おすすめマーケティング記事 おすすめ 2019.05.24

【 エシカル消費 】国連や政府も後押しする、人と環境に優しい消費行動は広がるのか?

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「エシカル」って何?

  ワタシは情報収集のためにプレスリリースサイトをよく見るんですが、最近感じるのは、なんだかエコロジーがまた流行ってきてる? ということ。たとえばーー。   PR_TIMES PR TIMES   “害獣として駆除”された鹿の毛皮を使ったチェアカバー、ベジタリアン・ハラルに対応した創作和食、サステナブル素材の家具…、エコロジー色の強い商品やサービスが続々生まれています。   以前のエコブームでは、「省エネ」「オゾン層」といった科学のようなキーワードをよく見かけたんでが、最近は「エシカル」という言葉をよく見かけます。   今回はマーケターなら知っておくべき!と感じた、エシカルな発想でモノやサービスを選ぶ「エシカル消費」について紹介していきます。   「エシカル」という言葉の意味は、「道徳・倫理」。「法律で明確に決まっているわけではないけれど、良識的に考えるとこうだよね?」と多くの人が考える「社会的な模範」を指します。類義語を挙げれば、「良識」でしょうか。英語では「ポリティカル・コレクトネス(社会的・政治的公正。ポリコレ)」も近そうですね。   特に最近は、環境保全や地域・社会への考慮といったニュアンスで捉えられることが多いみたいです。国、自治体、企業、NPOなどが、環境に良いもの、多様性に配慮したものなど、「エシカル」な商品やサービスを提供し、消費者がそれを評価して「エシカル消費」する、という構図です。   今、どのぐらいの人が「エシカル」を知っているのか。MRCではセルフ型ネットリサーチ「Fastask(ファストアスク)」を使って、消費者1000人に聞いてみました。   「エシカル消費ってご存じですか?」   fa_report-csr-20190425-05 ●MRC独自調査「消費者と企業の社会貢献活動に関する実態調査」(2019.04.25)   2019年3月後半時点での「エシカル消費」の認知度は、約24%程度。そこまでは高くないですね。安心しました。   ただ、世界的にはエシカルという概念を意識した消費行動が注目されるようになってきて、企業側もエシカルを意識したサービス・商品開発の重要性が今後重要になりそうです。もう少し詳しく見ていきましょう。          

「エシカル」と「CSR」はどう違う?

  企業から見た場合、エシカルともっとも近い意味なのは、「CSR(企業の社会的責任)」ですね。何が違うの?、とワタシも思いましたが、この2つはほとんど同じ意味で使われています。それは海外でも同じようです。   違いを挙げるなら、   【CSR】 企業による地域社会への貢献、地球環境への配慮といった社会活動の取り組みを指しています。企業活動メイン。   【エシカル】 企業活動だけでなく、消費者による人や環境などに配慮している行動も含むなど、高い倫理性のある社会貢献を社会に広める活動を指しています。消費者メイン。   というところでしょうか。プレスリリースを見ていての感想ですが、BtoB系の企業は「CSR」を使う傾向にありますね。BtoC系やスタートアップ、ベンチャーは「エシカル」を使うところが多いようです。IRなどビジネス向けには「CSR」、消費者向けには「エシカル」を使うのがしっくりはまる印象です。   つまり、企業が提供するサービスや商品自体が「人・環境・社会」を配慮しているかを、消費者が購入時の判断材料とする、「消費者主役」の概念が「エシカル」「エシカル消費」と言えるのではないでしょうか。          

国連も推奨する! 「エシカル投資」の影響とは?

  エシカルの概念は、株価に影響を与える投資判断にも組み込まれています。「ESG投資」という言葉がありますが、E(環境)・S(社会)・G(統治・ガバナンス)に配慮している企業に投資を行うことで、エシカルな企業に投資する「エシカル投資」とも言える手法です。   E=地球温暖化に配慮しているか?、環境破壊に繋がる活動をしていないか?   S=多様性に配慮しているか?、人権に配慮しているか?   G=不正などが起こりにくい正しい企業統治が行われているか?   1920年代に生まれたSRI(社会的責任投資)の現代版です。SRIはどちらかと言うと、アルコール、ギャンブル、タバコ、武器などに関わる企業には投資しないというネガティブ・スクリーニングですが、ESG投資は社会に貢献する企業に投資するポジティブ・スクリーニングです。   2006年、国連のアナン事務総長が、投資家はESG投資をすべきと提唱し、欧米を中心に大きな広がりを見せました。日本では一般的ではなかったのですが、世界最大級の投資家と言われる年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がESG投資を打ち出してから、金融業界や投資家の間で注目が高まっています。   なにせ厚生年金と国民年金を合わせて151兆円(※)ですから、影響力は絶大です。   ※GPIF|最新の運用状況        

消費者に聞く「エシカル消費」してますか?

  びっくりするほど大きな話になってきましたが、消費者目線に戻って、実際に消費者がどの程度エシカル消費を行っているのか、企業のエシカル活動を意識しているのか、MRCの独自調査データから見ていきましょう。   ●MRC独自調査「消費者と企業の社会貢献活動に関する実態調査」(2019.04.25)  

|約4割が、商品購入時に「社会や地域への貢献を意識」

  回答者の約4割がエシカルな意識で消費をするorすることもある、と答えています。   fa_report-csr-20190425-07   「エシカル消費」という言葉の認知度が24%に過ぎないことを考えると、意識のほうが先行していると言えます。このパターンは、「エシカル消費」というネーミングが付くことで、大きく広がる可能性があります。  

|具体的な行動は、エコバッグや地産地消など

  では具体的にどういうエシカル消費を行っているかというとーー。     1位:エコバッグを利用 70.6% 2位:地域で生産された商品かどうかを意識 50.7% 3位:マイボトルを利用 45.9% 4位:オーガニック商品かどうかを意識 26.2% 5位:エコマークがついているかどうかを意識 26.0%   fa_report-csr-20190425-09   エコバッグ、マイボトル、マイ箸、マイストローなど資源を無駄に使わない身近な活動が多くなっています。企業側も消費者のこういった意識にしっかり対応することが必要でしょう。   地産地消は「応援消費」とも呼ばれ、東日本大震災などをきっかけに注目度が高くなっています。  

|半数以上が「社会貢献に取り組む企業」を1社以上挙げられる

  では、消費者が企業の活動をどの程度知っているのか。「エシカル活動」している企業で思い浮かぶ企業がある人が52%と、ひとつも思いつかない人よりも多いという結果です。   fa_report-csr-20190425-19   性別では、男性のほうがやや思い浮かぶ人が多く、年代別では、それほどの差はありません。広い年代に受け入れられる概念であることがわかります。  

|4割以上が、「社会貢献活動で、その企業の商品購入意欲が増す」

  「エシカル活動」している企業の商品やサービスに対しては、購買意欲が増すという人は4割を超えます。   fa_report-csr-20190425-17   こちらも性別、年代別のクロス集計では、男性・20代に積極的な人が多い印象ですが、それほど大きな差はありません。  

|エシカル優等生企業ランキング、1位は?

  最後に、社会貢献活動で思い浮かぶ企業を3社まで挙げてもらった自由回答のランキングです。   fa_report-csr-20190425-22   1位:サントリーグループ   2位:トヨタ自動車   3位:イオン   4位:キリングループ   5位:パナソニック   となっています。日本を代表する企業ばかりです。   ちなみにワタシが思い浮かんだ3社は、Google、スターバックス、良品計画(無印良品)です。ランキングにあまり入っていないですが…。     エシカル消費は、性別・年代を問わず、消費者の消費行動に影響を与えているという結果が出ています。今後は、自社の社会貢献活動の内容を検討し、認知度を上げていくことの重要性を周知して、それを定期的に調査で計測していくことが重要ではないでしょうか。          

エシカル消費で意識すべきポイント

  エシカル消費が一般的になると、従来はCSRを担当する部署や広報部門だけが気にしていた企業の環境・社会への取り組みについて、今後は企画・マーケティング担当者も意識していくことが求められます。   ではエシカル消費を意識する消費者に対して、企業と商品・サービスを選んでもらうためにはどういった点を意識すればいいのでしょうか? そのポイントを紹介します。   ●ポイント1/対象は幅広い   2017年4月、消費者庁が主催し、2年間かけて議論を続けてきた「倫理的消費」調査研究会が調査報告書を発表しました。   ※消費者庁|「倫理的消費」調査研究会   それによると、エシカル消費が取り組むべき対象は5つあります。ジャンルの幅が広く、実現のためのハードルも幅広くなっています。自社の事業内容や社内の理解度なども考慮して、どこに着手するか考えていく余地があります。   <エシカル消費の対象> 具体例  障がい者支援商品 LGBT・ハラルなど多様性対応商品  フェアトレード商品 ユニバーサルデザイン商品 バリアフリー商品 寄付付き商品  自然エネルギー利用 エコマーク商品 リサイクル・アップサイクル商品 資源保護などに関する認証がある商品 オーガニック商品 エネルギー効率の良い商品(LED電球など)  地産地消 被災地産品  動物愛護商品 動物実験代替法 MSC認証(環境配慮された漁業資源を使用) FSC森林認証(適正管理された森林資源を使用)   

 

社会
環境
地域
生物   

対象

※調査報告書を元に、一部編集部で整理・追加   ●ポイント2/新しいテクノロジーやビジネスモデルで   従来の「エコロジー」ブームと「エシカル」のい違いは、持続させる(サスティナブルな)ことを目指す現実的な対応にあります。CSRは営業部門などから「道楽」扱いされることも多いと言われますが、道楽ではなくビジネスにするためには、新しいテクノロジーや、新しいビジネスモデルで事業化することが欠かせません。     ●ポイント3/消費フィルターがひとつ加わるという意識で   ポイント2と近いですが、エシカルだからといって、商品やサービスのレベルを落としては受け入れられません。消費者は通常、品質、価格、機能・デザイン、安全性といったフィルターで商品やサービスを選びますが、そこに新たに「エシカル」というフィルターが加わるという意識での商品開発やブランディングが必要です。          

エシカルな商品やサービス事例

  そういったポイントを満たす事例をいくつか紹介します。大手企業というより、ベンチャーの、ビジネスになっている事例を選びました。   ●エシカルファッション系DtoCブランド   TSUNAGU_fashion_CAMPFIRE CAMPFIRE|TSUNAGU_fashion   エシカル系事業の代表が「エシカル・ファッション」です。ファスト・ファッションが海外の労働者を搾取したり、児童労働を誘発しているという批判もあり、労働者・環境・消費者に配慮したエシカル系のファッションやジュエリーブランドが続々登場しています。   紹介する「TSU.NA.GU(つなぐ)」は、流行のDtoC、卸や小売りを通さずメーカーが直接消費者に商品を販売するブランドです。オーガニック素材に、徳島の高級な海部藍(あまべあい)染めなど伝統技術を使いながら、Web上で受注生産をすることで価格を抑えています。   売り方も変わっていて、材料費、縫製費、デザイン料、輸送量など、原価をすべて公開し、その上で購入者が3種類の価格設定(1.原価のみ、2.経費とデザイン料をプラス、3.利益をプラス)から支払う額を選べるという仕組みを採用しています。   主な販路はクラウドファンディングなのですが、初回商品「本藍染めワンピース」の場合、購入者30人中、1が19人、2が3人、3が8人です。比較対象がないので、なんとも言えませんが、1(原価のみだけ払った人)が思ったより多い印象です。   ●ベジタリアン・ビーガン・ハラル・グルテンフリーに対応した創作自然和食フルコース   wa PR TIMES   多様性に対応したエシカルなメニューです。ヘルスケアフードブランドを複数展開する株式会社MiLが、東京・西麻布の「創作自然食割烹 倭(わ) 西麻布」で、2019年4月19日から、ビーガン(完全菜食者)、ハラル(イスラム法対応)、グルテンフリーなど、あらゆる食事制限に対応したフルコースを始めました。野菜だけを使い、調味料や添加物は極力使用せず、フルコースでも約400Kcalというヘルシーさです。   世界のビーガン向け市場は1兆円を超えるとされるほどの人気で、訪日外国人のうち5%がベジタリアン、その市場規模は400億円という試算もあります。オリンピックを控え、市場性も充分にあると見込んでのメニュー開発です。   ●科学的アプローチで人と環境に優しい儲かる農業を目指す   TREE_NORF TREE & NORF   「一人でも多くのお母さんと子どもたちに、安全で美味しい野菜を届ける」というコンセプトで、2012年に鳥取県で設立された農業法人「TREE & NORF(トゥリーアンドノーフ)」。経験と勘だけに頼ることなく、畑の土壌分析を定期的に行いながら、植物生理学に基づいた科学的・論理的・統計的なアプローチを重視して野菜を栽培しています。   環境持続性に配慮し、できる限り化学合成農薬・化学合成肥料の使用を控えたり、生産する現場の整理整頓・衛生管理・人を大切にするということを重要するなど、エシカルな発想の運営です。その一方で、「儲かる農業」を掲げ、当初は有機農業だったところ、大規模化した畑が虫の被害で全滅するなどの問題が続き、最低限の農薬を使用することに方針転換するなど、生産性と持続性を考えた現実的な経営判断を行う点も特徴です。          

チャットインタビューで聞くエシカル消費 「エシカル消費は地理の授業で知りました」

  企業側の話が続きましたが、消費者の側はどんな意識なのか、チャットインタビューサービスの「Sprint」1on1インタビューで聞いてみます。   「エシカル消費ということ言葉を知っている方へ質問です。実際にこれまでエシカルの理念に基づき、どういった商品・サービスを購入されましたか?」というスクリーニング質問に対して集まった多くの回答から、今回はこれからの消費を担う10代の女性を選びました。   sp_face フェアトレードの商品などを購入したことがあるというモニタさん。「エシカル消費」という言葉を知ったのは、高校の地理の授業中だったそうです。   Sprint01 フェアトレードは英語の教科書に出てきたそうで、教育現場にエシカルが入ってきていることがわかります。そういえば、スクリーニング質問の回答でも、エシカル消費を知っているのは、10代が多かったですね。こういったマーケティングワードの認知度は10代が低いことが多いので、これは珍しいことです。   知った後、エシカルやフェアトレードの商品は気になって、売り場などでもつい確かめてしまうそうです。   Sprint02   ただ、毎回買うわけではなく、その時の気分と、多少高いことが多いのでお金の余裕があれば買う、という形だそうです。   パッケージ等でエシカル商品の内容を読んで共感するのは、内容がわかりやすいことと、安心感があることだとか。   Sprint03   トレーサビリティなど、原産地、素材、製法などが書かれていると安全だと感じ、買いたくなると言います。   興味のあるエシカル企業は、無印良品。ワタシと同じです。ちなみに友だちから聞いたそうです。   Sprint04   友だちとエシカル消費について話すなんて意識高すぎな印象ですが、そういうことでもなく、授業で出てきた後で少しそんな話が出たりするのだそうです。教育とはスゴイですね。   授業で出てきたら、気になって後で調べてみたりもするとか。   Sprint05   そのときはGoogleで調べたそうです。エシカル消費であれば、SNSよりサイト検索が合っているということでしょう。文字で説明したいテーマでもあるので、サイトやブログでの発信が必要そうです。          

結論|コミュニケーションも大切

  いろいろと見てきましたが、エコロジー、地球温暖化、サスティナブルなどと同様、「エシカル」を考えて、モノを買ったり、サービスを選んだりする消費者は増えていきそうです。   個人的には企業の社会貢献は、事業を通じた便利や快適の提供、納税、雇用が真っ先に来ると思いますが、エシカルもコンプライアンスなどと同様、当たり前だけど忘れがちなこととして定着すると予想します。授業でよく出てくるのであれば、刷り込み効果もありそうです。   今後はサービスや商品は機能価値だけでなく、こうした社会や環境に与える影響も重要な要素となってきますので、マーケティング活動にもエシカルな観点を取り込んでいくことが大切になってきますね。   そして、上で紹介した「社会貢献度の企業ランキング」を見て気付いた方も多いかと思いますが、ランキングは、広告宣伝費のランキングと似ています。たとえば日経広告研究所が2018年8月に発表した「有力企業の広告宣伝費(2017年)」によると、次のような並びです。  

      • 1位:トヨタ自動車

 

 

    • 2位:ソニー

 

 

    • 3位:サントリーホールディングス

 

 

    • 4位:日産自動車

 

 

    • 5位:イオン

 

    ※引用:日経広告研究所

  似ていますね。これは、広告宣伝費が多ければ、社会貢献をアピールする余裕もある、ということだと考えられます。エシカルなマーケティングを行うだけでなく、それを社会にアピールし、消費者とコミュニケーションすることも必要なのではないでしょうか。広告でなくとも、SNSやオウンドメディアなどで、コストをあまりかけずにコミュニケーションすることも可能です。   fa_report-csr-20190425-24   MRC独自調査の結果でも、「企業の社会・地域貢献活動を知る方法」は、TVや新聞、雑誌等のマスメディアより、インターネット記事やネット広告のほうが高い数字となっています。SNSも高い数字です。活動とPR、コミュニケーション。つまり重要なポイントは通常の事業と同じということですね。       最後までお読みいただき、ありがとうございました。今回紹介した「消費者と企業の社会貢献活動に関する実態調査」は、下記からダウンロードできますので、ぜひ。記事に共感いただけましたらシェアやFacebookページのいいね!もぜひ。    

■Fastask(ファストアスク)とは? sprint_top ジャストシステムが提供するセルフ型ネットリサーチサービス。調査する企業が自分で質問を作成するスタイルで、ローコスト&スピーディーな調査が可能です。従来調査の半額~10分の1の費用で、即日~数日で調査が完了します。

 

■Sprint(スプリント)とは? sprint_top ジャストシステムが2017年8月にリリースした、「わずか5分でターゲットとなる消費者に出会えるチャットインタビューサービス」で、インターネット上で定性調査のインタビューができます。従来のリアル・インタビューよりもはるかにスピーディーで低コスト、リアルタイム性があるのが大きな特徴です。話を聞いてみたい人を選んで手軽にインタビューできます。

 

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