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【 フードテックとは? 】 注目企業12事例に学ぶ、テクノロジーで「食」にイノベーションは起こるのか?

 
 
目次:

 

 
 
 
 

食×テクノロジー=フードテック

 

 
2018年11月、一時期の不調から脱出したソニーがコンセプト動画を公開して関係者の目を惹きました。「AI × ROBOTICS × COOKING」をテーマに、ロボットアームによる調理を目指すプロジェクトの中間報告の動画です。じゃがいもの皮をむいてカットして、と自動で料理ができあがっていきます。今後は食のサイエンスに力を入れていくと発表しています。
 
※参考:WIRED
 
IBMも2019年2月のカンファレンスで、今後注力する5分野のひとつに、食糧関連のテクノロジーを挙げました。AIの画像認識で食品の細菌汚染を検出するなど、「種から商品棚まで」幅広い分野を最新技術で変えていく決意を示しています。
 
※参考:IBM|THINK Blog Japan
 
と、いうように、これまで食のイメージがなかったグローバルで歴史ある大企業が、食×テクノロジー「フードテック(Food-Tech)」に本気で取り組み始めています。
 
Fin-Tech(金融テック)、Ed-Tech(教育テック)、Con-Tech(建設テック)……、ここ数年、業界名+テックの動きがあちこちで起こっていますが、コンピュータ×インターネット×AI×IoTなど、最近のIT技術の進化を実務に落としました、の「食」版です。
 
食は、農業、漁業、食品製造、流通、保存、調理、配送など、幅広い分野にまたがります。今回は注目されている理由から、どんなジャンルのどんな商品やサービスなどがあるのかを中心に紹介します。
 
肉を使わない代替ミート、分子ガストロノミー料理のキット、料理ができる3Dプリンタなど、なかなか刺激的なラインナップですよ。
 

 
 
 
 

フードテックが挑戦する5つのテーマ

 
「食」の特徴は、分野が広いので市場規模が大きく、全人類が(なんならペットや動物も)ターゲットになること。ビジネス的に魅力十分です。フードテック関連のカンファレンス「スマートキッチンサミット ジャパン」を開催するシグマクシスは、「食」の市場規模は世界で700兆円を超すと計算しています(※)。
 
IT media
 
そこにテクノロジーを投入して巨大市場に食い込もうという流れが目立ってきているわけです。フードテックのプレイヤーたちがテクノロジーで解決しようというテーマは、大きく分けて5つあります。
 
1)人口増による食糧不足
日本は人口減少が始まっているので問題になっていませんが、世界的に見ると現在は人口増加が激しい時代で、将来的な食糧不足が不安視されています。
 
国連の発表によると、世界の人口は今、75億5000万人ほど。しかし、2030年には85億人に達し、2055年には100億人を突破すると予測されています。わずか30年ほどで25億人も増えます。中国とインドの人口を足したほどの数が増えるわけで、食糧生産は今のままでは全く追いつきません。
 
このテーマでは、無人農場など、新しい食物生産方法や新素材などのフードテックが登場しています。
 
2)飢餓問題
将来どころか今でも、飢餓に苦しむ人は8億人以上、実に人口の9人に1人にも上ると国連が発表しています。しかし、先進国では多くの食糧が廃棄されています。そのアンバランスを解決するため、食料の保存方法などのフードテックが登場しています。
 
3)菜食主義
健康志向、動物愛護、宗教上の制限など、理由は様々ですが、菜食主義は大きな広がりを見せています。このテーマは代替ミートがフードテックの代表です。
 
4)食の安全
世界中で定期的に異物混入などの問題が起こります。人為的ではなくても、お餅を喉に詰まらせたり、痛んだものを食べてしまったり、といったこともあります。そういった問題に対応すべく、食品の傷み具合を診断するツールや長期間保存可能な梱包材料など、多くのフードテックが登場しています。
 
5)人材不足
農業、漁業、食品製造業、外食業など、食関連の企業は人材不足に悩んでいます。そこで、スマート農業やロボットキッチンなど、省人化、無人化がフードテックのテーマとなっています。
 


 
 
 
 

子育て世代のデータに見るフードテックの可能性

 
ほかにも、今はまだあまり出てきていませんが、個人的には子育て関連のフードテックも伸びるのではないかと考えています。
 
たとえば2016年の熊本地震の際、断水で粉ミルクが使いにくかったこともあり、フィンランドから届いた「液体ミルク」が話題になりました。今では日本のメーカーからも液体ミルクが発売され、人気を集めています。
 
このように、不満や不便をテクノロジーで解消していくのがフードテックです。実際に子育て世代はどんな不満や不便を感じているのか、MRCがインターネット調査「Fastask(ファストアスク)」を使って調査した結果をご紹介します。
 
●MRC独自調査:「育児における要望・不満に関する調査」(2019.02.28)
 
まずは、「授乳時」の不満や不便から。
 
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お湯でとかした粉ミルクを冷ますのが面倒、粉ミルクをとかすお湯の用意が面倒、粉ミルクを哺乳瓶に入れる際に粉がこぼれるのが不便、といったところに不満や不便があるようです。粉ミルクは温度指定されたお湯を用意し、粉ミルクを溶かした後、冷ましてから飲ませるという手順を踏む必要があるため、面倒に感じる人が多いようです。
 
 
そして、赤ちゃん用の哺乳瓶や食器にも不満や不便の種があります。
 
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赤ちゃん用食器や哺乳瓶の消毒・洗浄を不便に感じたことがある人は、頻繁にあるが33%、ときどきあるが約36%で、合わせて7割近くなります。吸い口部分と容器部分を分けて洗う必要がある、口がすぼまっていているので洗いにくいなど、様々な不満や不便があるようです。赤ちゃん用食器にしろ哺乳瓶にしろ、昔から形状も素材もあまり進化していないので当然かもしれません。
 
 
それから、子育て家族の大きな悩みの種、外出時の不満や不便はーー。
 
fa_report-baby-20190228-24
外出時に子連れOKな飲食店が少ない、飲食店が子連れOKかどうか外からではわからない、離乳食を完備してある飲食店が少ない、という声が多くなっています。以前、東京で保育園建設の反対運動が話題になりましたが、社会として子どもの音に寛容ではないという現実もあるので、苦労しそうです。
 
 
最後は、日本市場に登場したばかりの「液体ミルク」への興味関心について。
 
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「ぜひ利用してみたい」は約13%、「やや興味がある」が34%と、合わせて半数近くに上ります。ただ、「あまり興味がない」「利用したくない」を合わせて3分の1に上り、新しいテクノロジーが受け入れられるのは時間がかかることが窺えます。
 
MRC編集部周辺は子育て中のスタッフが多いので、子育て系フードテックの登場には期待したいところです。
 

 
 
 
 

フードテックの注目事例

 
液体ミルク以外にも、様々なフードテックが登場しています。ここでは食の各ジャンルごとに注目のフードテック事例をピックアップしました。
 

農業

 

ヤンマーの自動運転型「ロボットトラクター」

YANMAR
YANMAR
 
佐藤可士和氏がディレクションしたCI以降、イノベーションを強く打ち出しているヤンマー。農業の省力化・効率化を目指して、無人走行テクノロジーで作業を自動化し、タブレットで遠隔操作する「ロボットトラクター」を開発中です。その一歩手前の、人が最小限の作業をし、経験と勘に頼っていた高度な作業を自動化する「オートトラクター」は2018年10月に発売されています。
 
 

スマート農場を実現する「ゼロアグリ」

ZeRo_agri
ZeRo.agri
 
農場作業を自動化する「スマート農業」が注目されています。たとえばルートレック・ネットワークスが開発した「ゼロアグリ」は、土壌・日射センサー情報から、作物の生長に合わせた最適な水と肥料の量をAIで分析し、自動で土の環境を整える仕組みです。灌水施肥の作業時間を90%削減し、水と肥料の使用量を半分に減らしながら、収穫量を増やせるそうです。
 
 

素材

 

大豆ミートが手軽に味わえるマルコメ「ダイズラボ」

marukome
マルコメ
 
肉を使わないお肉、代用ミートはフードテックの進化を実際に味わえる分野です。大豆やエンドウ豆、ビーツなどの植物に熱や圧力を加え、植物タンパク質の線維構造を動物タンパク質に近い形に整列させるなどで、肉に近い見た目と味と食感を再現しています。日本では味噌メーカーとして知られるマルコメ「ダイズラボ」の大豆ミートがスーパーなどでも手軽に購入できます。形状はミンチ・フィレ・ブロックの3タイプ、タイプはレトルト・乾燥の2タイプ(冷凍も今後登場しそう)、惣菜の素もあり、様々な料理に活用できます。
 
代用ミートには、動物の細胞を培養して肉を生産する「培養肉」というタイプも様々な研究機関で開発が進められています。畜産は膨大な水と食料を必要とする一方、培養肉は試験管の中で育てられるため効率が良く、外食産業などでは、導入が進むかもしれません。
 
 

昆虫食の一種、バッタのプロテインパウダー

Hargol FoodTech
Hargol FoodTech
 
イスラエルのハーゴル・フードテックが開発した食材は、バッタ。通常はハチの幼虫やイナゴなどで、ビジュアルもそのままという場合が多いですが、この商品は粉状で、昆虫食という感覚がありません。昆虫は低カロリー・高タンパクで、ダイエットにも良いそうです。
 
 

生産

 

食事をプリントする3Dフードプリンタ「Foodini」

Natural Machines The Makers of Foodini a 3D Food Printer
Natural Machine
 
以前から食べられるインクを使ってクッキーにイラストを描くようなフードプリンタは一般的でしたが、「3Dフードプリンター」は立体的なクッキーごとつくってしまう3Dプリンタです。材料はジャガイモ・米・穀物・果物・野菜などを混ぜたペースト材料で、ノズルを動かしながら押し出して成形していきます。既に市販されている商品もいくつかありますが、一番未来感があるのが、スペインのベンチャー企業、ナチュラル・マシーンの「FOODINI(フーディーニー)」。ペースト材料をカプセルに入れ、風味や甘さ、色を調整して調理できるとか。価格は4000ドル(約45万円)、今後安くなって家庭に入ってくるかもしれません。
 
 

完全栄養食の「BASE PASTA」「BASE BREAD」

BASE FOOD
BASE FOOD
 
2017年2月に登場した「BASE PASTA」は、厚生労働省が定める人間に必要な栄養素31種が麺に練りこまれた、完全栄養食品の生パスタ。小麦全粒粉、チアシード、粉末昆布などの栄養豊富な食材を使ってパスタに仕上げているとか。真空包装した上で加熱殺菌することで添加物を使わず長期保存も可能で、個人だけでなくレストランなども含め10万食以上を販売しています。2018年12月には完全栄養ラーメン、2019年3月には完全栄養パンも発売し、世界進出も見据えているそうです。
 
 

流通

 

特殊冷凍で凍らせたフルーツ「HenoHeno」

HenoHeno
NATURAL FROZEN FRUITS「HenoHeno」
 
日本で唯一の特殊冷凍テクノロジー専門会社として、急速冷凍機などを販売するデイブレイクが2019年3月に始めた新サービス。フードロスになるはずだった高級フルーツを特殊冷凍し、オフィス向けに福利厚生メニューとして提供しています。特殊冷凍でアイスなのにサクサク食べられる新食感、無添加で凍結だけの加工なので冷凍前の風味が残るとか。今後は一般向け販売もありそうです。
 
 

外食

 

無人レストラン「Eatsa」


 
小売業界では無人コンビニが注目を集めていますが、無人レストランも登場しています。アメリカで2015年に創業したサラダレストラン「Eatsa」は、メニューを絞ることでほぼ全自動&ほぼ無人での営業を行っています。店内の注文用タブレットで、その日の気分、食材の好き嫌いなどの質問に答えると、いくつかのサラダが提案され、好きなメニューを選べます。食材を自分で組み合わせたサラダを注文することもできます。すると調理されたサラダが、透明のコインロッカーのような棚から受け取れるシステムになっています。現在は店内にサポートスタッフがいますが、将来的には完全無人になりそうです。
 
 

調理

 

料理を科学する分子ガストロノミーキット「Molecule-R」

Molecular Gastronomy
Molecular Gastronomy
 
フードテックの草分けとも言える「分子ガストロノミー」。食材や調理プロセスを分子レベルで捉え直し、新たな味や食感を生み出す動きとして、20年以上前にフランスで提唱されました。たとえば、液体窒素に食材を入れて一瞬で凍らせたり、スープやカレーを亜酸化窒素とともに混ぜて泡状にしたり、トマトピューレをアルギン酸ナトリウムで固めたりという、化学の実験のような調理方法です。専門のレストランが日本でもありますが、それを家庭で楽しめるキットが「Molecule-R」。分子ガストロノミー料理の完成品を試すことができます。ちなみに日本からも購入可能で、キットが約50ドル、送料&税込みで約61ドル(6800円)です。
 
 

長崎ハウステンボス調理ロボット「OctoChef」


 
冒頭でソニーの調理ロボットを紹介しましたが、人材不足とエンターテイメント性の両面から、世界中で開発が進んでいます。ロボット先進国の日本では食品工場や飲食店などで普通にロボットアームが活躍しています。そしてエンタメ性も充分の調理ロボットも、長崎ハウステンボスに揃っています。たこ焼きやソフトクリームを自動調理する「OctoChef(オクトシェフ)」(コネクテッドロボティクスが開発)、お好み焼き・カクテル・ソフトクリームを自動調理する「変なレストラン」(ハピロボ等が開発)など、一歩進んだ楽しい自動化を見ることができます。
 
 

家庭

 

消費期限を管理するタグ「Ovie」

Ovie
Ovie
 
食品の消費期限を管理するスマートタグも登場しています。アメリカのワイド・アフタヌーン社の「Ovie」がそれ。食材と関連付けたIoTタグを専用の容器などに付けて冷蔵庫に入れます。すると、消費期限が近づくとタグが光るのです。アプリでは、冷蔵庫にある食材の一覧表や、その食材を使った料理のレシピも見ることができます。
 
 

味覚をハックする電気箸

IEEE_org
IEEE SPECTRUM
 
最後は、まだ研究中ですが面白いのでご紹介。アメリカのメイン大学で研究中の変わった形の箸は、舌に電流を流してを架空の味を加えるという驚きのデバイスです。味付けナシの料理に箸で味を足すわけですね。流す電流の周波数、電極の素材などを変えて研究を進め、すでに塩味、苦み、酸っぱさを加えることに成功したとか。実用化はまだ先のようですが、塩分制限されている方などには最適ですね。
 
 
などなど、紹介しきれないほどあります。ただ、子育て世代のデータにもあったように、新しい技術は心理的に抵抗感があるもの。それが体内に入れる食べ物であればなおさらです。実際にフードテック製品を食べている人はどんな意識なのか、話を聞いてみました。
 
 


 
 
 
 

チャットインタビュー「フードテック? それ美味しいの??」

 
さっそく、チャットインタビューサービスの「Sprint」で聞いた、実際に食べているモニタさんの声をご紹介しましょう。
 
Sprint_face
 
代用肉である大豆ミートをよく食べているというモニタさん。ネット広告を見て、ヘルシーさに惹かれたそうです。
 
Sprint_01
 
モニタさんはほとんど肉を食べない、ほぼベジタリアンだそうです。でも肉の味は好き、なので大豆ミートはツボだったようです。調理法はハンバーグや煮込んでソースにするとか。
 
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味は肉の味で、しかもしつこさが少ないので、こちらのほうが良いそうです。価格はどうかと言うとーー。
 
Sprint_03
 
モニタさんの感覚でいくと、肉より安いそうです。100グラム200円以下なので、そうかもしれません。今はブロック、ミンチなど形状のタイプもいろいろ登場しているので、様々な料理に使えます。保存期間も長いですし。カレーとか竜田揚げのようなしっかり味付けするものに関しては、肉と言われても違和感ないぐらいだと思います。
 
他にも食ではヘルシー系の「無農薬野菜」や「グルテンフリー」などに興味があるそうです。工場で生産された野菜も信頼できるイメージがあるのだとか。
 
Sprint_05
 
テクノロジーでヘルシーになったり、清潔になったり、安全になったりすることに対しては肯定的なモニタさんでした。ひとつだけ受け入れにくいのは、遺伝子組み換え食品だということでした。
 
 

 
 
 
 

結論|日本発、世界で勝てる分野

 
欧米で先行しているフードテック。しかし日本は新しい食を取り入れるのに柔軟ですし、ロボティクス技術には親近感を感じる人が多いと言われます。これから社会に浸透していく可能性があります。さらに、寿司やラーメンのように、日本発で世界に出て行ける可能性が大きな分野とも言えるのではないでしょうか。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。今回紹介した「育児における要望・不満に関する調査」は、下記からダウンロードできますので、ぜひ。記事に共感いただけましたらシェアやFacebookページのいいね!もぜひぜひ。
 

■Sprint(スプリント)とは?

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ジャストシステムが2017年8月にリリースした、「わずか5分でターゲットとなる消費者に出会えるチャットインタビューサービス」で、インターネット上で定性調査のインタビューができます。従来のリアル・インタビューよりもはるかにスピーディーで低コスト、リアルタイム性があるのが大きな特徴です。話を聞いてみたい人を選んで手軽にインタビューできます。

 

■Fastask(ファストアスク)とは?

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ジャストシステムが提供するセルフ型ネットリサーチサービス。調査する企業が自分で質問を作成するスタイルで、ローコスト&スピーディーな調査が可能です。従来調査の半額~10分の1の費用で、即日~数日で調査が完了します。

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