【 動画戦国時代 】 10代に人気急上昇中の口パク動画SNS「Tik Tok」をマーケティングに活かす!
目次:
- 「Tik Tok」って知ってます?
- Tik Tokとはこんな動画SNS
- 動画視聴は当たり前の時代に
- 残念。動画広告を見る人が減っています
- 今、よく見られているのは、Tik Tokの口パク動画
- チャットインタビューで「Tik Tok」ユーザーに聞いてみた
- マーケティングにも使えるTik Tok
- 他の動画SNSと違うTik Tokのポジショニング
- Tik Tokマーケティング活用事例
- まとめ|Tik Tokを活用するなら、10代の感覚に近いコンテンツで
「Tik Tok」って知ってます?
SNSの移り変わりは早いですよね。時間が経つと投稿が消えるエフェメラルなSNS「Snapchat」が流行り、「SNOW」がその座を奪ったと思ったら、インスタがマネしたもんで、まとめて「もう古い」と言われるようになってますね。次の挑戦者は
「Tik Tok(ティック・トック)」です。 2017年の後半にYouTubeで大々的に動画広告を配信し、「ウザい」と評判になりました。
ウザいというよりは、なにが面白いんだろうか、と戸惑います。孫を見るお爺ちゃんお婆ちゃんの気分ですが、これが今10代に人気なんです。
ただ、SNOW → Tik Tok の流れは、今ドキのネット社会を反映していますね。というのは、動画が本当に当たり前になって、写真 → 動画に移ってきています。で、小説にも純文学からラノベまであるように、動画も凝り凝りのミュージックビデオからTik Tokまで受け入れる土壌ができてきたわけです。
Tik Tokとはこんな動画SNS
Tik Tokってなんなのか、知らない方も多いと思いますので、ザッと紹介します。
そもそもTik Tokとは中国発のショート動画専用SNSです。2017年の夏に日本版がリリースされ、その年の11月にはApp Storeの総合ランキングで1位になりました。そこから9カ月経った今でも、競合ひしめく「写真/ビデオ」ジャンルの1位です。
App Store
用意されたBGMやオリジナルサウンドを利用して、口パクで歌ったり、ダンスしたりで撮影した15秒以内の動画を加工して投稿できます。もちろん投稿された動画を見るだけでも大丈夫です。
投稿されている動画で多いのは、
- お笑い芸人やYouTuber、タレントといった有名人の投稿
- #こっちを見て(顔を隠したり後ろ姿から、最後に顔を見せる)
- #飼い主のいたずら(ペットにいたずら)
- ダンスの踊り方解説
- 1発ギャグ
機能としては、「musicary」や「Mixchanel」と似ています(2018年2月にTik Tokはmusicaryを買収)。
短い動画が全画面で流れ、全部見てもすぐ終わり、イマイチならスワイプして次の動画へ、というテンポの良さが魅力ですね。YouTubeより軽くていいです。ユーザー登録をすることで、メッセージ機能やコメント機能を使い、ユーザー同士でコミュニケーションすることもできます。既にフォロワー10万超えの人気の投稿者も多く出ています。
参考:アプリTikTok有名人ランキング「2018年夏Ver」徹底紹介|SNSデイズ
動画視聴は当たり前の時代に
「動画の時代」ということでは、MRCでは2014年に「動画、流行るんじゃね」と考えて、動画や動画広告の利用状況や意識を動画定点調査として始め、毎月インターネット調査「Fastask」で調べています。
【MRC独自調査】「動画&動画広告 月次定点調査(2018年6月度)」(2018.07.19)
その結果を見ても、動画がいかに生活に入り込んでいるかがわかります。
●「動画コンテンツを毎日視聴している」人が一番多い
「どの程度動画を見ているか?」に対して、「毎日視聴している」人が23%でトップです。特に10代は「毎日」が50%と高く、他の年代でも50代以下は毎日見ている人が一番多いですね。
●1日に30分から1時間程度も見ている
動画を見ている時間は、「10~30分」が29%、「30~60分」が25%と多いですね。ここでも10代は「120分以上」が28%と突出しています。性別では男性のほうがやや視聴時間が長いようです。
●動画サービス6強時代
どんなアプリ(多くはスマホなので)で見ているのか。複数回答ですが、「YouTube」が88%で圧倒的です。こんな差があります。
1位/YouTube 88% 2位/Twitter 31% 3位/Instagram 28% 4位/LINE 24% 5位/ニコニコ 22% 6位/Facebook 18%
10代にはインスタとTwiter、20代にはニコニコ、30代にはFacebookが強いという傾向はありますが、YouTubeの王座は揺るぎないですね。
●趣味系とペット系が狙い目
- 1位/娯楽(ゲーム・趣味など) 36%
- 2位/芸能・エンターテイメント 35%
- 3位/スポーツ 27%
- 4位/ペット・生き物 24%
- 5位/美容・健康 20%
- 6位/グルメ 18%
- 7位/自動車 16%
- 7位/旅行・レジャー 16%
- 9位/ファッション・アクセサリー 15%
- 10位/家電・カメラ・AV 15%
自社サービスと直結したジャンル以外でマーケターとして使いやすいのは、趣味系・ペット系でしょうか。スポーツの味付けをした動画も良さそうです。
残念。動画広告を見る人が減っています
活況の動画市場ですが、マーケターにとっては残念なことに、一時期ウハウハだった動画広告が見てもらえなくなっています。
●見ない方向にゆるやかに移行中
動画広告を見ているかどうか、という質問に対して、「一度も見ていない」(上から3番目の黄緑線)人は横ばいなのですが、「自らの意志で、一定時間視聴した」(上から2番目の青線)人は減少傾向で、「見かけたが、視聴はしていない」(1番上の赤線)人はゆるやかに増えています。目新しさがなくなって、本当に興味がなければ見なくなったという、テレビCMへの態度に近づいている感じでしょうか。
●その後のアクション率は低い
YouTubeのスキップ可能な動画を見かけた後の対応は、「最後まで動画広告をみたことがある」が35%、そのうち、次のアクションにつながったのは、
- 動画広告を見た後にその商品・サービスを検索したことがある 9.7%
- 広告元のサイトへ訪問したことがある 8.3%
- 動画広告をSNSでシェアしたことがある 6.0%
に留まります。一回でもしたことがある、ということなので、効果は低そうです。
●4年間と比較すると動画広告のイメージが落ちている
- 動画広告をきっかけにそのブランドに良い印象を抱くことがある あてはまる+やや で、28.9% → 18.5%
- ブランドに興味を抱くことがある 37.3% → 24.1%
と、イメージダウンしていることがわかります。
今、よく見られているのは、Tik Tokの口パク動画
旗色の悪い動画広告に比べて、今勢いがあるのが、動画専用SNSです。
●「LINE LIVE」「Tik Tok」に勢いあり
利用率は帝王「YouTube」(50.5%)を筆頭に、「LINE LIVE」(9.0%)、「ツイキャス」(5.2%)、「Tik Tok」(3.5%)、「V LIVE」(3.39%)、「Ustream」(3.3%)となっています。特にTik Tokの勢いがすごく、短期間でライバルたちを追い抜いています。
●Tik Tokは10代に人気
人気は特に10代に集中しています。他の年代は8割ぐらいが「知らない」「わからない」中、10代では認知率が7割を超え、1割が使っている状況です。盛り上がれば、「知っているが利用したことはない」5割の人たちが利用するようになりますので、将来有望です。
チャットインタビューで「Tik Tok」ユーザーに聞いてみた
実際にTik Tokをよく使っている10代女性はどんな感じで使っているのか、チャットインタビューサービス「Sprint」を使って聞いてみます。
■チャットインタビュー■
「Tik Tokは4番目によく使うアプリです」
Tik Tokで「#かわいい」動画が好きだというモニタさん。
ウザいと評判だったCMがきっかけでTik Tokを知り、だんだん使うようになったとか。たしかに面白い動画もけっこうありますね。短いのがクセになる感じはあります。
他のSNSは、Twitterが近況報告、Instagramが趣味、LINEは連絡手段と、若年層女子の一般的な使い方です。
よく使うアプリは、Instagram、LINE、YouTubeに続いて、Tik Tokは4位だとか。1位のInstagramについて少し聞いてみるとーー。
インフルエンサーになるという感じではなく、友だちとの交流の場として投稿しているようです。
他の人の投稿を見る場合は、髪型やメイク写真が多いとか。お気に入りのインスタグラマーは「りかりこ」さん。双子モデルの方ですね。
他の動画SNSでは、LINE LIVEも見るとか。有名人が配信したりして盛り上がっていますね。
Tik Tokは1日2回、30分程度見るとか。15秒動画なので、120本も見るということですね。それは凄い。1度見出すと、サクサクといつまでも見てしまうようなところがあります。
Tik TokはYouTubeの次によく見る動画アプリで、Tik Tok=若者素人動画、YouTube=もっと大人でプロ動画、というイメージを持っているようです。
今後は「イイ波のってん☆NIGHT」(というTik Tokで人気の元ネタ曲)をBGMに友だちと踊る動画を投稿したいとか。
参考:Tik Tokで人気の元ネタ18曲まとめ! はさみーもマジ卍もあるよ|KAI-YOU
Tik Tokに欲しい機能は、音に合わせた効果だとか。これ、LINEのスタンプみたいに、オリジナルの効果が広告メニューにあったりするといいですね。ユーザーのためになるプロモーションはWIN-WINで効果が期待できます。
マーケティングにも使えるTik Tok
続いて、マーケター的なTik Tokの特徴を。それは、既に広告メニューがあることですね。YouTubeやLINE、Instagramなどは利用者が増えて世の中に浸透してから広告を設定していました。しかしTik Tokは登場から1年経たない段階ですでにマーケティング手段を用意しています。
現在、価格はオープンになっていませんが、広告メニューは次の3種類があります。
引用:CCI、Tik Tok向けのコンテンツ開発および広告販売を強化するための広告パートナーシップ契約を締結
- アプリ起動画面広告=起動時に表示される広告
- インフィード広告=広告ではない投稿の間に差し込まれる広告
- #チャレンジ=自社の商品やサービスなどを使った動画を投稿してもらう企画広告
サイバー・コミュニケーションズ(CCI)がTik Tokの広告パートナーとなっているので、上のリンクから問い合わせてみてください。
他には、インフルエンサー・プロモーション、つまり人気の投稿者に広告してもらうサービスも出てきています。ユーチューバーやインスタグラマーが所属する事務所が所属インフルエンサーに依頼してTik Tok上でPR投稿を行うスタイルです。 たとえばフリュー株式会社のサービスでは、1フォロワー×2円でPR投稿が行えます。所属するTikTokインフルエンサーの総フォロワー数は、合計100万人以上だそうです。
参考:10代女性×TikTok!! 「プリモ」を活用したインフルエンサープロモーション|メディアレーダー
他の動画SNSと違うTik Tokのポジショニング
では、Tik Tokならではの特徴はどこにあるのでしょうか?
1)10代の利用者がかなり多い
まず、一番特徴的なのが、上のMRCの調査データにあるように、10代の男女に人気が集中しているということです。そして男女比では、男性のほうが多くなっています。アプリを見ると投稿者はかなり女性のほうが多いですが、見るのは男性が多い、ということのようです。
他の動画SNSで利用者の年齢層が似ているのは、「MixChannel」です。カップル動画、友だち動画の投稿が人気を集めています。プリクラの動画版、というテイストのアプリです。Tik Tokとの違いは男女比です。MixChannelは明らかに女性のユーザーが多く、画面UIなども完全に女性向けです。
2)コンテンツが素人エンタメ系
動画の内容もTik TokとMixChannelでは違います。素人参加型であることは同じですが、MixChannelは友だちとの交流の要素が強い、比較的閉じたSNSで、Tik Tokはエンターテイメント性が高い開かれたSNSです。 そういう意味では、Tik TokはYouTubeに近いですね。チャットインタビューでも、Tik Tokを見るようになってYouTubeを見る時間が減った、というコメントがありました。違いは、Tik Tokのほうが素人度が高く、時間が短く、縦型動画でスマホにフィットしています。投稿もほとんど10代なので、同年代層にとっては親近感がわくというところもありそうです。
LINE LIVEもLINEのユーザー層の広さを受けて、10代の利用者も多いですが、現在のところ人気を集めるのは有名人の投稿が多く、有名人目当てに利用しているユーザーが多いでしょう。
3)おすすめ動画を見る珍しいアプリ
通常、SNSはFacebookにしろ、Twitterにしろ、Instagramにしろ、フォローした人の投稿を見ます。しかし、Tik Tokは「おすすめ」タイムラインを見る人が多いようです。
Tik Tokのタイムラインは1番どこを見ますか?
— ほりこす🐥😈 (@horikosu) 2018年7月9日
つまり、Facebook、Twitter、Instagramでは、フォローされていない新規コンテンツ、しかもプロモーション系はなかなか入りづらいということです。 動画広告の印象が悪いのは、Facebook、Twitter、Instaramの場合、興味がある個人とつながっているタイムラインの中に、部外者が無理やり入ってくる感じがあるからでしょう。自分の部屋に侵入されたかのような感覚さえあるかもしれません。しかも自動再生の動画だったりすると、悪印象が増します。 一方、Tik Tokは、そもそも「おすすめ」で雑多な動画が次々自動再生される開かれたタイムラインなので、侵入感は少ないと思います。15秒と短く、スワイプで飛ばせるという気軽感もあります。プロモーション向きの仕組みですね。
Tik Tokマーケティング活用事例
早くもTik Tokをマーケティングに活用した事例も出てきました。サントリーが2018年4月に発売した「ペプシJコーラ」のプロモーションの一貫でTik Tok動画を制作し、3週に分けて12本を公開しました。 「ペプシ Jコーラ」のテレビCM用オリジナル楽曲に合わせて、演歌歌手の石川さゆりやロックバンド・X JAPANのSUGIZOなど、9組のタレントがお祭りダンス「ペプシお祭リミックス」を踊るという動画です。
これがSNSで拡散するなど受けて、総再生数が1500万回を超えたとか、Tik Tokは口パク、ダンスマネの投稿が多いので、このダンスも2万人以上にマネされるなど、すんなりユーザーに受け入れられたようです。
参考:サントリー、「TikTok」を活用したダンス動画がSNSを中心に話題に|アドタイ
まとめ|Tik Tokを活用するなら、10代の感覚に近いコンテンツで
スマホアプリ分析プラットフォームを展開するフラーによると、Tik Tokは既にかなりのユーザー規模に達しているようです。
(Tik Tokは)AbemaTV 、 dTVとは同等のユーザー規模があり、直近ではかなり強力なアプリだ
引用:企画、開発、グロースまで…アプリの悩みを解決するApp Meet Up セミナーレポート|App Ape Lab.
規模もそうですが、ポジショニングもAbemaTVとは似ているかもしれません。フォロワー構造に閉じず、開かれたオープンなメディアで、エンタメ系、テレビ局のコンテンツに比べれば作り込みしていない動画、という意味で。ただ、活用する場合、10代に親近感を感じさせるコンテンツでないと、強くはじかれてしまうかもしれません。その部分では閉じたSNSと言えるかもしれません。先物買いする価値はありそうなTik Tok。
活用時には10代、学生、見るのは男性、を頭に企画を練ってみてください。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。今回紹介した「インターネットの利用に関するアンケート」は、下記からダウンロードできますので、ぜひ。記事に共感いただけましたらシェアやFacebookページのいいね!もぜひ。
■Sprint(スプリント)とは?
ジャストシステムが2017年8月にリリースした、「わずか5分でターゲットとなる消費者に出会えるチャットインタビューサービス」で、インターネット上で定性調査のインタビューができます。従来のリアル・インタビューよりもはるかにスピーディーで低コスト、リアルタイム性があるのが大きな特徴です。話を聞いてみたい人を選んで手軽にインタビューできます。
■Fastask(ファストアスク)とは?
ジャストシステムが提供するセルフ型ネットリサーチサービス。調査する企業が自分で質問を作成するスタイルで、ローコスト&スピーディーな調査が可能です。従来調査の半額~10分の1の費用で、即日~数日で調査が完了します。
更新情報を
WEBプッシュでお届けします。