【検索って必要?】スマホがもたらした、インターネットメディアのパラダイムシフトとは?
目次:
チャットインタビューで「検索行動」の実態に迫る!
生まれながら(たぶん)の文系な私。クロス集計でデータ分析という定量調査的アプローチもいいんですが、潜在ユーザーにいろいろ聞いて意外な商品の使い方を発見したりできる定性調査的アプローチにとても魅力を感じます。
ただ、定性調査って時間もお金もかかるんだよなぁ……。と、片思い状態だったんですが、新登場「Sprint」のサービスを知り、なんとチャットでインタビューができるようになった!しかも30分間しっかりと聞き込める!それって、デプスインタビューってことだよね!
とテンションが上がり、前回は“SNSをきっかけにした購買活動”について、30分×3回のチャットインタビューを行い、こんな記事を書きました。
MRC参考記事:【 チャットインタビュー 】SNS投稿をきっかけに商品購入!そのとき現場では何が起こっているのか?
結論をまとめると・・・
SNS起点での購買行動には、SNSならではの「逸品との出会いという演出効果」が関わってるのではないか?SNSで検索して運命の出会いをした、的なストーリーの。だから、単にこれからはSNS活用だ!じゃなくて、その「ユーザー体験の本質」を考えないといけないよね、という話。
ふむふむと思ったが、あとでさらに考えてみると「じゃあなんでGoogleじゃなくてSNSで検索するのか?」というギモンがふつふつ沸いてきたので、再びチャットインタビューで聞いてみました。
SNSの使い方について、MRCの定量調査もおさらい
ちなみに定性調査の前に定量調査。MRCの2017年8月の調査を見てみると・・・。
MRC参考調査:
モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査(2017年8月度)
「世の中の話題」「他の人と話すときのネタ」はTwitter
何を使って情報収集するか、全年齢合計だとGoogleが強いですが、若年層はTwitterが強いです。
「世の中で話題になっている情報」は10代、20代はGoogleよりTwitterで探すほうが多いですね。特に10代女性はTwitterのほうが4倍多い!という数字です。「話のネタになるような情報」も10代、20代女性の数値が高くなっています。
「ひまつぶしになるようなネタ」はTwitter
「ひまつぶしネタ」も若年層女性はTwitterが強いですが、全般にはGoogleが結構強いですね。その他のサービス(たぶんYahoo!の人が多い)も強いです。たぶん速報性のある内容じゃないからだとワタシは読みました。
つまり、リアルタイム度が重要なニュース性のある情報はGoogleじゃなくTwitterですよね。若年層の特に女性はTwitter強いですよね。ってことですね。うむうむ。じゃあ早速Sprintでのチャットインタビュー結果をみてみましょう。
テーマは「SNSでの情報収集について」。なんでGoogleじゃなくTwitterで検索するの?どう使い分けてるの?、です。
■チャットインタビュー1■
Aさん・女性・30代前半・既婚
「天気とニュースはLINE、ファッションはインスタで情報収集」
今回も「Sprint」というチャットインタビューのサービスを利用して、社内にいながら対象となるモニタさんを見つけて、突撃インタビューします。
解説:Sprintとは?
ジャストシステムが2017年8月にリリースした、「わずか5分でターゲットとなる消費者に出会えるチャットインタビューサービス」で、インターネット上で定性調査のインタビューができます。従来のリアル・インタビューよりもはるかにスピーディーで低コスト、リアルタイム性があるのが大きな特徴です。詳しくはこちら
Sprintでは、
1)まずインタビューをしたい対象者の年齢や性別など条件(属性)を指定
2)Sprintの持つ膨大なモニタさんたちに1問アンケートを配信
3)質問の返答が次々に返ってくるので、5分以内にインタビューするモニタさんを決定
という流れで、「リアルタイムにモニタをスクリーニング(抽出)」<特許出願中>することができます。100人とかからインタビュー対象を選べるので、聞きたいことが聞ける可能性は高まります。その模様がわかる動画を用意しましたので、見てみてください。
結果、スクリーニングの返答で「日頃からLINEとインスタで情報収集をしている」というAさんに決めました。TwitterかGoogleが多い中、LINEが珍しかったので。
AさんはLINEを朝晩チェックされていて、メッセンジャーというよりはメディアとして使っているようです。
テレビよりスマホ。30代でもスマホネイティブな行動になってきています。SNSも使い分けています。
ファッションはインスタ。グルメや旅行なんかでもインスタの存在感は高いですね。それと、芸能人情報もインスタのようです。
なるほど。
「必要」な情報である天気やニュースはLINE
「興味」のあるファッションや芸能情報はインスタ
「SNSで足りない」情報はネット検索
テレビはドラマを大画面で見る機械、と。
自然な形でプラットフォームを使いこなしています。
■チャットインタビュー2■
Bさん・女性・20代前半・未婚
「1日4時間以上、欠かさずTwitterを見ています」
次の方は、「1日4時間以上Twitterを見ている」というBさん。若年層はTwitterというデータがありましたが、いったい何を見ているのかというと・・・。
Twitterでは芸能情報を見ていると。たしかに今は女性ターゲットのタレント、アーティスト、モデルは情報発信に積極的な人が多いですね。
インスタは芸能情報と、ファッションや美容情報。SNSがインターネットでの情報収集の7割を占めるそうです。で、次の発言が個人的には一番びっくりしました
ツイッターとインスタで情報収集は充分。短文と写真でスピーディーに情報を取り入れる時代ということでしょうか。文字でしっかり説明するのはもう古いと。情報に対して受け身になっているということでしょうか。
ハッシュタグで自分から情報を取りに行くより、タイムラインで流れて行くのを見るのがメインのようです。ただ、
お店などは先にリアルで知って、公式ホームページを調べてフォローしたりと、積極的です。気に入れば自分から行きますよ、ということでしょうか。ちょっと異世界を見た気がして。面白いインタビューでした。
浮かび上がった仮説「検索って必要ある?」
ワタシもそうですが、IT業界の人間は職業柄、毎日めちゃくちゃ検索しますよね。それもほぼGoogle検索。なんならGoogleサジェストを上から順に検索してみたりして、ネットサーフィンというより、ネット埋蔵金発掘のようになってしまったり……。
一方で、若年層のスマホ&SNSネイティブは、SNSで「ハッシュタグ検索」する。つまり「検索」という行動がブラウザからSNSへと置き換わったのだと思ってました。
でも、ひょっとしたらそうではなくて、「受動的に情報を見るプラットフォーム」がテレビやラジオから「Twitterやインスタ」あるいは「ニュースアプリ」に置き換わったのかもしれません。検索ツールの主戦場が移ったのではなくて、スマホシフトによって、インターネットが能動的ツールから受動的ツールに変わったのではないでしょうか。
インターネットに流通する情報量は膨大です。ちなみに世界中で1分間にツイートされる数は、35万件です。Facebookのいいねなんか420万件です。
引用:lifehacker
こんな状況が当たり前なら、若年層の「検索」という行動が減っていることは納得がいきます。「検索なんてする必要あるかな?」状態です。情報は押し寄せて来るものを選ぶのが基本ということですね。
そういえば、もともとは検索用のタグだった「ハッシュタグ」も、若者の間では特殊な使われ方をしています。
容疑者Xの献血 #映画のタイトルを1文字変えただけでこの絶望感
— 枝郎 (@edaroh) 2014年2月25日
参考:Twitterで話題のおもしろハッシュタグまとめ
完全に大喜利のお題と化しています。すがすがしいほど実用性ゼロです。「検索させるためのハッシュタグ」なんてつけているのは、広告主と、おじさん・おばさんだけなのかもしません。
検索なんかせずに、テレビのチャンネルを切り替えるように、TwitterにインスタにLINEにYahoo!ニュースにアメブロにと切り替えているのかもしれません。いつもスマホは手元にあるし、テレビのリモコンより楽ですしね。
傾向として、若者は「検索」しない。リアルで知ったお店や芸能人をフォローするーー。もしそうなら、マーケターはどうすればいいのでしょうか? 果たして「SNS」だけ見ていて良いのでしょうか?
つまり、一周回って、リアルな現実社会が重要になるということです。リアルでの露出や活動がなければ、そもそもフォローされない、フォローされなければリーチ出来ない時代になっていると言えるのではないでしょうか。
定性で見つけた仮説を定量調査で検証
仮説が広がるチャットインタビューでしたが、あくまでインタビューはインタビュー。一人や二人がそう言ったからといって、鵜呑みにはできません。次は、今回の定性調査で出た仮説を、定量調査で検証してみたいと思います。さっそくMRCの「月次定点調査」で質問してみます。乞うご期待。
さて、今回は「Sprint」というサービスを活用してインタビューを行いました。もし、こんなテーマでやってほしい!という方がいらっしゃったら、お気軽にFacebookページからメッセージをください。(まだほとんど反応ないので(-_-;)、採用される確率大です)
また、今回行ったチャットインタビューは「Sprint」というサービスで実施することができます。興味がある方は、ぜひWebサイトをご覧ください。
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