOシネマズ/ポケストップ=64 ★クーポンもらえる
伊藤園/ポケストップ&ジム 件数不明

 
調査では、ポケモンGOを利用しはじめてから訪問頻度が増えたと思うスポットの1位は「マクドナルド」です。
 
fa_report-pokemon-20170728.pdf-000023
 
ストップ&ジムの件数ではイオングループの方が多いのですが、店舗へ行く機会が増えたという回答率はマクドナルドの方が上回っています。
 
理由を探るべくクロス集計してみると、まず地域差の数字が特徴的でした。マクドナルドは首都圏に強く、イオンは地方との差があまりありません。イオンの方が全国にまんべんなくストップがあるということなのでしょう。それでも全体で見ればマクドナルドがイオンに勝っています。マクドナルドの集客力を解き明かすにはもう少し掘り下げる必要がありそうです。
 

●マクドナルド/エリア別の訪問機会

 
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●イオングループ/エリア別の訪問機会

 
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なぜマクドナルドが勝っているのか? 先ほどの「ポケモン・ドストライク層と狭間層」の分析を思い出すと、年齢層で一番利用率が高いのは10代~20代です。その層が行きやすいのはマクドナルドとイオン、さてどちらでしょう? ということ。
 
そして、もうひとつ。ポケGO目的で店へ行くとき、鉄のハートでも持っていなければ、さすがに何も買わないワケにはいかないでしょう。つまり「義理消費」です。ソフトバンクは契約者以外でも充電サービスが使えるのが特長ですが、充電しながら何も買わずにソフトバンクのショールームに長時間いるのはメンタル強くないと難しそうです。それに比べ、マクドナルドは100円でコーヒーが飲めます。長時間いても嫌な顔をされることも少ないので気軽に入れそうです。
 
最後に、伊藤園を除くスポンサード・ロケーションに共通するのは、何らかの「まとまった空き時間」があること。マクドナルドだと、レジ待ち、注文の品待ち、飲食時間、と空きだらけです。たとえば「洋服店」などだと、店内を巡って商品を選ぶ時間の方が長く、「空き時間=スキマ時間」があまりないですよね。あるとすればレジ待ちのときぐらいでしょうか。
 
そうこう考えると、なぜ「ポケモンGOプレイヤーにマクドナルドが選ばれたのか」がわかってきますね。まとめますと、
 
1.コアな客層がポケモン・ドストライク層である10代~20代
2.商品単価が低く、「滞在する」ための義理消費のハードルが低い
3.「すきま時間=キリングタイム」があるためスマホを見やすい
4.スマホに集中できる「キリングタイム」が十分あるため
  ゲーム上でのさらなる「課金」が狙える
 
と見ていくと、「マクドナルド」ほどぴったりなスポンサード・ロケーションはないと言えるぐらいですね。さて、話をまとめていきます。


 
 
 
 

カスタマージャーニーとキリングタイム。

 

「ポケモンGO」はもともと2014年、Googleのエイプリルフール企画で、Googleマップ上に151種類のポケモンが登場し、全種類捕まえるとポケモンマスター認定書が贈られるというジョーク企画から誕生しました。その企画が人気を集め、Googleの社内ベンチャーである位置情報ゲーム「Ingress」とドッキングしたというわけです。
 

●ポケモンGOの原型になったエイプリルフール企画

 

 
Google仕込みだけに、ビジネスモデルやマーケティングプランはさすがです。
 
ワタシが思うに、ポケGOの中の人は「スマホゲームを利用するタイミング」をかなり重視してるんじゃないでしょうか。ユーザーを店舗に誘導し、消費行動の間に「スマホを見させる」ためには、一定の「キリングタイム」が必要です。店舗に入ってから出るまでの、ベースとなる消費行動を妨げるのには労力がかかるので。
 
「キリングタイム」を見つけるためには、店舗内での顧客の「カスタマージャーニー」を分析して可視化する必要があります
 
これはスマホを活用したO2O施策全般に言えます。つまり、顧客に対するオファーの内容だけではなく、アプリに通知するタイミングも考えることで高い効果が期待できるということです。タイミングは店舗の外で何か暇つぶしをしているときでもいいんですが、店舗の中にいるときの方がマーケティング効果は高いはずです。
 
自社の店舗の中での「キリングタイム」はいつだろうか? レジ待ち? 商品待ち? 着席後?……。一度キリングタイム探しに店舗で観察してみることをお勧めします。それから、スマホに搭載されているセンサ技術を使って、店舗内での顧客の行動をトレースすることができれば、店舗内でのカスタマージャーニーをデータの形で可視化できるでしょう。キリングタイムを活用したO2Oはさまざまな店舗で応用が効きそうな手法です。
 
それから、ポケGO中の人はスポンサーとなった店舗側の手間を増やさないことも重視してそうです。クーポン系のO2Oアプリの場合、店舗はスタッフにアプリ使用の場合の対応を教育して、レジでは一般の購買客とは違う対応をして、しかも割引やプレゼントが必要という、金銭的にもオペレーション的にもコストがかかります。
 
が、ポケモンGOの場合、一般の購買客と同じように対応し、後は顧客が勝手にゲームで遊ぶだけなので、スポンサー費用以外は追加費用もなし、オペレーションコストも増えません。店側は待てばいいだけ。見事なビジネスモデルじゃないですか。企業、顧客、プラットフォーマーの三方良しですね。マーケティングプランを考える際には、ここまでいけるといいですよね。

 
 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。今回紹介した「ポケモンGO」を中心とした「インターネットの利用に関するアンケート」は、無料でダウンロードできますので、ぜひ。記事に共感いただけましたらシェアやFacebookページのいいね!もぜひお願いします。

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