おすすめマーケティング記事 おすすめ 2017.09.04

【 提案 】レシピ動画アプリみたいな分散型メディアもいいけれど、”循環型分散メディア”ならもっといいと思う。

 
【記事要約】
今回の記事はデリッシュキッチンなどのレシピ動画などで話題の「分散型動画メディア」について、独自の調査と複数の事例から掘り下げてみました。SNSなどのプラットフォームにはさまざまなメリットがある反面、栄枯盛衰がはげしいのが難しいところ。スピードの早いデジタルマーケティングの世界で、どのように分散型メディアに取り組むべきか、その参考になればと思います。
 
 
 
目次:


 
 
 
 

レシピ動画アプリ、すごいですね。

 

最近タクシーに乗ったら、座席前の動画配信パネルから、レシピ動画アプリ「クラシル(Kurashiru)」さんのCMが流れてきました。クラシルさんといえば今年30億円の大型資金調達をしたことでも話題です。タクシーにもCMを配信するなんて、アクセル踏んでるな~と思いました。
 
参考記事:TechCrunch(2017.03.27)
「レシピ動画メディア「kurashiru」運営のdely、総額30億円の資金調達」
 
クラシルさんに代表されるレシピ動画アプリは広告プラットフォームとしてはもちろん、「分散型メディア」という文脈でマーケターに語られることが多いメディアです。今回は、そんな「分散型メディア」のあり方について、独自の調査結果を踏まえて考察してみました。


 
 
 
 

分散型メディアとは?

 
 

そもそも分散型メディアとは何?

 
もともと分散型メディアとは、数年前にアメリカで「BuzzFeed(バズフィード)」というニュースサイトの創業者が言い出した概念です。自社サイトだけでなく、Facebook、Twitter、Instagram、YouTube、スマホアプリなどソーシャルメディア(SNS)を中心に、複数のメディアにコンテンツを分散させて掲載するメディア運営のことを指します。
 
わかりやすい例としては、アメリカのニュースサイト「NOW THIS」があります。
 
nowthis
 
「NOW THIS」公式サイト
 
自社サイトがランディングページのように1ページだけ。SNSへのリンクになってます。フェイスブック、Snapchat、ツイッター、インスタ、YouTubeの公式ページに飛んでそちらでコンテンツを見てね、と。シンプルなWebサイトに比べ、たとえばフェイスブックのNOW THISには、政治、エンタメ、面白、未来、酒など、7つのカテゴリがあるという充実ぶり。
 
左下のキャッチコピーは意訳すると「ホームページってもう言葉自体が古いよね。だからウチはSNSにニュースをお届けするよ」と。たしかに新しいです。
 
 

既存メディアとの違いは?

 
一方、古いと言われてしまったのが、Webサイト、自社サイトです。これまでの流れはこんな感じ。
 
image_bunsanmedia
 
引用:VISUAL FEED(2016.03.08)
 
まずは自社Webサイトにコンテンツを公開し、それに合わせて、SNSでWebの内容の「さわり」とリンクを投稿し、自社サイトに来てもらう形でした。というか、今ではメジャーな手法ですね。MRCもバッチリその形です。
 
時代とともにSNSのユーザー数や利用時間は大幅に増えました。スマホの爆発的普及でWebサイトからアプリへとアクセスの主流も移りつつあります。という環境の変化もあり、SNSなど「Web以外のメディア」の存在感が無視できなくなってきたわけです。
 
ところが、SNSで投稿に興味を持ったとしても、わざわざリンクへ飛んで読んでくれる人の数は少ない。「じゃあ、SNSでコンテンツを完結させてしまおう」ということになったわけですね。SNSにはリンクではなく、きちんとコンテンツ自体を配信するということです。
 
ショップでたとえると、
 
・旧来のWebサイト=実店舗があり、人通りの多い公園や商業施設でチラシを配って集客
・分散型メディア=実店舗を持たず(もしくは狭い簡単な店で)、各地の大型店舗に間借りさせてもらう。しかも基本タダで!
 
こう聞くと、分散型メディア、いいじゃないですか。
 
 

分散型メディアのメリットは?

 
メリットはまず、SNSなどの外部プラットフォームを借りる形なので、サーバー費用などの初期費用、メンテナンスなどの維持費が不要。広告を出さなければ使用料も無料です。
 
SNSならコンテンツを公開すれば読者のタイムラインに流れ、目に触れやすいというメリットもあります。
SEOのアルゴリズム変更の影響が少ないというメリットもあります。Googleのアップデートで順位が下がって頭を抱えた経験がある人には朗報でしょう。
 
 

反対にデメリットは?

 
デメリットは、分散することによってコンテンツ制作の手間がかかることです。まったく同じコンテンツをすべてのSNSなどに配信するのは難しいです。そもそもツイッターなら140文字までなど、SNSによって仕様が違いますから。
 
プラットフォームによってテイストも違います。インスタに長文を載せては共感を得られそうにありません。逆にフェイスブックであまりに内容が薄いと「いいね」はもらいにくそうです。
 
それから、SNSで拡散しにくいコンテンツはアクセスが増やしにくいという現実もあります。MRCも文章が割と長いコンテンツなので(すいません……)そのままSNSに公開するのはためらいますね。
 
 

どんなコンテンツが受けるの?

 
ではどんなコンテンツが分散型メディア向きなのかというと、ジャンル的には、日本では料理のレシピ、ニュース、ダイエット、メイク、ファッションなどが多いですね。海外ではアートとか旅、健康といったジャンルも活況のようです。個人的にはペットなんかも受けると思います。
 
コンテンツの形式では、動画です。「ferret」さんが分散メディアの実験として、「動画」vs「文字とリンク」で比較した結果を見てみましょう。
 

10本動画投稿を実施し、通常投稿(テキストとリンクのみ)と各アクションの比較をしたところ、以下のような結果となりました。

平均いいね数:0.67倍
平均リーチ数:1.5倍
平均インプレッション数:1.4倍

いいね数は低下したものの、リーチ数、インプレッション数は平均で1.5倍の伸びを示しました。
より多くのユーザーとの接触回数を増やせたという点においては、分散型メディア的な働きができたと見ていいでしょう。

引用:ferret(2017.03.06)
【事例公開】分散型メディア運用するなら動画は必須?ferretのSNSアカウントで動画運用を実施した結果を公開!
 
動画の方がよく見られています。SNSプラットフォーム自体が、動画はタイムラインに流れやすいなど、動画に力を入れていることもあって、インプレッション数(表示数)も動画が上です。
 
 

マネタイズはどうするの?

 
旧来のWebメディアで、バナー広告費や有料会員などでマネタイズしている場合、SNSはバナー広告を勝手に貼れませんから困りそうです。では、どうやって間借りした場所でマネタイズするのか。上で出てきた分散型ニュースメディア「NOW THIS」のマネタイズ戦略を見てみましょう。
 
nowthis_businessmodel
 
引用:ZOWEB(2015.05.18)
「Buzzfeedの先をいくメディア?「Nowthis」がとる WEBサイトを持たない分散型コンテンツ戦略とそのビジネスモデルとは?」
 
マネタイズ方法
1)広告費のレベニューシェア=YouTuber的な話。コンテンツに広告が載り、動画1再生0.1円のように広告費のほんの一部を還元してもらえる仕組み
2)ブランドコンテンツ=ネイティブ広告=記事広告
3)コンテンツ製作=外部企業からコンテンツ制作請負
4)データ=読者データなどを販売かレンタル
 
結構ありますね。
 
 

日本ではどんな事例があるの?

 
では、実際に日本で分散型メディアとして機能している事例をいくつか紹介します。まずは大激戦区である料理レシピ動画から。※各プラットフォームの情報は記事執筆時のものです。
 
 

●分散型メディア、レシピ動画アプリ「kurashiru(クラシル)」

 
kurashiru
クラシル/Instagram
 
<自社サイト、Facebook、Instagram、Twitter、YouTube、アプリ>
 
すべてがレシピ動画という分散型メディア「クラシル」。専属調理人がつくるレシピが、毎日4~6件投稿される、頻度の高さが特徴です。インスタの動画投稿総数は2163件。月間動画再生回数は1億回超!という巨大サイト。料理上手な女優、木村文乃さんが出演するCMも人気です。月額480円のプレミアム会員制度もあります。
 
 

●分散型メディア、レシピ動画アプリ「DELISH KITCHEN(デリッシュキッチン)」

 
delikiti
デリッシュキッチン/Instagram
 
<自社サイト、Facebook、Instagram、Twitter、YouTube、アプリ>
 
管理栄養士、調理師、料理研究家など、食の専門家が作ったオリジナルレシピが特徴の「デリッシュキッチン」。インスタの投稿総数は1589件。フォロワー数は100万人近くで、レシピ動画ナンバーワンです。2017年4月からテレビCMが放映され、勝負をかけてきた印象。食品や調味料メーカーのブランデッドコンテンツ(記事広告)の多さも特徴で、その数120社を超えるとか。
 
 

●分散型メディア、レシピ動画アプリ「cookpad TV(クックパッド)」

 
cookpad
クックパッド/Instagram
 
<自社サイト、Facebook、Instagram、Twitter、YouTube、アプリ>
 
日本のレシピサイトの草分け。動画の活用は少し遅かったものの、巻き返してきています。インスタの投稿総数806件。CGM(一般ユーザーからの投稿)が基本ですが、プロのレシピ、ネイティブアドのレシピなどもあります。月額360円のプレミアムサービスは会員数195万人という驚きの人数。個人的にはサムネイルに料理名がしっかり入っているところと、写真の鮮明さがいいと思います。
 
 

●分散型メディア、レシピ動画アプリ「cookpad TV(クックパッド)」

 
letronc
ルトロン/Facebook
 
<自社サイト、Facebook、Twitter、Instagram、YouTube、LINE>
 
スマホを意識してか、ほぼ正方形の街ネタ&旅行情報の動画を配信している「ルトロン」。プラットフォームによって内容が変わり、インスタはスイーツの静止画写真オンリーになっています。「Yahoo Beauty」や「TRILL」といったメディアへのコンテンツ配信も行い、わずか半年で月間40万UU、1000万リーチを記録したとか。
 
参考記事:COMPASS(2016.12.28)
「分散型メディア時代に 半年で40万UUを達成した「ルトロン (LeTRONC)」のコンテンツ哲学とは」
 
 

●ダイエットがテーマの分散型メディア「Lifmo」

 
lifmo
Lifmo/Instagram
 
<自社サイト、Facebook、Instagram、Twitter、アプリ>
 
ダイエットのための分散型メディア。ストレッチやマッサージ、ピラティスといったエクササイズ系と、低糖質料理の動画が並びます。フォロワーは1万8000人、月間総再生回数は100万回以上だとか。ソフトなダイエットというジャンルは、女性受けしそうです。オープン時はエクササイズ系オンリーだったのですが、料理も加わりました。
 
参考記事:TechCrunch(2017.06.06)
「ダイエット特化の分散型メディア「Lifmo」、運営元が5000万円調達」


 
 
 
 

調査でみる分散型メディア時代

 

MRCでも分散型メディアを考える上で参考になりそうな調査をしています。
 
 

検索はGoogleではなく「SNSで」

 
分散メディアという概念が出てきたのは、なんといってもSNSというプラットフォームが支持を集めているからです。特に若年層はSNSで普通に情報を検索します。
 
fa_report-monthly-20170308.pdf-000055
 
まず、情報収集のメディアでは、テレビ(76.6%)とスマホ(76.5%)がほぼ拮抗。も、若年層ではスマホの方が多くなっています。そして、新聞、雑誌、ラジオという旧来メディアの数字はかなり低めです。
 
 
fa_report-monthly-20170308.pdf-000057
 
最も接触頻度の高いメディアは? という質問になると、スマホ(44.9%)vsテレビ(24.4%)と、スマホがほぼ倍の数字です。パソコンの数字も高いことから、インターネットが完全に旧来メディアに取って代わったと言って良さそうです。
 
 
fa_report-monthly-20170308.pdf-000059
 
スマホで情報収集するメディアは、インターネット(Google、Yahoo!など)74.8%、ニュースアプリ 49.1%、SNS 48.5%。若年層ほどSNSの比率が高くなり、10代スマホユーザーの7割は、「SNS上の投稿やニュースから情報収集」しています。もうGoogleでSEOしておけばOKな時代ではないことがわかります。
 
MRC参考調査:「モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査(2017年2月度)」(2017.03.08/89ページ/ダウンロード無料)
 
 

動画はスマホで見る

 
分散型メディアは動画コンテンツと相性が良く、SNSが動画推しなこともあり、絶賛増加中です。
 
fa_report-video-20170802.pdf-000010
 
普段動画を見るのはスマホが多いですね。10代は9割、20~30代は8割近い数字です。一時期はノートパソコンに取って代わるかと言われていたタブレットは低い数字です。
 
 
fa_report-video-20170802.pdf-000012
 
普段使っている動画プラットフォームは、全年齢でYouTubeが強いですが、Twitterも健闘しています。特に10代では6割を超え、YouTubeに近づいています。
 
 

レシピ動画は若年層でデリッシュキッチンがトップ

 
動画の中でもレシピ動画は広い年代のユーザーがアプリで視聴する、分散型メディアの代表格とも言えます。
 
fa_report-video-20170802.pdf-000043
 
表のように、広い年代に支持されています。女性がメインのターゲットだと考えると、高い数字です。どのアプリを使っているかという質問では、10代~20代の若者は一番有名なクックパッドではなく、デリッシュキッチンがトップです。クラシルも高い数字を弾き出しています。
 
クックパッドは歴史があるだけに、Webサイトで文字と写真のレシピを見るという印象が強いのではないでしょうか。
 
 
10-recipe
 
20-recipe
 
MRC参考調査:「動画&動画広告 月次定点調査(2017年7月度)」
(2017.08.02/70ページ/ダウンロード無料) ※下の「レシピ動画」も同様
 
こう数字を見ていくと、大きなパソコン画面でWebサイトを見るという文化は扇風機やコタツのように古くなってきている印象です。スマホ、アプリ、SNS、動画という、分散型メディアに向けて強風が吹いてますね。ただし、忘れちゃいけないことがあります。


 
 
 
 

分散バラバラでなく、循環型メディアならもっといい。

 

今、SNS以上に元気になりそうなプラットフォームは見あたりません。コンテンツも、動画の天下は堅いでしょう。SNSと動画という組み合わせがメディアの主役という状況はしばらく続きそうです。
 
マーケターには、今まで以上に、各プラットフォームの特性やユーザー層に合わせてコンテンツを配信することや、動画制作のノウハウと環境を整備していくことも重要です。ただ、それだけでいいのでしょうか?
 
上手く使えばメリットの多い分散型メディアですが、落とし穴もあります。それは、「プラットフォーム依存」へのしっぺ返しです
 
プラットフォームの中心は時間とともに変わります。ユーザーの好みの変化、環境の変化、人気コンテンツの傾向などなどによって、プラットフォームにも山と谷があります。たとえば10代のSNS利用率の推移を見てみましょう。わずか数年で、若者はFacebookから離れ、インスタやSNOWへ移っています。しかし5年後にはまた状況は変化しているでしょう。
 
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MRC参考記事:【2017年4月更新】国内四大SNS利用率&トピックスまとめ。そこから見えてきたトレンドとは?
 
たとえば、一時期人気だった6秒動画のSNS「Vine(ヴァイン)」はプラットフォームごとなくなりました。ツイッターは買収されるという噂が絶えません。プラットフォームに依存してしまうと、足下に穴が開いて地面がなくなるというような事態になりかねないということです。
 
プラットフォームを活用はしながらも、依存しないためには、どうすればいいのか。MRCでは、「ユーザーを循環させる」という発想が必要だと考えています。
 
どうしても分散型と聞くと、それぞれを独立させるイメージがしますが、それだけではもったいないやり方です。それぞれのプラットフォームで「コンテンツを完結させる」のはいいですが、「ユーザー体験を完結させてしまう」のではなく、それぞれのプラットフォームから、他のプラットフォームへとユーザーを循環させる=ユーザー体験を循環させる、ことも考えてみましょう。
 
Facebookページから入ったユーザーに、今度はTwitterやインスタをフォローしてもらう、もしくはWebから会員登録してもらう。関連リンクを貼ったり、続き企画をつくったり、プラットフォーム横断キャンペーンを開催したりと、手段は様々に考えられます。このように、「ユーザーを循環させる」ことができれば、プラットフォーム依存へのリスクは軽減しつつ、マーケティング施策の幅を広げることにもつなげられるのではないでしょうか。
 
 

まとめ

 
分散型メディアは今後も重要性を増していきそうです。でもプラットフォーム依存はリスクが高いので、
分散型メディア + ユーザー循環 = 「循環型分散メディア」に発展させましょう。

 
 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。今回紹介した
「動画&動画広告 月次定点調査(2017年7月度)」
「モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査(2017年2月度)」
の結果は、無料でダウンロードできます。記事に共感いただけましたらシェアやFacebookページのいいね!もぜひお願いします。

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