おすすめマーケティング記事 おすすめ 2019.03.01

【 信用スコア 】AIで人間が格付けされる!? 日本でも導入目前の信用スコアは信頼できるのか?

 
 
目次:

 

 
 
 
 

今話題の「信用スコア」とは?

 
テクノロジー系の原稿を書いていると、最近は中国の勢いが凄いです。一時期はすべてシリコンバレーでしたが、最近はぶっ飛んだサービスや事例は中国が多いですね。
 
自動運転も、大型ドローンも、QRコード決済によるキャッシュレスも、中国が進んでます。特にどこにでも顔を出すのが、アリババとテンセントという中国テック界の二大巨頭です。今回のテーマである「信用スコア」も、アリババとテンセントが激しく競争しています。
 
「信用スコアって何?」という方も多いかもしれませんが、簡単に言えば、それぞれの人の信用度を点数にすることです。100点満点か1000点満点で格付けされることが多いですね。そしてその点数によって、国や企業の対応が変わってくるんです。
 
たとえばスコアが一定点以上なら保証金を払わずに高額商品をレンタルできたり、婚活に使われたりもするそうです。
 
金融業界では以前から「クレジットスコア」という審査用の点数付け(スコアリング)があり、融資の可否や上限額、金利を決めるために使われています。ただ、それは各企業、各業界ごとの閉じた仕組みで、使用も制限されています。
 
一方で信用スコアは中国で圧倒的に普及しているスマホ決済での取引情報や、政府のバックアップを受けて犯罪歴や裁判などの情報まで含まれ、点数もオープンにされます。
 
日本で言うなら、マイナンバーのシステムに様々な情報が蓄積され、点数化されるようなイメージです。ちょっと怖いですよね。そこでこの記事では、信用スコアについて、深めていきたいと思います。

 
 
 
 

信用スコアの算出方法と使い方

 
世界で一番進んでいるとはいえ、中国で信用スコアの仕組みが始まったのは最近です。もともとは中国政府が2014年発表した、国民や企業に自分の信用度を意識させて健全な社会を構築しようという7カ年計画から来ています。翌年には中央銀行がアリババやテンセントに信用スコアを行う許可を出してスタートした、まだ始まって数年のシステムなのです。
 
にもかかわらず、最も利用者の多い信用スコア、アリババグループの「芝麻信用(Zhima Credit、Sesame Credit、ジーマ信用)」は、グループ内の決済アプリ「Alipay(アリペイ)」の5億人を超えるユーザーのほとんどが利用する巨大サービスとなっています。
 
では、具体的に信用スコアとはどんなものなのか?「芝麻信用」を例に仕組みを紹介します。
 
信用スコア算出に使われるデータ
 
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※画像引用:Glo Tech Trends|【キャッシュレス社会】芝麻信用(読み方はジーマ信用)とは?杭州では信用を使ってお金を節約できる!

 
信用スコアを算出するためのデータは、アリペイを始めとするアリババグループのサービスで集まるデータと、国が持っているオープンデータです。上の画像のように5つの指標があります。
 
身分特質:年齢、学歴、職歴など個人情報
履約能力:預金、株式、車、住宅などの資産情報
信用歴史:ネットショップでの購買履歴、ローンや公共料金などのクレジット情報
人脈関係:SNSでの友だちの数や質、発言などの交流情報
行為能力:購入したモノ、使ったサービス(ゲームのプレイ時間など)、寄付の有無や金額などの行動情報

ほかにも、交通違反、犯罪歴、裁判記録、賠償金の支払い状況など、かなり幅広く細かい情報が使われます。
 
信用スコアの活用方法
 
zhima-credit-score
 
※画像引用:Glo Tech Trends|【キャッシュレス社会】芝麻信用(読み方はジーマ信用)とは?杭州では信用を使ってお金を節約できる!

 
蓄積された膨大な情報は、AIで350〜950点に点数化され、生活の様々な分野で活用されています。
 
たとえば、
700点:シンガポールビザがとりやすくなる
750点:北京空港の専用出国レーンが通れる
 
のように、公的なシステムでも使われています。
 
アリババ系のサービスでも数々の特典があります。
600点:系列旅行サイトで、ホテルでのデポジットが不要となる
600点:系列賃貸サイトで敷金が不要となる
600点:系列・提携ローンの審査がすぐに通る。一部サイトでは利率が下がり、返済期限が延ばせる
 
※画像引用:ZDNet Japan|中国の社会信用スコア「芝麻信用」で高得点を狙うネットユーザー

 
点数が高い人しか参加できない婚活サイトなどもあり、進学や就職、結婚にも影響を与える数字になっています。
 
信用スコアは月に1度更新されます。たとえば犯罪を犯せば一気に点数が下がり、公共交通機関での移動を制限されたり、アリババ系サイトの利用を制限されるなど、生活が不便になります。
 

信用スコアのメリット

 
ここまで信用スコアが広がったのは、社会にも企業にも個人にもメリットがあったからです。
 
1)品行方正な生活をする動機になる
点数が高くなれば多くのメリットがあるので、点数アップに繋がる、社会的に正しい生活をする人が増え、犯罪などの抑止に繋がる可能性があります。
 
2)審査の手間とコストが省ける
お金を貸す、家を貸す、車を貸すなどの際に行う与信審査は、借りる側にも貸す側にも負担が大きいものです。それが点数だけでできるのであれば、楽になります。
 
3)個人情報を開示しなくて済む
現在、何かの審査時には、年収から何から、様々な個人情報を提供する必要があります。信用スコアであれば、点数だけなので、逆に個人情報を出さずに済むという面もあります。
 
ちなみにワタシ、今、賃貸住宅を探していて、審査時には年収やら取引先やらたくさんの個人情報を書かされます。この前も30分以上かかりました。それが点数を見せるだけでいいなら楽ですよね。
 

信用スコアのデメリット

 
光と影、表と裏、デメリットももちろんあります。
 
1)情報流出された場合の被害が膨大
もし信用スコアのシステム自体のセキュリティが破られて情報流出した場合、個人の生活が丸裸になるぐらいの被害になります。
 
2)国や企業に利用されやすい
たとえばアリペイでリボ払いにするとポイントが上がるなど、国や特定に恣意的に使われる危険性が高い仕組みです。
 
3)裏技や詐欺に狙われやすい
中国では信用スコアを上げる傾向と対策情報が飛び交っていて、点数のために不要なモノを分割で買うなど、本末転倒なことが起こっています。さらに、高級品を買ったことにしたり、評価の高い友だちと紐付けるなど、有料で信用スコアを上げるサービスも登場しています。
 
4)差別や転落を生む可能性も
信用スコアは、点数が高い場合はメリットが多いですが、逆に点数が低い場合は合法的な差別が行われることになります。一度信用が落ちると上がりにくい仕組みなので、自暴自棄になり犯罪に向かう人が出てくる可能性もあります。
 
完璧なシステムはありませんし、多くのデメリットは信用スコアに限った話ではありません。しかし、個人情報を集約して点数化するだけに、プライバシー問題の不安は残りそうです。
 

 
 
 
 

日本でも続々参画が続きそう!

 
中国以外の国でも、金融系のクレジットスコアは普及しています。アメリカでは、データ分析系企業の大手、FICO(Fair Isaac Corporation)の「FICOスコア」が普及しています。米大手金融機関の上位100社の9割がリスク評価に活用していると言われます。基本的にはクレジットカードの支払い履歴や借入残高などを元に、個人の信用力をランク付けしています。
 
携帯電話の履歴や政府のデータベース情報も加味した「FICOスコアXD」もあり、中国の信用スコアにより近いシステムです。点数が就職の選考時に使われているところも中国に近くなっています。
 
日本でもクレジットスコアは金融系の会社で活用されていますが、今、日本版芝麻信用とも言えるサービスに進出するという企業発表が続いています。
 

Yahoo! JAPAN IDが活用できる「ヤフー」

 
2018年10月10日、アリババの大株主であるソフトバンクの子会社、ヤフーが信用スコアを年内に本格開始予定と発表しました。
 
日本でアリババに一番近い事業構造や規模を持つヤフー。Yahoo!ショッピングにヤフオク、PayPayに検索と、情報は豊富です。100点満点で点数化され、高スコアのユーザーにはグループ会社などで特典が受けられる仕組みになりそうです。
 
ちなみに、スコアは「同意」を受けたユーザーのみが算出され、算出を拒否することもできるようです。
 
参考:ヤフー株式会社|プレスルーム

 
実はソフトバンクはみずほ銀行と組んで「J.Score」という信用スコアサービスを2016年にスタートさせています。年齢・職業・勤務形態などの20の質問に答えると、AIが信用スコアと融資の限度額・貸付金利を算出してくれるサービスです。どうもビジネス的にうまく立ち上がらなかったようですが、今でもスコアを算出してみることができます。
 
J_Score
参考サイト:J.Score

 

携帯電話・スマホ情報が活用できる「NTTドコモ」

 
ヤフーの発表から1週間後、NTTドコモも信用スコアへの参入を発表しました。
 
ドコモの契約時に記入した情報や携帯料金の支払履歴、コンテンツサービス利用状況などのビッグデータを解析し、ユーザーごとの信用スコアを算出し、金融機関の審査に活用できる仕組みです。
 
docomo
 
画像引用:NTTドコモ|報道発表資料

 
全ユーザーのスコアが算出されるわけではなく、提携融資サービスを申し込み、利用を同意した場合のみ算出されるようです。
 
既に2019年3月には、新生銀行がこの信用スコアを活用した融資サービスを提供することが発表されています。
 

利用者が一番多いSNS、LINE情報が活用できる

 
その約1カ月後、11月27日にはLINEのグループ会社であるLINE Financialがみすほ銀行、オリコと第三者割当増資で資本関係を結び、信用スコア「LINEスコア」とスコアを活用した個人向け無担保ローンサービスの準備を開始すると発表しました。
 
国内月間利用者7800万人を数えるLINEの利用状況や行動傾向データをクレジット情報に加味してスコアを算出し、ローン審査に活用したり、提携企業に提供することが検討されています。
 
信用スコアを算出するだけでなく、自社で融資まで行う、一歩踏み込んだ仕組みです。
 
参考:LINE|ニュース

 
ほかにも水面下で各社参画を検討しているとされています。それだけ信用スコアは企業にとって魅力のあるサービスだと言えるでしょう。
 

 
 
 
 

調査に見る「AIによる分析はどこまで信用できる?」

 
日本でもついに本格展開の兆しが見えてきた「信用スコア」。ビッグデータ&AIという世界的に流行の組み合わせで広がりそうです。解説したようにメリットだけでなく、デメリットがあるのも事実ですが、AIを活用したサービス、特に金融系に関してはまだまだ一般的には馴染みも薄く、どこまで信用されているのかわかりません。
 
そこでMRCがインターネット調査「Fastask(ファストアクス)」で毎月行っているAI定点調査で、AI技術に関する信用度がどこまであるかを調査してみました。昨年も同様の調査を行っているので、1年経ってどう変わっているのか、比較してみます。
 
MRC独自調査:「人工知能(AI)&ロボット 月次定点調査2018年総集編 【トレンド版】」(2019年2月14日)
 
まず、信用スコアで最も問題視されそうな「個人情報」について。グラフの下の赤棒が2017年、上の青棒が2018年のデータです。
 
Fastask_235
 
1年前と比較して、AIに個人情報を提供することに不安を感じ、抵抗を感じる人が増えています。「よくわからない」が減っているところを見ると、AIに個人情報を提供することが現実味を帯びてきて、不安が高まったと考えられます。
 
 
続いて「法規制」について。
 
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不安の高まりに合わせて、AIの活用について日本でもすぐに法規制を行うべきだと考える人が増えています。アメリカ型の「法規制しないほうが技術が伸ばせる」という意見は減っています。
 
 
最後に、「AIの発達によるリスクや不安」について。
 
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一時期数値が高かった「自分の仕事が奪われる不安」は減りましたが、近年のAIの発達によってAIの誤作動を人間が止められないと思う人が増えています。「AIによる事故」「AIを悪用した犯罪」に対する不安も高くなっています。
 
さらに、定性調査として、チャットインタビューサービス「Sprint」で消費者の方の声を聞いてみます。
 

 
 
 
 

【チャットインタビュー】「一時的な病気などでスコアが落ちるのが不安」

 
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個人の努力が報われるメリットはある反面、悪意ある第三者に評価を操作される危険性もあるというモニタさん。信用スコアを知ったのは、中国関係の記事だったそうです。
 
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公務員だそうですが、官公庁のデータを信用スコアに提供することもあり得るとか。
 
金融系のサービスで活用する形が想像しやすいようです。
 
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人柄や交友関係で点数化するのは難しいので懐疑的だそうです。
 
ほかにはカーシェアや民泊のような、善意で成り立っているサービスにスコアが使われることを期待しているそうです。
 
Sprint_03
 
信用スコアに対する不安は、不当に評価されてしまうことだとか。そして、一時的な怪我や病気で点数が落ちてしまうことだとか。これは納得性があります。
 
Sprint_04
 
モニタさんは、AIに対する不安はないそうです。逆に人間が介入するほうが不安だとか。
 
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今後日本で導入されたら、優遇が多ければ活用しそうだとか。
 
Sprint_06
 
参画を発表した3社では、生活に密着したLINEのスコアが信頼できそうに思われるそうです。使うデータが違い、計算するアルゴリズムが違えば、点数も変わってきます。自分に有利な信用スコアを選んで、その系列サービスをメインで使う、といったことも起こりそうです。
 
モニタさんはご自身の信用スコアは1000点満点で500点いかないのでは、と予想していますが、実際にはどうなのでしょうか? もうしばらくすれば、その答えがわかるようになります。
 

 
 
 
 

まとめ|消費者の「不安」の割合が普及の鍵に

 
一時期、「信用経済」「評価経済」という言葉が流行りました。お金より個人の信用が経済活動にとって大きな役割を果たすという概念ですが、信用スコアはある意味で信用経済を形にしたものです。
 
SFチックで、人間が点数化される冷たいイメージもありますが、構築次第では、いい人ほど得をするという、誰もが納得できる仕組みになる可能性も秘めています。
 
今後、日本において「信用スコア」の利用が進むかは、個人情報の扱いや、セキュリティ面の潜在的な不安を解消できるかがカギとなるでしょう。しかし、結局は信用スコアという未知のサービスなので不安に感じている面もあり、セキュリティという意味では銀行のキャッシュカードでもクレジットカードでもリスクはありますので、慣れによって不安は減るかもしれません。
 
フィンテックやヘルステックなど、AI技術を活用した●●テックと系のサービスが拡大するなかで、サービス提供事業者はプロモーションのなかで少しでも不安を軽減する努力と、こうした不安を抱く人の数字の変化も注意深く意識をしてサービスを展開していくべきでしょう。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。今回紹介した「インターネットの利用に関するアンケート」は、無料でダウンロードできます。記事に共感いただけましたらシェアやFacebookページのいいね!もぜひお願いします。
 

■Sprint(スプリント)とは?

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■Fastask(ファストアスク)とは?

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